明日のダイヤ改正に伴い、今回も惜しまれつつ消えて行くモノは数知れず。せめて最後の瞬間だけは、できるだけしっかりと見届けたいものです。
東京駅を早朝5時20分に発車する静岡行は、かつて「ムーンライトながら」として走った特急形の373系が使われる乗り得列車としてテツには知られ、特に「18シーズン」にはこの列車を選んで乗る人も多かったはず。「ながら」引退後もこうしてこれまでずっと東京まで乗り入れていましたが、ついにそれも今回の改正時より、東京方への運転はなくなることとなりました。
そんなわけで、この車両での運転は今日が最後となります。「お名残乗車」のテツが多いと思いきや、大半は普通の通勤客です。毎日いつもこの列車で通っていた人も多いと思われますが、明日からロングシートが主体の通勤車両に変わることを知っているのでしょうか。いや、時刻が変わるわけではないので、通勤者にとってそんなことはどうでもいいことなのかもしれませんね。
「旧ながら号」は熱海で乗り捨て、そのまま東海道を折り返します。次に狙うのは、これも今日で最後の運転となる東海道新幹線300系で、既に定期列車での運行は終わっているものの、本日10時47分に、全車指定席の臨時列車「のぞみ329号」として東京駅を発車することになっています。もっとも、個人的には300系に特に思い入れ等はなく、この見送りは、単なる野次馬根性みたいなものです。
少し早めにやって来たのですが、ホームの先端部分は既に物凄い人の数。これでは300系の「顔」を拝むのは難しいかもしれません。
300系「のぞみ」の入線です。案の定、ほとんど様子がわかりません。
それでも何枚か「ありがとう 300系」と描かれた正面を撮ることができました。
そして数分後には早くもホームを離れます。何だかよくわからないまま、慌しく終わったといった感じでした。これなら空いているホーム中ほどで見送っていた方がよかったかもしれません。
その後はすかさず木更津へ移動し、こちらも今日で最後となった久留里線のタブレット交換風景を、しっかりと目に焼き付けようと思います。
鄙びたムードが漂う横田駅における“儀式”が最も風情があるように思います。さすがに今日はギャラリーが多いですが、予想していたほどではありません。こらから増えていくのでしょうか。
さすがに久留里線の中枢とも言える久留里駅は、結構な賑わいになっています。それでも“儀式”の見物人はせいぜい20人くらいで、トラブルが生じるようなことはありません。
横田-久留里間を中心に、適度に行ったり来たりしてみます。賑わうのは列車の発着時のほんの一瞬だけで、列車が行ってしまうと駅は静けさを取り戻します。
やはり久留里駅が最も賑わっています。そこに悲壮感は全く漂わず、また対応する駅員さんも終始穏やかなのは、路線の廃止とは意味合いが違うからでしょう。もちろん怒号や罵声が飛び交うことなど一切なく、極めて平和な時間が流れます。見ていて何だか心温まる気がするほどです。
終点の上総亀山駅は、明日から無人駅となるため、こんな人情味溢れる光景も今日で見納めとなります。
終点までタブレット閉塞という駅は、今はもう全国でもここ上総亀山のみ。それも今日限りですが。
陽が暮れるとギャラリーはもうほとんど居なくなりました。でも夜のタブレット交換風景もなかなか風情があっていい感じです。
最後にもう一度、上総亀山を訪れてみました。きびきびと応対する駅員さんがとても頼もしく思えます。特に夜は人が居るだけで安心感が違います。でもこれも今日限りのこと。
券売機の横には、明日から無人駅となる旨のお知らせが貼られています。そしてここの券売機も今日で御役御免とのことです。
明日も同じように列車はやって来るものの、どこか寒々とした様子に感じられるかもしれません。でもいずれはそれも慣れてしまうのでしょう。
昼間はイベント色が強かった久留里駅も、普段の様子を取り戻した感じです。でもここは無人化するわけではなく、また、みどりの窓口もあることから、駅の雰囲気はさほど変わらないものと思われます。タブレットの受け渡しはなくなるけど。
いよいよあとほんの僅かな時間となりました。おつかれさま、ありがとう。
最後に横田駅での“儀式”をしっかりと見届けて、久留里線を後にします。でもたとえタブレット交換はなくなっても、久留里線にはこれからもちょくちょく訪れてみたいものです。
長かった一日が終わりました。