久々に長編小説にチャレンジした。
数年前に「ダ・ヴィンチコードを超えて1位!」と話題になったSFサスペンス小説だが、期待通り十分な読み応えで相当どっぷり浸かってしまった。
先にちょっとだけ文句を言っておくと、
・登場人物が多く、かつカタカナばかりなのでなかなか覚えられない
・前ふりがやたら長い
・哲学的な自問自答シーンが多くて疲れる
ま、そんな短所もあるが総合すると素晴らしい作品である。
しかも、海底や海流、津波のメカニズム、メタンハイドレートの構造など日常生活に役立たない知識が沢山身に付くという特典付きである。
ネタバレにならないようにざっくりストーリーを書くと、
ある日を境に世界中でクジラやオルカの異常行動による海難事故が多発し始める。また、海底の至るところに新種のゴカイが異常発生し始め、やがて人類の存続すら危ういような状況になっていく。事態を重く見たアメリカ政府を中心に世界中の様々な分野の学者が集められ、原因究明に乗り出すが・・・・
といった感じ。
正直、またどうせ突拍子もない展開でファンタジーな結末に持っていくんでしょ?と思いきや、これがなかなか大変なリアリティを伴い最後まで駆け抜ける。
なぜか。
それは一重に作者が大変な勉強家であるからであろう。
生物学、海洋学、遺伝子工学、宇宙工学、地学、化学、石油産業、軍事・・・といったあらゆる分野の膨大な知識を小説に凝縮させ、それをとてつもないリアリティへと昇華させているのである。
取材力という意味では山崎豊子も凄まじいが、この作者も負けていない。
どうやら2006年にユマ・サーマンらが映画化権を取得し、翌年に映画化が発表されたきり、未だその後の報せがない模様。恐らく話が壮大過ぎてまとまらないか、肝心のYrrが映像化困難なんだろうと推察される。個人的には是非とも本作の映画化を実現して欲しい。絶対に観る。