川越では昨日の午後、2時前ごろから雨が落ちてきた。
昨夜から今朝にかけての本降りではなかった。ぽつりぽつりと「降っている」ことを知らせるだけのような、予告編のような雨だった。
玄関前で自転車にまたがっていた自分は、はて・・・、と一瞬考えた。
鳥の声でも聴きに行こうと、家を出るには出たが、帰りには本格的に降られて濡れてしまうかな・・・
でもなあ、ここでやめてしまうと、「運動、運動、と言っている割には何もせず、じっとしているだけの爺さん」の仲間入りと みなされてしまうかなあ
持ち前の「反抗心」(←?)がちょっぴり顔を出して、
濡れるほどの雨になったら急いで帰ってこよう
と決め、4,5Km先の土手を目指すことにした。
春に桜を見に行った辺りである。あの時は車だったが。
目的地近くでは田植えが進み始めていた。この土手の向こうが入間川である。
こうしてみても、ここの桜はずいぶん大きくなった。
土手はいい。
車が来ませんからね。
静かで、本当に鳥の囀りも伸び伸びとしているように感じられる。
幸い、雨も止むことはなかったが、濡れるほどでもなかった。
土手を下って田畑の広がるところへ行くと、
所々に止まりたくなるような、写真を撮りたくなるようなポイントに出くわす。
誰かが遊びに来るような場所でもなく、名所旧跡がある訳でもなさそうなので、人の気配があまりしない。
畑仕事と田植え作業のおじさんばかりだった。
カメラを向ける人は他にはいなかった。
得とか損とか、そういうことを考えるような世界ではない。
ただ、ある。
って感じでしょうか。
下に降りたままの道で帰ろうと思ったのだが、途中で川に遮られ、元来た道を引き返すことにした。
土手の道すぐ脇の、生垣のようなこんもりとした場所では、1mほどの近さから鳥の声が聞こえたが、姿は見えなかった。
上手に隠れて、安心して囀っているのでしょうね、きっと。
数種類、いやもっとあったかもしれない、様々な鳥の声を聞いたが、ウグイス以外は分からなかった。
もう知ることもないだろう。
更に車の通る一般道を行くと、そこでも田植えの真っ最中だった。
この苗がきちんと植えられ、順調に育っていく様子を今年も見られるだろうか。
ひとつひとつのかけらのような景色が、平凡を絵にかいたような景色が、自分の気持ちを癒してくれるだろうか。
今年も……。