前回、ピュアオーディオとホームシアターの両立で、音像の定位位置とその立体像、そして音場拡大について書きました。

これを妥協するのに、今回色々と設定値を変更して試してみました。

ピュアオーディオでは、ケーブルやアクセサリーを変更して音質を調節しますが、AVプリアンプを追加すると、さらに各種設定値やパラメトリックイコライザーの調節に加え、音場プログラムも使用できるようになるので、七変化で非常に楽しめます。

今まで、ホームシアターの音場設定では自動測定機能やYPAOボリューム(フラットに近づける)を使用せず、すでにパラメトリックイコライザーでラウドネスを調節したフロント2chとサラウンド2chのみを使用してリスニングポイントでのサラウンド感を自分の耳を使い、手動(スピーカー構成、距離、音量など)で調節してきました。

(フロント サラウンド プレザンス 距離設定)

その上でプレザンス2chを使用して音場を再度調節していましたがこの場合、ホームシアターの音場設定は自分なりに最適化できるのですが、ピュアオーディオ再生時は音像の定位位置と厚み(奥行き)も含めた立体感が、フロント2ch単独で調節した時よりも違和感を感じる設定になってしまいます。

そこで手動設定の順番を変えてみました。

まずはパラメトリックイコライザーでラウドネスを調節したフロント2chでピュアオーディオ再生時の音像の定位位置と立体感、そして音場拡大を自分なりに最適化、この場合、今までのホームシアター設定と比べると音像の定位位置がリスニングポジションよりやや前方になります。

(フロント パラメトリックイコライザー設定)







次にフロント2chはオフにして、音場プログラムのエンハンスドモード(ピュアオーディオとホームシアターを両立できるモード)を使用してパラメトリックイコライザーでラウドネスを調節したサラウンド2chとプレザンス2chでホームシアター再生時の音像の定位位置と立体感、そして音場拡大を自分なりに最適化、この場合、ホームシアター設定なので音像の定位位置はリスニングポジションの耳横になります。

(サラウンド パラメトリックイコライザー設定)

(プレザンス パラメトリックイコライザー設定)

サラウンド2chとプレザンス2chはフロント2chよりほんの少しだけ音圧を低めに設定し、プレザンス2chはハイパス設定で80Hz以下をカットし、パラメトリックイコライザー設定でも125Hz以下は減衰させています。
プレザンス2chは斜め天井方向なので、サラウンド2chとで音像の定位位置を耳横にするためには4.85mとフロント2chの2.75mよりかなり長めになりました。

そしてこの2組の設定を合成してみた結果が以下のスピーカーの距離設定となりました。

(フロント サラウンド プレザンス 距離設定)

まずホームシアター再生時では音像の立体感、特に厚みや奥行き感が非常にリアルになり、音楽ソースのマルチチャンネル再生時でも違和感がかなり軽減され、各スピーカーの音色の違いによる違和感は殆ど感じられませんでした。
音楽ソースのピュアオーディオ再生時では、もともとフロント2chで最適化しているので、問題ありません。

ホームシアターとマルチチャンネル再生時では加えて耳横でも定位するので、通常聴いているDSP音場プログラムのデフォルトの状態でも圧倒的に音場が広く感じられるようになりました。

アトモス化されたバック・トゥ・ザ・フューチャー3のラストで、蒸気機関車が飛んでスクリーンの中からリスニングポイントの後方まで突き抜けるシーンの音圧はまさに圧巻です!

ジュラシック・パークのT-Rex登場シーンで、雨がリスニングルーム全体に降り注ぐリアル感は、まるで自分がその場で雨に打たれているような錯覚さえ感じます。

今回の設定変更でかなり妥協点を詰めることができたような気がします。