函館に来たからには、やはりここは外せないですね。
函館を6時53分に出る江差線で江差へと向かうことにします。何度も訪れた所だけど、いよいよ廃止まで半年余りとなり、とにかく今は乗れるだけ乗っておきたいという気持ちが強まっています。
函館発車時は通学輸送も兼ねてかなりの混雑を呈したけれど、木古内を過ぎて乗っているのはもうテツばかり。各ボックスに概ね一人と、後は相席を嫌ってロングシート部分に数名。誰一人として互いに話しかけることはせず、これだけ人が居るのに不気味なほどの静けさを保っているのは、テツ列車ではよくあること。ド平日の今日でこの有様なのだから、シーズン中の混雑は予想をはるかに上回るのでは。
何度も見たこの峠越えも、間もなく見納めと思うと、もっとしっかり見ておかねば、という気になります。
交換のある湯ノ岱では待ち受けるテツも多く。
この便は、折り返して発車となるまで一時間以上あるので、江差の町を少しうろうろしてみることにします。駅前はとても寂れていますが、10分も歩けば町の中心街に行き当たり、そこそこ大きな町であることがわかります。
海も近く、散歩するには絶好の所です。
駅に戻って来ると、ホームでは園児達による写生会が行なわれていました。
やがて出発時刻を迎え、園児達に見送られながら発車します。今後ここに列車が来なくなっても、この子達の心にはずっと思い出として残ってほしいですね。
途中の宮越-湯ノ岱間には、幻の駅として知られる「天の川」駅のホームがあり、目を凝らしていると一瞬のうちに通り過ぎるのがわかります。これは街造りの一環として設置されたモニュメントで実際の駅ではなく、列車はかなりのスピードで通過してしまうので、うまくカメラに収めるのは困難を極めます。
湯ノ岱に到着。きびきびと動いて応対する駅員の姿が清々しく、まさに鉄道原風景そのものです。今回はここで下車して降りた列車を見送ります。
そしてやって来たのは、駅から歩いて10分くらいの所にひっそりと建っている温泉センター。前回来た時は食事をしただけで温泉には入らなかったので、今回はのんびりお湯に浸かってみようとの試みです。
入口に券売機があり、350円の入浴券を買って中に入ります。中は広く結構な人数で押し寄せてもかなりの余裕はありそう。それぞれ35度、38度、42度と3つの浴槽があり、好みに合わせてのんびり寛げます。他に打たせ湯もあり、全て源泉掛け流し。鄙びた温泉施設と思っていたけれど、なかなかどうして、随分とゴージャスな雰囲気です。
すぐ隣には畳敷きの大広間があり休憩所として誰でも利用することができます。ここでゴロンと横になって疲れを癒し、また温泉に浸かってみるなんていうのも自由自在。食堂もあるので食事にも困らず、使い方によってはかなり贅沢なひと時を過ごせます。今後も江差線を訪れた際には是非ともここには立ち寄りたいですね。
駅に戻り、江差線の旅を再開。乗客はボックスに1人か2人といったところでしょうか。パッと見、大半がわざわざ乗りに来た人達のようです。
今度は木古内の一つ手前、渡島鶴岡で降りてみます。他に降りた人はなく、少しばかりホッとします。いや、こういう所で『同業者』にかち合うのはあまりいい気がしないものなので(笑)
駅はホーム一本だけのシンプルな造り。待合室の小屋がなかなかいい味出しています。
駅の裏手は公園として整備されていて、ちょっとした散策にはもってこいの環境です。
再び江差方面へと折り返し。今度も乗客はそこそこ多く、やはり大半はわざわざ乗りに来たといった感じの人達です。
峠を越えて今度は中須田で下車。今度も降りたのは自分一人だけ。
廃車となった車掌車が待合室代わりに置かれた「貨車駅」です。外見は傷みが目立ちますが、中は意外と快適です。周囲には人家が点在し、それなりの賑わいは感じられます。
隣の桂岡までは2.1キロしかなく、次の列車が来るまでには十分な時間があるので、線路沿いを歩いてみます。車内からでは把握し辛い集落の様子がよくわかり、気分転換にもちょうどいいです。
桂岡に着きました。ここも「貨車駅」となって久しく、長年に亘って風雨に耐えてきた車掌車に哀愁すら感じます。
程なくして木古内行が到着。今度も比較的乗客は多く、どうやら今はド平日といえども、早朝の便を除いて日中の列車ががら空きという状況にはならないようです。
そうこうしているうちに、一瞬にして「天の川」を通過。写真を撮るタイミングはとても難しいです。
木古内に戻って来ました。もう一度江差方面へ折り返すべきか迷ったけど、今回はもういいかと。
北海道を離れることにして、木古内から「スーパー白鳥」に乗車。
青函トンネルを抜ける頃にはすっかり陽も暮れ。蟹田に到着。
『お約束』の701系に乗り換えると、本州に戻って来たという気がします。
今夜は青森の駅近くに宿を取りました。
函館 6:53 → 9:17 江差 10:27 → 10:58 湯ノ岱 13:38 → 14:09 渡島鶴岡 14:48 → 15:38 中須田 → 桂岡 16:32 → 17:22 木古内 17:44(特急「スーパー白鳥42号」) → 18:31 蟹田 18:58 → 19:43 青森