Perfct Storm
「パーフェクト・ストーム」をご存知だろうか?
「Uボート」のウォルフガング・ペーターゼン監督の
海洋映画だ。
ストーリーはというと、
水揚げの落ちていた「アンドレア・ゲイル号」の乗組員は、
荒れた海に漁に出る。
他の船は安全策を取り漁を取りやめるが、
追い詰められていた彼らは
このチャンスに賭ける事にした。
彼らの思惑は的中し、
漁は大漁になる。
しかし、大時化の海は彼らの
予想を上回る悪天候になる。
いくつもの低気圧が同時発生する
パーフェクト・ストームに彼らは
遭遇するのだ。
結局、彼らは船もろとも海の藻屑となる。
この映画は、実話に基づいており、
自然災害の恐ろしさや、
自然に逆らう人間の愚かさを描いたものだろうが、
私は職業柄、このパーフェクト・ストームを
マーケットと結び付けてしまう。
以前NHKスペシャルで
「マネー革命」という特集があったが、
(マネー革命は、書籍も発売されていて
なかなか良い本です)
この中で、ヘッジファンドを運用する
「ビクター・ニイダーホッファ」という
ファンドマネージャーが出てきた。

彼は、1997年のアジア通貨危機の際に、
プット・オプションを売って
1日で50億円を吹き飛ばし、
彼のファンドもろとも破産した。
彼は、アジア通貨危機の際に
マーケットはあまりに悲観に傾いており、
この嵐が過ぎ去れば戻りに転じると、
読んだのだが、
その戻りに転じる前に彼の口座は
木っ端微塵になってしまったのだ。
結果的に彼の思惑は的中するのだが、
途中の評価損の急増で、
追加担保を請求され、
追加担保を入れられなかった彼は、
嵐の最中、正に安値のなか
ポジションを解消されてしまったのだ。
マーケットでも多少の嵐は
絶好の買いのチャンスになるのだが、
嵐のスケールが自分の予想を超えていると、
たちまち飲み込まれてしまう。

著名な投資家である「ジョージ・ソロス」は、
「ニーダー・ホッファ」と旧知で、
「お前はリスクを取り過ぎる。いつか身の丈以上の
波が来て飲み込まれてしまうぞ」と忠告していたそうだが、
正にそのとおりになってしまった。
現在のマーケットも米国のサブプライム・ローンに端を発した
信用収縮が実体経済に波及し、
ますます雲行きが怪しくなってきた。
職業トレーダーである私も、
「アンドレア・ゲイル号」の教訓に従い漁を見送るべきか、
それとも「虎穴にいらずんば虎児を得ず」と
打って出るべきなのか?
と日々逡巡しているところです。