人間化される犬の危険・犬を動物として理解することはなぜ必要か? | 獸木野生Official

獸木野生Official

Blog by graphic novelist / Movie maker Maxine-Yeasty Kemonogi.
漫画家・映画監督獸木野生のオフィシャル・ブログ。著作PALM(パーム)、映画AppleEyeシリーズ。
ペット、アニマルライツ・コミュニティAID活動、旅行記他。

 

 

 

 

*この記事はAIDの活動の一環として、AIDコラボレーターの獸木野生により、以下出典*を元に書かれています。AIDについては下記をご覧ください。

 

AIDホームページ:

http://www.ac.cyberhome.ne.jp/~bigcat/index.html

 

*出典:

・決定版ドッグトレーニングマニュアル/ブルース・フォーグル博士著
・Cesar's Way / by Cesar Millan, Melissa Jo Peltier
・Be the Pack Leader / by Cesar Millan, Melissa Jo Peltier

 

 

*獸木の愛犬ハリー

 

 

 

犬は人間の素晴らしい友であると同時に、猫と比べ世話がかかり、犬の暴力にまつわるトラブルも多い動物です。

吠え癖、犬同士の喧嘩だけでなく、人間に対する攻撃や殺傷のニュースを聞くこともあります。

この中には小さなポメラニアンが人の赤ちゃんを死に至らしめた事例*すら含まれています。

 

 

このような悲劇は、生来猛獣である犬を飼うことに伴う責任の軽視犬について学び理解し、常に100%コントロールする義務への怠慢から生まれています。

 

犬による他の犬や人間の殺傷で最も理不尽なのは、大概の場合飼い主だけでなく殺傷した犬も、あるいは犬だけが処罰され、その多くが殺されるということ。

言うまでもなく、元々猛獣である犬には一切の責任がなく、非は全てコントロールを怠った飼い主にあります。

 

*あるシェルターで会った、他の犬を襲ったことで保護されたボルゾイたちの一匹。

 

 

犬や他の動物が"畜生"として軽視されていた時代から、その命を人間と対等にみなし大切にする現在のアニマルライツのムーブメントは尊いものです。

しかし今の段階でわたしたちは、動物を同等視することに集中するあまり、人間化してはいないでしょうか?

 

動物を命あるものとして人間と同じように尊重することと、動物を人間に見立てて人間と同じように扱う事は、一見似ていて混同しやすいですが、全く正反対の意味を持っています。

 

前者は動物に尊厳を与え、

後者は本来の姿を無視して尊厳を奪う行為です。

 

 

そして特に飼い犬の場合、人間化され本来の性質や必要なものを無視されることによって不安定化し、これが問題行動やトラブルにつながります。

 

 

 

わたしが滞在したオーストラリア(メルボルン)には、安価で毎週気軽に参加できる地域のドッグクラブ(しつけ教室)があり、誰でも簡単に飼い主としての訓練を受けることができました。
そういった環境のせいか、約4年の間に目撃した犬同士の喧嘩は、ドッグクラブでの訓練前の若いオス同士の喧嘩のみで、自分の犬の散歩中に他の散歩中の犬に吠えられた記憶もありません。
対して日本では犬を飼い始めた2010年から7年の間に自分の犬が散歩中に他の犬に襲われたこと(リードあり、ノーリード、相手の飼い主がリードを放してしまう、家から飛び出して来るなどすべて違う状況)が覚えているだけで四回(うち一回は傷口を縫合する怪我)。知り合いの犬が他の犬に噛まれたり噛んだり、争ったりしたことはさらに多く、人や飼い主を噛む犬の話も頻繁に聞きます。
実際に飼い主や近所の人の手を血だらけにするチワワを目撃した時は、子供のときからずっと心から信頼できる家族で仲間だった犬がそんなことをするのかと、自分の目を疑いました。
 

しかも現在の日本では、これらの状況はあまり真剣に受け止められていません。

病気や高齢でもないのに散歩中に止まって歩かなくなってしまう犬、通りがかりに狂ったように吠える犬や、謝りながら人目を避けて散歩する飼い主だけでなく、犬同士の喧嘩、他の犬や人を噛んだりする犬さえ当たり前になってしまっている感があります。

 

これらの行動はいずれも飼い犬として正常ではなく、常により大きく深刻な問題に発展する危険をはらんでいます。

 

そして暴力その他の問題行動によって飼い主に破棄され処分される犬があとを絶たないことも周知の通りです。




ではわたしたち一般の人間が、動物である犬を極力理解して飼い方を学ぶにはどうすればいいのでしょう?

 


一部の国では犬の飼い主に一定の学習やテストの義務*がありますが、残念ながら今(2017年現在)の我が国にはそのような制度や上に書いた簡単に通えるオーストラリアのドッグクラブのようなものもなく、行政や地域のしつけ教室なども充実しているとは言えません。

 

今の日本の環境で、犬を飼うのに必要不可欠な基礎知識やノウハウを手に入れる、もっとも簡単で効率の良い方法は、専門家による本から犬についての知識やしつけを学ぶこと。

 

 

犬を飼う人が犬という動物をしっかり理解していれば、犬についての誤解や無理解から起こる問題行動の多くが防げるだけでなく、しつけやトレーニングが格段に楽になり、犬との暮らしがよりストレスのない、楽しいものになります。

 

 

犬の本来の姿、行動心理学や必要なしつけがしっかり学べる、あなたにとって読みやすく、問題が起こった時に解決方法がわかる本に、ぜひ出会ってください。

 

 

読みやすさ、使いやすさはもちろん個人によって違い、他にもたくさん良い本があると思いますが、次の記事(以下URL)では獸木野生が二匹の犬を飼うにあたり実際にメソッドを使用した、二冊の犬の行動学に基づくしつけ本をご紹介します。

 

犬がわかるしつけ本・入門者編と上級者編:

https://ameblo.jp/bigcatstudio/entry-12337423286.html