「18きっぷ」遠征5日目は、早朝の宮崎よりスタート。
早起きして宮崎を5時33分に出る日南線の一番列車に乗りました。日南線を訪れるのも、もうかれこれ18年振りくらいとなり、久々の対面にワクワクしてしまいます。
海辺を走るイメージが強い日南線ですが、実際に海が見える箇所はさほど多くなく、それだけにこういったシーンはじっくり味わいたいところ。台風の接近で雨が降ったり止んだりしていますが、どうやらそれも昼くらいまでのようです。
途中の伊比井で反対列車との行き違いのため15分間の停車。これ幸いと、駅や駅前を観察してみます。駅は階段を上った高台にあり、駅舎はコンクリートの造りですが、塞がれた出札窓口や荷物取窓口残っていて、かつてはそれなりに活気があったことを伺わせます。
次の北郷でも5分間の停車。ざっと周囲を観察してみます。駅舎はログハウス風の洒落た建物です。
飫肥でも11分間の停車。駅舎は飫肥城を模した造りで、委託ですが駅員の居る立派な駅。
油津から大堂津にかけては、一気に海へと踊り出て、海岸線ギリギリを走る迫力のある景色が展開されます。思わず車窓に釘付け。
日向大束でも5分間の停車。昔ながらの木造駅舎が残っていて、しばし興奮。夢中になって駅を降りまくっていた18年前の記憶が甦ってきます。思えばあの頃が最も充実していたのかもしれません。
福島高松では本格的に下車します。かつて牛山氏との共著「すごい駅」でも取り上げましたが、何しろ18年振りの再訪なのですっかり記憶も曖昧に。
ホームのすぐ前には牛舎が並び、こういうロケーションの駅も珍しいのでは。
駅前に何かがあるわけでもなく、その意味では秘境感が漂います。駅舎はコンパクトな造りですが、なかなか絵になる気がします。
待合室にはオンボロのシートが一つあるだけ。こんな駅でも昔は駅員が居たみたいです。
折り返しの列車の関係でもう1駅下車できるので、日向北方でも降りてみました。簡素な待合室があるだけの小さな駅で、特に面白みはありませんが、こういった駅にも一つ一つ丹念に降りたことを思うと、自分のことながら感心してしまいます。
終点の志布志へとやって来ました。かつてはさらに志布志線と大隅線が分岐し、まさに鉄道の要衝となる活気のある駅でしたが、その後駅は宮崎寄りに少し移転し、日南線のみが発着する終着駅となった今はもう当時の面影はありません。
すぐそばには鉄道公園が整備され、かつては第一線で活躍した懐かしの車両が展示されています。
そのまま日南線を折り返します。もう一度ダイナミックな海の景色をしっかりと目に焼き付けながら。
南宮崎まで戻った後は、少し時間があったので、「18きっぷ」でも例外的に特急に乗れる宮崎空港まで「にちりん」に乗って行ってみました。僅かな区間とはいえ、やはり特急列車は居心地が断然違いますね。
宮崎空港から乗った延岡行の鈍行は、テーブル付きのリクライニングシート。九州では鈍行もどんどんデラックスになる傾向があるようです。
またまた海を眺めながら日豊本線を快走。
延岡からは、「18」ユーザー最大の難所、「宗太郎越え」に挑みます。何しろ延岡と佐伯を結ぶ列車は、特急は一時間置きにバンバン走っているものの、鈍行となると今はもう一日にたったの3本しかなく、早朝の一本の次は夕方5時近くになったこの列車までないのですから。しかし利用者はごく僅かしかなく、テツが数名乗っているだけ。経費節減のため、車両も新しいタイプのディーゼルカーの単行運転です。
秘境駅として知られる宗太郎では、テツと思われる2人が下車。さっきまでいい天気だったのに、ここだけ急に大雨となり、ちょっと気の毒な気も。
無事に「宗太郎越え」を果たし、佐伯で大分方面へ行く列車に乗り換え。ここからは何本も列車が出ているのでとても気が楽になります。
残念ながら車両はロングシートでしたが、空いているので大きな窓から景色を独り占めできます。
すっかり陽も暮れ、今日も実に“濃い”一日となりました。