他人から土地を借りて、そこに自分で建物を建てて住む場合、地主との間で土地の賃貸借契約を結びます。

  この建物所有を目的とする土地の賃借権のことを、一般に借地権と呼んでいます。

  都心部などでは、土地が狭くて高いため、地主から土地を借りて借地権を設定し、そこに自宅の建物を建てるというパターンが多く見られます。

  ここで、一つ疑問ですが、一般に借地権は非常に長い契約期間が定められますが、その間に当事者である土地の貸し主や借り主が亡くなった場合、借地権の関係はそれぞれの相続人に引き継がれるのでしょうか?

1  事案
  Aさんは、平成17年2月に、甲さんから土地を借りて、借地権が設定されました。土地の借地権の存続期間は30年と定められました。

  Aさんは、この甲さんから借りた土地の上に建物を建て、その建物について、Aさんの名義の所有権の登記をしました。

  その後、平成20年にAさんが死亡しました。Aさんには子どもがいなく、奥さんであるBさんが唯一の相続人でした。

(1)設問1
  その際、Aさんがこの土地に対して持っていた借地権はどうなるのでしょうか?相続人であるBさんに引き継がれる(つまり相続される)のでしょうか?

(2)設問2
  また、Bさんは、この土地上のAさん名義の建物について、相続を原因として、Bさんの名義への移転登記手続をしたいと考えています。

  このとき、土地上の建物についてBさんの名義に変えることについて、地主である甲さんの承諾は必要ないのでしょうか?

(3)設問3
  さらにその後、平成25年に地主である甲さんが亡くなりました。甲さんの相続人は子どもである乙さんと丙さんの2人です。

  この場合、甲さんが持っていた土地の賃借権はどうなるのでしょうか?

2 回答
  まず、借地権も相続の対象になります。

  そこで、借り主Aさんが死亡した場合は、借地権は奥さんであるBさんが相続することになり、今後は貸し主甲さんとBさんとの間で、それまでの土地の賃貸借関係が続いて行くことになります。

  そして、Bさんは、土地上の建物について、相続登記を行ってAさんからBさんの名義に変えることについて、地主である甲さんの承諾を得る必要はありません。

  ここで、仮に借り主であるAさんが生前に、借地権そのものや借地上の建物を第三者に譲渡しようとする場合には、必ず地主である甲さんの承諾を得る必要があります(民法612条1項)。

  もし承諾を得ないで譲渡した場合には、甲さんは賃貸借契約を解除することができます(同条2項)。

  賃貸借契約というのは、継続的な契約であって、当事者間の信頼関係が重要なので、貸し主からしてみれば、ある日突然知らないわけのわからん人に借地権を勝手に譲渡されると困る、というわけです。

  しかし、借り主が亡くなって、その相続人が借地権を相続して引き継ぐという場合には、いわゆ借地権の譲渡には当たらないため、地主の承諾はいらないのです。

  まあ、相続人が借地権を引き継ぐ場合には、「知らないわけのわからん人」ということにはならず、信頼関係を害することにはならないのが一般です。

  したがって、Bさんは、甲さんの承諾がなくても建物の相続登記を行うことができます。

  また、借地権は相続の対象になりますので、貸し主である甲さんが賃貸借契約期間の途中で亡くなった場合も、貸し主としての地位は甲さんの相続人に引き継がれることになります。

  したがって、上記の事例では、甲さんが亡くなった後は、甲さんの相続人である乙さんと丙さんが貸し主としての地位を引き継ぐことになるのです。
  


<編集後記>
  昨日は仕事で参議院の議員会館に行ったので、ついでにということで、会館地下の食堂に行ってみました。

  とてもきれいな食堂で、メニューも刺身やら天ぷらやら豪勢なものがいっぱい並んでおり、値段もリーズナブルでした。

  ネギトロ丼を頼んでみました。

  本当はゆっくりと味わいたかったのですが、時間がなかったため大急ぎで食べなければいけなかったのが残念です。

  今度来たときにはもっとゆっくり食べたいものです。

 
 

  今日はこれから、原発の事件の裁判期日のため、いわきに出張です。