ルービニ教授の底打ち宣言
昨日のNYは4日間続伸。
6月の雇用統計が期待はずれだった事から、
景気回復に疑念が生じ、
相場はだらだらと下げていたが、
とりあえず一旦下げ止まった模様。
GSやJPMのような米銀の好決算もあったが、
昨日はあの「ルービニ教授」の底打ち宣言が、
相場を押し上げたようだ。
NY大学の「ヌリエル・ルービニ」(Nouriel Roubini)教授と言えば、
2006年9月のIMF総会で、
「アメリカに金融危機が起こる」と発言し、
当時は「人騒がせな人」と相手にされなかったものの、
実際世界を巻き込んだ今回の金融危機が発生すると、
「破滅を予言した男」としてその言動が
注目されるようになった人物だ。
2008年にも、「住宅バブル崩壊がもたらしたアメリカの経済危機は
12のステップを経て「金融メルトダウン」を招き、
アメリカの金融システムに1兆ドルの損失を与えると予測した」
これまでかなり悲観的なコメントをし、
それがことごとく当たっていたルービニ教授が、
底打ち宣言したというのだ。
ブルームバーグによると、
「米ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授(経済学)は16日、
米国は年末までにリセッション(景気後退)から
脱却する可能性があるとの見通しを示した。
同教授は今回の金融危機を予測したことで知られる。
ニューヨークで開催されたチリの投資家向けの
会議に出席したルービニ教授は、
米経済についてインタビューに対し
「底入れしたか、底付近に達した可能性がある」
と指摘。
「あらゆる意味で、経済や金融の状況は最悪期を脱した」
と述べた一方、
「リセッションは年末まで持続する公算がある」
との見方も示した。
ルービニ教授の発言もあり、米国株は4日続伸。
S&P500種株価指数は、前日比0.9%高の940.74で取引を終えた。
同教授は年末までのリセッション終息に関するこの日の発言について、
「過去に示した」見解と同じだと発表文で説明した。
その上で、米景気の回復が「平均を下回る、奥行きの浅い」ものになるとの
従来の見解を維持していることを明らかにした。
同教授は
「米国は財政投入による景気刺激を継続すべきであり、
第2弾が必要になる可能性もある」とし、
雇用や鉱工業生産、住宅市場において「今も深刻な弱さが見られる」と指摘した。
さらに、最大2500億ドル規模の刺激策第2弾が来年初めに必要になる可能性があると指摘。
失業率が「年末までに10%をかなり超える水準」に上昇した場合には特にそうだと述べた。
同教授はまた、世界経済が上向けば、
中国やインド、ブラジルなどの主要新興国が最も早く回復する可能性があると指摘。
チリとウルグアイ、コロンビア、ペルーも成長の可能性が比較的高いと述べた。
一方、ハンガリーやブルガリア、ウクライナなど欧州の新興成長国は
大きな課題に直面しているとの見方を示した。
先月、かのジョージ・ソロス氏も中国での講演で、
「世界の金融危機は最悪期を脱した」と発言していた。
ソロス氏も早くから今回の危機を「戦後最大の金融危機」とし、
2008年の春頃に、「CDS市場が危険だ」と指摘していた。
その後CDSへの多額な投資でAIGが破綻の危機を迎えたのは、
周知の事実である。
早くから危機の深刻さを予言した人達が、
そろって底打ちを宣言した事は、
世界にとって良い事と思う。
しかし、ルービニ教授は、
危機からの回復過程は、
穏やかなものになると予想しており、
マーケットの期待が大き過ぎると、
失望売りで大きな値下がりを経験する事もありそう。
日本のバブル崩壊を見ても、
そう簡単に解決されるとも思われず、
しばらくは、
「楽観と悲観」
との間の
往来相場になりそうな気がする。