JR東日本には、50歳以上の人が加入できる「大人の休日倶楽部」という会員制の組織がある。入会すると、切符が安く買えるなどという特典があり、中でも期間限定で発売される「大人の休日倶楽部パス」 は、超格安の値段で、広範囲に亘って新幹線や特急に乗り放題となる夢のような切符だ。以前からこの切符の利用者をとても羨ましく思っていたが、先日50歳になったのを機に、さっそく入会手続きを済ませ、ついに今回めでたくこの超特典切符を手に入れることができた。なお切符は2種類あり、今回は『東日本・北陸』版を購入。これから4日間に亘って思う存分乗りまくってくるつもり。
やはりまずは北へ行こうと、東京駅から「はやて」に乗車。自由席がないことで、いつもなら強制的に買わされる指定券に憤慨するところですが、この切符なら指定券も6回まで無料交付を受けられるので問題ナシ。
一ノ関で「はやて」を乗り捨て、大船渡線に乗り換えて気仙沼へ。震災の影響で列車の運行区間はここまでとなりますが、これまでのところ、特に変わった様子は見られません。
駅および駅前も、震災前に訪れた時と比べ、特に変化はないようです。ここだけ見ていると、震災とは無縁の町だったような気がしてしまいます。
ところが、駅前の観光案内所でレンタサイクルを借りて海の方へ下ってみると、一瞬にして地獄絵と化します。ある一定の場所を境として、天国から地獄へと一気に変わる様子を目の当たりにし、改めて津波の凄さ恐ろしさを見せつけられた思いです。
壊滅的な被害を受けたと言われる南気仙沼の駅へ行ってみました。辛うじて残っていた駅舎も今はすっかり撤去され、本当に何もかもなくなってしまいました。僅かに残ったホーム跡から、何とかここが駅だったとわかるくらいです。
さらに海沿いを自転車で走り、気仙沼から盛方面に一駅行った鹿折唐桑の駅にも行ってみました。ホームそのものは無事だったようですが、巨大な漁船が不自然な形で駅前にデンと居座り、計り知れない津波の脅威には本当に驚くばかりです。
その鎮座した大型漁船は、ちょうど駅前の道を塞ぐ形で居座り、バス停がなかったら、ここに駅があることに気がつかないかもしません。ここも瓦礫自体は概ね片付けられましたが、この船だけは一筋縄ではいかないでしょう。
周辺はすっかり更地となり、何もかもなくなってしまいましたが、瓦礫が片付けられただけでもまだ救われた思いがします。整備された周辺道路には車やバスが普通に走り、少しずつでも復興への足取りは進んでいるように思えます。
中心街に戻って来ると、そこは何事もなかったかのごとく、普通の生活が営まれています。ほんの僅かに離れただけで、天と地ほどの差があることなど、とても想像できないことです。
複雑な想いに駆られながら、一ノ関へと戻ってきました。気を取り直し、引き続き旅を続けます。
「やまびこ」に乗って北上へ。新幹線も自由席なら回数制限はありません。
北上からは、北上線に乗り換えます。ここを訪れるのも随分と久々です。
北上線で使われているキハ100は、西日本のキハ120同様、正面ガラスギリギリまで近づけるスーパーかぶりつきが可能。雪を蹴散らして突き進む迫力のある走りっぷりにすっかり興奮。
やってきたのは雪に埋もれる「ほっとゆだ」駅。冬に訪れるのはたぶん初めてではないかと。
駅舎は新しい造りですが、木材をふんだんに使った風情のある造りで、雪国の景観にとてもマッチしています。有人駅なので常に人の温もりが感じられ、それだけで心温まる気がします。
そしてこの駅の大きな特徴は、駅舎に温泉が併設されていること。温泉施設へは、待合室からも繋がっているため、駅から一歩も外へ出ることなく温泉へ直行することが可能です。ということで、ここへ入りに来ました。浴場には鉄道の信号機も設置されていて、なかなかユニークな造りです。まさにホッと温まるひと時。
身体の芯まで温まったところで、さらに北上線を下り、横手へ。太平洋側に比べると、同じ東北でも雪の量が半端じゃないです。
奥羽本線に乗り換えて秋田へ。外は吹雪になりました。
待つことしばし。10分ほど遅れて上野行の寝台特急「あけぼの」がやって来ました。贅沢なことに、今夜はこれに乗って一夜を明かします。ナント持参の切符は、「あけぼの」に限りB寝台にも追加料金ナシで乗れてしまうのです。本当にスゴイ切符です。
外は凍てつく寒さでも、一歩車内へ入ればそこは天国。このまま一旦上野まで乗りますが、旅はまだまだ始まったばかりです。
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FM NACK5の「夕焼けシャトル」
にゲスト出演させていただきます。
1月17日(火)、19:10~19:30
大宮駅前・スタジオアルシェからの公開生放送です。
冷やかし大歓迎ですので、気軽に遊びに来て下さい。