日本経済の「ここ」があぶない | bigmokaruのブログ

日本経済の「ここ」があぶない


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「竹中平蔵」氏と「幸田真音」氏との対談です。


竹中氏は、私のお気に入りの経済学者である。


何しろ言うことがはっきりしていて「気持ちがいい」


論点がはっきりしていて、話の内容が非常にロジカルである。


経済学者だから当然だと思われる向きも

あるかもしれないが、

大した根拠もなしに持論を展開する

経済学者やコメンテーターも多々見受ける。


竹中氏の言っていることが正しいかどうかは別としても、

いつも面白い論点を転換してくれて話を聞くのが楽しみだ。


この幸田氏との対談もなかなか面白いので、

一読をお勧めするが、

中に色々興味深いデータが載っていたので、

抜粋したい。


住宅事情の日米比較

住宅価格は、

日本が年収の5.6倍(2500万円)

米国は、2.8倍(1300万円)


持ち家の平均床面積は、

日本120㎡

米国160㎡


賃貸住宅は、

日本50㎡

米国120㎡


住宅の耐用年数は、

日本35年

米国96年


持ち家の床面積はともかく賃貸住宅の床面積は、

倍以上と日本はかなり狭い。

住宅の耐用年数も日本は米国と比較すると1/3近い。

何で日本の住宅の寿命はこんなに短いのでしょう?


租税負担の国際比較

租税負担率=個人所得税+法人所得税+消費税+資産課税


日本:25.1%

米国:23.2%

独:27.5%

スウェーデン:49.9%


国民負担率=租税負担率+社会保障負担率


日本:39.7%

米国:31.9%

独:51.3%

スウェーデン:70.2%


○オランダの奇跡


オランダでは、パートタイム労働者の比率が40%超と、

ヨーロッパの中でも格段に高い。

これは、ワークシェアリングを積極的に

進めてきたことによるもので、

オランダが長期の経済停滞から抜け出すことが

できた大きな要因であると言われている。


70年代のオイルショックの後、

景気の低迷と物価の上昇に苦しんだオランダでは、

政府と労働組合、企業の三者で

経済危機建て直しのための協調体制を構築、


「労働者側は企業業績向上のために、

賃金の削減に協力する」


「企業側と労働者側は雇用の確保・創出のために

労働時間の短縮を認める」


「政府は、労働者の所得減少を補うため

減税と社会保障負担の削減を行うとともに

財成支出の削減をおこなう」


これらに合意した。


これによりワークシェアリングが進み、

失業の抑制と景気の回復という

「オランダの奇跡」を達成した。


オランダでは、この過程で日本同様

パートタイム労働者が増加したが、

これを守る為にフルタイム労働者と

パートタイム労働者の間で、

賃金、社会保障、労働条件に

差をつける事が禁止された。


日本でも労働の多様化に対応する為に、

パートタイム労働者が増えるのは

仕方が無いにしても、

失業保険、健康保険などの社会保障が

受けられないことが問題だと思います。


とかく小泉時代の規制緩和が問題視

されますが、労働組合にパートタイム労働者が

加入できなかったり、パートタイム労働者が年金に

入れない状況が問題なのだと思います。


○一人当たりGDP

1993年に首位に立った日本は、

90年代から2000年台初頭まで

概ねベスト5を維持していました。


その後他国が高い成長を続けた事と、

円安が進んだ影響で05年は14位にまで

落ちてしまいました。


05年の統計では、

1.ルクセンブルク

2.ノルウェー

3.アイスランド

4.スイス

5.アイルランド

6.デンマーク

7.アメリカ

8.スウェーデン

9.オランダ

10.イギリス

11.フィンランド

12.オーストラリア

13.オーストリア

14.日本

15.ベルギー

16.フランス

17.カナダ

18.ドイツ

19.イタリア


上位は東欧の小国が占めているので、

昨今の金融危機でだいぶ状況は

様変わりしているでしょうね。

(特に3位のアイスランドは国が破綻状態ですから・・・)


また円高により日本の順位の多少

上昇しているでしょう。


そう考えると、今回の金融危機は、

日本にとってチャンスでしょう!


○パワーパラドックス


経済的弱者は政治的に保護される

         ↓

保護されると競争から開放され

自由時間ができる

         ↓

自由時間を政治活動に使う

         ↓

経済的弱者は政治的強者になる


最近の「ビック3」の救済策を見ても

この状況が見られますし、

日本でもこうした傾向が見られます。


結局デモ行進とかに参加するのは、

暇人が多いって事ですかね。

〇サブプライムローン

本書の初版は2008年2月なので、

サブプライムローンについても書かれています。

その中で竹中氏は、

「一部の銀行にはキャピタル・クランチの問題が

間違いなくでてくるでしょう。

ただ、私は最初から言っているんですけど、

サブプライムローンの問題は、

信用システム全体を揺るがすようなものにはならない。

経済の底が抜けるというような状況ではないと思います。

しかし、どこまで拡散しているか分からない故に

不安があってだから長引く。

よくわからなくて、広がっていて、

長引くという意味で、新しいタイプの金融不安になります。」

さすがの竹中氏も判断を誤りましたね。

リーマンブラザースが破綻し、

世界最大の生命保険会社AIGが破綻し、

米国が誇る投資銀行が無くなり、

FRBがバブル崩壊時の日銀同様、

ゼロ金利政策を採らざるおえなくなる。

これ程の金融危機になるとは、

2月の時点で多くの人々が状況を

正確に理解していなかったのも

仕方ない事だったのかも知れませんね。

竹中氏にこの件について質問してみたい気もします。

何故サブプライムローン問題を大したことないと思ったのか?

現在はどう考えているのか?

解決する方法は?

などを・・・。