旅程表でいうところの5日目のホテル発は10:00とゆっくりなので、朝食後は街を一人歩きした。
料金は高くなってしまうが、部屋は別々だし、そういうことが出来るのもツアー旅行の一人参加だ。
昨日の夕食の店の道を更に奥に進むと、ここには観光客は滅多に来ないだろうなあ、と思える住宅街が続いていた。
こういう↑緑も広がっていて、運河、路地、橋などは見慣れてしまったので、却って新鮮に感じる。
やっぱりコンクリートやレンガばかりじゃね。
犬の散歩などにも出会う。
ベネチアでは「昔からある井戸や噴水」の話をずいぶん聞いたが、道の片隅にあるこういった水飲み場(?)のような場所にもカメラ心を刺激された。
朝だし、人はいないしね。
船に乗って出かけた三つの島、ムラーノ島、ブラーノ島、トルチェッロ島も全体的にはそれぞれ良かった。
また井戸(?)↑を見つけたり、
昼食のレストランでも、イタリア人の陽気に溢れた接客や庭の花々に感心した。
肝心の料理は味も量も大満足だったしね。
ブラーノ島だったかな、ここは本島に比べて落ち着いていて、心に染みてくるような閑さがあった。
住人も少ない場所という。
ガラス工房とかいろいろ見て回ったのだが、自分にとっては
この↑原色の家々が立ち並ぶトルチェッロ島が一番印象に残った。
人の気配が無いようなあるような。不思議な一角。
ここは霧が立ち込めて視界が遮られやすい場所で、漁師たちは自分の家を早く見つけるためにそれぞれが色塗りをした、ということらしい。
でも、それは「元々は」ということのようで、今ではお土産屋さんなども鮮やかな色をしている。
話は飛んで、その晩も「隠れた良い店」を探し当てて、美味しくビールを頂いた。
帰りは、あれほどごった返していた船の影もめっきり減る時刻になった。
もう、明日一日で終わりだなあ、という気分が忍び込んできたからだろう。
そういう気分が押し寄せてくると「何もない」運河も美しく見えたりする。
で、その翌日は終日自由行動。
我々はゴンドラに乗った。ベネチアとくればゴンドラでしょう。ここまで来れば乗らなくちゃあねぇ。
30分足らずの短い「船旅」なのだが、思ったより揺れもせず、定番消化はそれなりに満足できた。
一艘で90ユーロ。5人まで乗れるようだ。ツアーのご夫婦と一緒に乗ったので、@22.5ユーロで満喫できました。
その後は、
トラゲットと名づけられた渡し舟(@2ユーロ)で運河を渡り、ペギー・グッゲンハイム・コレクションまで向かう。
この美術館はモダン・アート中心で、ピカソ、カンディンスキー、ミロ、ダリ・・・といったところが展示されている。
ペギー・グッゲンハイムが暮らしていた邸宅、というのも魅力的である。
この絵↑が気に入った。(誰の画だったか、覚えていたつもりが・・・)
窓から眺められる外の景色も、より素敵。
運河に面したテラスからは、昨日アカデミア美術館に行くとき渡ったアカデミア橋が望める。
この静かな美術館で食べた昼食の
サンドイッチも美味しかった。パサパサではなく、しっくり、しっとり食べられた。
で、ゆっくりした時間を過ごした後、ホテルまで歩いて帰ろうということになった。
自分はと言えば、他に観るべき場所があったら寄ってもいいのだけれども……という気持ちもあったが、結局はベネチア経験者のCさんに従った。
「地球の歩き方」の地図を参照しながら進む。
路地、運河が入り組んでいて方向が分からなくなる。
でもまあ、地図に載っている場所を歩いているうちは平気だった。
が、歩いている場所が地図からはみ出てしまうと・・・
さあ、たぶんこの右手の方向で間違ってはいないと思うが・・・
と、橋を渡り路地を進んで行くのだが、そのうちに人の気配がしなくなり・・・観光地、という雰囲気も消えていき、急に
こんな↑工場のような場所にぶつかる。ゴンドラを作っているのか修理しているのか・・・。
怪訝そうにこちらを見ている工場の人が2人。
ま、こちらの二人は吞気なもので(まだ日も高いし、ですね)「珍しいモノに出くわした」とそろってカメラを構えていた。
しかし、この後、そうも言っていられないだろうと(←言ってはいませんが)ちょうどうまい具合に通りかかった男女のポリスマンに道を聴く。
目指している行き先が伝わった途端、複雑な表情を浮かべた。
いやあ、ここから駅ですか?
と言っているような感じ(に受け取った)。
でも、終いには手をクネクネとさせながら教えてくれた。一発でたどり着けるかどうかは分からないにせよ、ま、着くには着くだろう。
何となく荒れた感じのする、工事をしている個所も一つ二つある道を通って、ようやく「ああ、ここまで来たか」という地点まで到達できたのであった。
まあこれも街歩きの一種、範疇ですかね。
それほど遅くなったわけでもないが、ホテルに着いたらやや面倒くさくなって、添乗員さんが(自由参加で)連れて行ってくれるというレストラン(酒場のような感じらしい)にその夜の店は決めた。
ホテル出発が5時だという。
え!5時? とその早さに驚かないでもなかったが、 良い店を自分で探す < お薦めの店 となった。
(元は)ユダヤ人が多く住む地域にあるという気軽な店で、注文と同時に決済してしまうという身軽さ。
受け取った飲み物と食べ物は自分で席に運ぶ。待ち時間が極めて少ない。
ここで軽く一杯飲んでからちゃんとした夕食に、という人も多いらしい。
早めに行っていないと座れないし、第一入れない、とのこと。だから5時出発なのですね。人数もそうたくさんは連れていかれない、という理由も分かった。
この↑お皿に乗っているものが酒の肴というわけである。何種類もあって、名前も付いているようなのだが、自分の場合は「これとこれとこれ」と指さして頼んだ。簡単である。@2ユーロ。
足りなければ違う種類のものをまた頼めばいい。合理的である。やり取りに時間がかからない。
そして、旨かった。
やがて店の外にも人が集まりだし、
それ(ら)の人や様子を眺めながらのビールもまた旨かった。
いやあ、この店遅く行ったら入れません。立って飲むのは敬遠したいですしね。連れて行ってもらって大正解だった。
同行したもう1組と添乗員さんが帰った後も、もう一杯、とか言って我々は居残るのだった。
働いている店の人の姿もカッコよく、何も展示されていないのに「あなたの着ているシャツが欲しい」とTシャツを一枚お土産に買ってしまった。
2軒離れた場所に倉庫に使われている事務所のような建物があり、そこに積まれていた。あれ、いつもは売っていないよなあ。いつ売るのだろう?まあいいか。
そして、明日はもう日本に帰るのだから・・・、とお馴染みの(?)駅前のホテル屋上に向かった。
天気も良く、人もこの前より多いようだった。
「人」の中には、
こんな人たち↑もいる。
海外旅行ならではの味わいである。
ベネチア、楽しい時間を過ごしましたね。
もう行くことも、いや、行けることもないだろう。
翌朝の散歩で見たこれ↑が、ベネチア最後の写真ということになるかな。
売っているのか、ただ置いてあるだけなのか、
これがあったのも、最後の晩のホテル近くの、右に左に折れる路地を行った、気持ちだけ道が広くなっている場所だった。
(終わり)