乳がんの再発率を調べている時
いろいろ疑問に思う事がありました。
例えば「非浸潤がん」の再発率は
全摘の場合と温存の場合はもちろん差があります。
全摘の場合は乳腺を全部取ってしまうのですから
ないところに再発はない。
それで治癒(完治)となり、再発率は理論上0%となるわけです。
(理論上と書いた理由は下記に)
ところが温存の場合は乳腺を残します。
皮下乳腺全摘術も乳腺が残りますから同じです。
手術の時に見えない残りの癌がひそんでいる場合、
これはもう神のみぞ知る。と言えますが
再発率は10~20%ほどです。(放射線治療をしないと
再発率は倍になります)
ネット上で調べていると10%とある場合も
はたまたものすごく高いパーセンテージが出てくる場合もあります。
これは統計を取った施設ごとに違うから差が出てくるわけです。
その施設の医療の水準だって差がある事でしょう。
自分のかかっているところと同じ条件とは限りません。
また生存率が高いと自分の病院を宣伝しているところもありますが、
単純にそこが医療的に優れている病院とも言えません。なぜなら、例えば検診を
主にしている病院が早期で治りやすい患者さんばかり治療して、難しい患者さんは
専門の癌センターなどに紹介しているとしたら、当然ステージの高い患者さんが多い病院のほうが生存率が下がったりしますよね。
また、統計を取ったのも数年前のはずですから、今現在と違うと思います。
ですから再発率や生存率は
そのまま数字をみて単純に納得できるようなものではないと思います。
この施設ごとに違いがある再発率を見て
患者は自分のことを考えなければなりません。
例え10%という場合でも、自分にとっては
再発するか、しないかの二つに一つなのですから
なかなか難しいですね。
★全摘の場合の再発率は理論上0%と書いたのは
再発した人もわずかにいるということです。これはたぶん実際は「浸潤がん」だったのが標本を作る時は5mmスライスにしますから、その間に浸潤部分が入っていた場合というのが理論上あります。
しかし乳がんの病理の第一人者の先生方は実際にはそのような微細な浸潤で再発転移は起こさないと考えておられるようですから、乳がんの転移と思っていたものが、実は胃がんなどの転移だった場合もあるということらしいです。
ですから病理診断に間違いがなく本当に非浸潤がんだったら、全摘すれば再発はしないということです。(この件については最新の情報もありますので2019.4の記事に書いています)