CA3K20930001.jpg羽田空港からのアメリカ便が増えることに決まったそうだ。

これまではなかった昼間の発着便が認められるそうで、ニューヨークなどの東海岸との行き来はずいぶん便利になるだろう。

成田空港でないところがこのニュースのミソですね。

成田は国際便、羽田は国内便、との了解があったはずだが、なし崩しになっていきそうだ。


国際空港を成田に、と決められたのはもうかなり昔のことになるが、その時(若い自分は)

「なんで(便利な)羽田を拡張しないのだろう?」

と思ったものだ。

住民の騒音問題や埋め立ての技術的な問題などが指摘された記憶があるが、ナニ結局は羽田空港は拡張に次ぐ拡張の歴史をたどった。

今になっても成田空港が歓迎されているとは思わない。

もちろん羽田だけでは足りないのも事実なのだろうが。


基本的に、利便性が増すのは利用者にとってはありがたい。


さて、このニュースを聞いて思ったもう一つのことは「以遠権」についてである。

この言葉自体を知っている人もかなり減ってきているのではないだろうか。

昔は、といっても20年ぐらい前までだったろうか、航空交渉といえばこの「以遠権」を巡る攻防がその核と言ってもいいぐらいだったのではないか。

詳しくはウィキペディアででも調べてもらうとして、

例えば日米なら日米で、

東京 - ニューヨーク 間で自国の航空会社に何便を認め合うか、の他に

更に先まで、どこまで行くことを認め合うか、というようなことだ。

これが典型的な不平等条約というか不平等交渉で、

アメリカには  東京 - ニューヨーク間 だけでなく更にフィリピンだのベトナムだのヨーロッパ全土だの(極端に言えば)どこまででも飛んでいける権利があるのに、日本は韓国までとかロンドンまで、

というようなことだった。


こういうニュースを聞くたびに、柄にもなく愛国心に燃えたものだ。

なぜこんな不平等がまかり通るのか!

なぜ日本はもっと強気の交渉が出来ないのか! と。

所詮、国力の差なのか……。

それならもっともっと経済力をつけて、アメリカ(や他の先進国)に追いつき追い越さねば……。

熱烈(でもない、が)愛国者の青年(→からけっこうなオジサンになるまで)は、そんな風に憤っていたものだ。


今回のニュースにはどこにも「以遠権」の言葉は出てこない。

そもそもそういう概念は過去の遺物となっているのだろう。


航空機の性能向上の他に、日本の地位が上がったことも確かにあるだろう。

だが、国力がモノをいう時代は巡り、どう逆立ちしても離される一方の大国が出現しつつあり、

何だか(過去のことを棚に上げて)イヤな感じであるのも否めない。