単線と撚り線で、電流が流れた時の周波数帯域別、表皮効果と近接効果についての知識がなかったので記載を探してみました。



図で示すと以下のような感じ。


しかし、撚り線は実際のところそれぞれ接触しているので、近接効果で以下のようになるそうです。

●近接効果
導体が隣り合って置かれ、それぞれに電流が流れていると、電流の方向が同一の場合には互いに電流は離れて、電流の方向が逆の場合には互いに近づいて流れる性質があり、
電流の流れが不均一になると導体抵抗は大きくなる。



●撚り線では、表皮効果を受けにくい細さの個々の導体で、電流が流れる内部面積の合計が広くなるので、一見有利のように思えるが、近接効果により全体的に表皮効果があらわれ、むしろ全体の表面の凸凹により、電流の流れが妨げられる。
これを回避するのに個々の表面をポリウレタンで焼き付けして集合させたリッツ線(エナメル線の撚り線なども)が有る。


●各周波数帯域の再生は導体の太さに影響されるが、太さの違う導体を単に集合させても近接効果で問題が生じるので、リッツ線のように絶縁皮膜を形成した太さの違う導体を集合させる必要があり(LANケーブルなども)、およそ0.2mmから0.7mmの太さがよい。

線径0.2mmの単線導体は高音域が鋭く繊細に再生され空間表現や解像度に優れるが、低音域は少なく、線径0.6mmの単線導体は音像が厚く、豊かな低音域が再生されるが高音域は少なく空間表現や解像度感が落ちる。

●単線では、高周波帯域になるほど表皮効果により、導体の電流が流れる内部面積が外周部に集まって狭くなるので導体抵抗が増すが、全体の表面が滑らかなので、電流の流れがスムーズになる。

●LANケーブルなどが扱う超高周波帯域では、特に100000Hz以降では大きく導体抵抗比に差が現れるので、圧倒的に単線が有利になるので撚り線は使えない。
可聴領域の20000Hzまでではあまり大きな差は無いとは言え、やはり単線の方が少しでも有利。
(数値的に差が少なくても、実際に聴いた時の違いは大きい)

●太い導体(直流導体抵抗が小さい)ほど低い周波数から表皮効果の影響が出るので、導体抵抗をさげるためには純度が高い方が有利。

●表皮効果により電流が流れる導体の表面からの深さを表皮深さと言い、高い周波数ほど電流の流れる面積が減るので、単線の場合は表皮深さをカバーできる表面の滑らかさや銀メッキなどの状態で改善。(通常の薄い銀メッキは効果不十分?銀メッキの厚さが表皮深さに勝る様な単線を作るのであれば、純度の高い銀単線を使う方がコストが安い?)

●銅、及びアルミニウム (それぞれ、導電率を 5.82×107 S/m、 及び 3.55×107 S/m と仮定) について計算した表皮深さ(mm)


周波数 表皮深さ (mm)
銅 アルミニウム
100Hz6.68.4
1kHz2.12.7
10kHz0.660.84
100kHz0.2090.27
1MHz0.0660.084
10MHz0.0210.027
100MHz0.00660.0084
1GHz0.0021 0.0027


なお、銅とアルミニウムの双方とも比透磁率は 1 であり、 μ = μ0 = 4π×10-7 H/m 


★ここからは私が思ったことです。

以上のことから、オーディオの可聴領域でも単線やリッツ線の方が有利なように思えますが、実際には表皮効果や表皮深さ、導体の純度、太さ、長さ、導体表面の面積や滑らかさ、銀メッキの厚さなどの最適化をする必要があると感じました。

例えば、銅の純度が高いと伝導率も上がるでしょうが、上記の表のように10kHzまでの可聴領域で表皮深さが0.66mm、100kHzまでの高周波領域で表皮深さが0.209mmであれば、0.2-0.7mmまでの単線では表皮効果をあまり考えなくて良く、この範囲の径の異なるリッツ線を複数使用して撚り線のスピーカーケーブルを作るのはどうか?
→(あ、アインシュタインのスピーカーケーブル)

また単線が太くなると(上記では0.6mm)低音域は再生されるが、高音域は少なく空間表現や解像度感が落ちると言うのであれば、2mmの極太単線ならどうか?

屋内の電気配線はホット側が2mm、マイナス側が1.6mmの単線で、純度の高い2mmの極太単線では内部面積が大きく導体抵抗が低下、また表面積が大きく銀メッキをうまく追加すれば表皮効果を軽減し、高音域の弱さをカバーできるのでは?
これだとスピーカーケーブルにも電源ケーブルにも転用できる。
→(あ、これってアンスズのX、X2ケーブル)


しかもテフロンによる絶縁と錫メッキ網線による二重個別シールドでツイストペア。
理論的にも少し期待してしまいます。^_^