昨日、イラクの支援活動を行っている高遠菜穂子さんの講演会に行ってきた。

高遠さんは、2004年にイラクで人質として拘束されるという経験をされている。

高遠さんの話によると、イラクのファルージャでは、現在、新生児の先天性欠損症が深刻化しているという。先天性欠損症というのは、生まれたばかりの赤ん坊に心疾患、無脳症、小頭症、四肢欠損等の症状がみられることをいう。ファルージャでは、この先天性欠損症の新生児が何と約14%もいるそうだ。

ファルージャは、イラク戦争においてアメリカ軍の総攻撃の対象となった地域で、こうした新生児の先天性欠損症は、アメリカ軍が投下した劣化ウラン弾の影響ではないかと言われている。

高遠さんは、今年の1月にファルージャ総合病院に約1ヶ月間滞在し、こうした新生児の調査を行った。新生児写真も見せてもらったが、生まれつき腸や心臓などの臓器が外部に飛び出している赤ん坊や、四肢の骨格が変形している子どもなど、その映像は衝撃的なものだった。

何より恐ろしいと思ったのは、こうしたイラクにおける驚くべき実態が、日本のマスコミにおいてほとんど報道されないということだ。日本でこうした実態を報道すれば、福島の問題にも通じて混乱が生じると考えているのか。事実がきちんと報道されないというのは異常なことだ。それと同時に、安易にアメリカのイラク戦争を支持した日本政府の対応にも、改めて憤りを感じる。

それにしても、高遠さんの話を聞いたのは始めてだったが、スゴイ人だった。2003年のイラク戦争開戦以来10年間イラクに通い続けている。下世話な話だが、一体どうやって生計を立てているのか気になったが、普段は牧場などでバイトをして貯金を作り、お金が溜まったら年に2回ほどイラクを訪れているのだという。その行動力やパワフルさには敬服してしまう。

世の中には本当にスゴイ人がいるものだ。また一つ視野が広がったように思う。