まだ11月の半ばだというのに、朝晩の冷え込みは半端なく、既に真冬のごとくです。
北見の朝です。網走方面から列車が到着すると、通学の高校生を中心にドッと人が吐き出され、大量輸送が可能な鉄道の頼もしさを垣間見た思いです。
入れ違う形で乗り込むと、まだ多くの高校生で混んでいて、朝のラッシュはもう少し続くみたいです。
西留辺蘂で残っていた高校生を含む全ての乗客は降りてしまい、そのまま終点の金華へ。この駅も来年3月のダイヤ改定時に廃止が予定されています。
ここは昔ながらの木造駅舎が今も壊されずにそのまま残る数少ない貴重な駅の一つ。この形こそまさに北海道の駅を代表する駅舎と言えるでしょう。
窓口は板で塞がれているものの、切符売場やチッキを扱っていた荷物台に有人駅だった頃の名残が。壁に沿ってくくり付けられた長イスも、これまたとてもいい味を出しています。
ナントこんな物騒な貼り紙も。でも実際に遭遇するのはイヤだけど、列車の中からそ~っとなら見てみたい気も...
構内には貨物ホームも残っていて、かつては荷物の積み下ろしも盛んに行われていたことが窺えます。
駅前及び周辺には家屋が結構たくさんあり、駅を中心に集落が形成されているのがわかります。でも今はもうそのほとんどが廃屋のようです。
遠軽方面へ向かう特快「きたみ」が来たので、それに乗って金華を離れます。できればここは廃止前にもう一度くらい来てみたいですね。でもまだ住んでいる人も居るみたいだから、やっぱり廃止は早計過ぎるような。
峠に差しかかる頃には雪が激しくなってきて、まだ11月だというのにすっかり冬です。
途中通過する下白滝や旧白滝、上白滝などをしっかり眺め、峠を越えて上川までやって来ました。駅員もいる比較的大きな駅で、駅に人がいるだけで何だかとても心強く思います。
でもすぐに特急に乗って来た道を引き返すことにします。
対向列車行き違いのため、中越信号場に停車。2001年に駅から信号場に格下げとなり、待合室は閉鎖されましたが、駅舎は今でも残っています。金華もこんな形になるのでしょうか。
再び峠を越えて、丸瀬布で「オホーツク」を乗り捨てます。
丸瀬布は図書館が併設された駅で、列車待ちには重宝します。近くにコンビニもあるので、食料の調達にも便利です。
白滝行の列車がやって来たのでそれに乗り、またまた反対方向へ向かいます。列車の本数が少ないので、上下の列車をうまく組み合わせるのがコツですね。
乗客は、地元民と思しき年配の男性が1人と、明らかにテツと思われる青年が他に3名いるだけ。どうやらこの列車は今度のダイヤ改定にて削減の対象となっているらしく、でもこの現状を見れば仕方がないことなのかもしれません。
やがて列車は、これも来年3月に廃止を発表している下白滝に停車。駅前に農家が一軒ある他は、ほとんど人家は見当たりません。交換設備があることから、信号場となり駅舎もそのまま残りそうですが、待合室は閉鎖されてしまうでしょう。
旧白滝では2人のテツが下車。ここも来年3月に廃止予定となっています。木造の待合室がいい味出していますが、恐らくここはホーム共々全て撤去されてしまうと思われます。
白滝に到着。駅舎はとんがり屋根の洒落た建物で特急も停まる白滝村を代表する駅ですが、無人駅となって久しく、ここも随分と寂しくなりました。
隣の上白滝を目指して歩いてみます。その距離は3.3キロとたいしたことなく、また歩道もあって歩きやすく、散歩がてらにちょうどいいくらいです。駅に近づくにつれ、人家もポツポツと見え始めてきました。
40分程で上白滝に到着。ここも昔ながらの木造駅舎が残っていて、それだけで何だか胸が熱くなる思いがしてしまいます。
待合室はゆったりとしていて、いつまでも佇んでいたくなります。昔はこうして列車を待っている間、お客さん同士の、あるいは駅長さんとお客さんによる何気ない会話が交わされたりして、ほのぼのとした日常が繰り返されていたのでしょう。
今や全国でもここだけとなった、一日に1往復計2本のみの時刻表。これから乗るのは17時8分の列車です。
ホーム側から見た駅舎がまたいい感じです。でもここは棒線で信号場としての機能がないため、廃止後はかつての天幕駅同様、駅舎は撤去されてしまいそうです。
待っている間、特急「オホーツク」が凄いスピードで一気に通過して行きました。
続いて特快「きたみ」も一気に駆け抜け。停まってくれないのがいささか恨めしく思えたりして。
陽はとっぷりと暮れ、夜の雰囲気がまたたまらなく幻想的だったりします。でも陽が暮れると急激に冷え込み、列車が来るのが待ち遠しくなります。
そして上りの一番列車兼最終列車が到着。ホッと安堵する瞬間です。
峠を越える貴重な鈍行にも関わらず、乗客はほとんどなく、2両も繋いだがら空き40系の車内は、実に贅沢な寛ぎ空間となります。こんな環境なら、いつまでもずっと乗っていたくなりますね。
一気に大都会となった旭川に到着。今夜はここに宿を取りました。
北見 7:40 → 8:18 金華 9:42(特快「きたみ」) → 11:34 上川 12:01(特急「オホーツク3号」) → 13:03 丸瀬布 13:50 → 14:16 白滝 → 上白滝 17:08 → 20:05 旭川