第11室7話「最後に流したい一曲。」
第7話「最後に流したい一曲。」
~人生のエンドロールに、あなたは何を流しますか~
最近、時々考えることがあります。
もし、人生にエンドロールがあるとしたら。その最後に、私は何を流すのだろう。
映画には、必ずエンドロールがあります。
楽しかった映画も。
悲しい映画も。
最後には、静かに音楽が流れます。
そして観客は、その音楽を聴きながら、物語を振り返ります。
もしかすると人生も同じなのかもしれません。
もし、人生の最後の一日が来たとして。
病室でも。
自宅でも。あるいは、いつもの書斎でもいい。
EMT930に、最後の一枚を乗せることができるなら。私は、何を選ぶのでしょう。
ビル・エヴァンスでしょうか。
マイルス・デイヴィスでしょうか。
コルトレーンでしょうか。
それとも何十年も聴き続けてきた、あの一枚でしょうか。
しかししばらく考えて、私は気づきました。
本当に最後に流したいのは、曲ではないのかもしれません。
聴きたいのは
* 妻の笑い声。
* 子供たちの声。
* 友人たちとの思い出。
* 若かった頃の自分の足音。
* 「おかえり」と言ってくれた人の声。
そして人生の中で出会った、すべての音。
人生とは、不思議なものです。若い頃は、「何を得るか」を考えて生きています。
しかし、最後には「誰と、どんな時間を過ごしたか。」だけが残ります。
高価なレコードも、真空管も、EMT930も。
いつかは、誰かに譲られていくでしょう。
しかし愛した記憶だけは、どこにも置いていけません。
私は思うのです、もし人生のエンドロールが流れるなら。
そこには、こんな文字が流れてほしい。
主演 あなた
共演 家族、友人、恩師
特別出演 Blue Note、EMT930、真空管
音楽 人生そのもの
そして最後に「この物語は、とても幸せな人生でした。」と。
幸せな人生とは大きな成功をすることではないのかもしれません。
最後の瞬間に、ああ、面白かった。
そう言えることなのだと思います。
もし、今夜。誰かにこう尋ねられたら「人生の最後に、何を流しますか。」少しだけ考えてみてください。
その答えの中に、あなたが本当に愛してきたものが、きっと隠れています
人生のエンドロールが教えてくれた七つのこと
1. 人生は、一つの物語である。
2. 本当に大切なのは、誰と生きたかである。
3. 愛したものは、人生の背景音楽になる。
4. 幸せとは、「面白かった」と言えることである。
5. 人生の価値は、長さではなく深さで決まる。
6. 最後に残るのは、愛した記憶である。
7. 人生は、最後の一曲が流れるまで終わらない。
人生は、まだ続きます。明日も、また朝が来ます。
新しいレコードに出会うかもしれません。
新しい夢が始まるかもしれません。
だから最後の一曲は、まだ決めなくてもいいのです。
最後の一文「人生の最後に流したい一曲を持っている人は、幸せだ。」
「そして、その一曲を探し続けることこそが、生きるということなのかもしれない。」
音の文化館 終幕
本物を知り、 時代を知り、 音を知り、 人を知り。
そして最後に
自分の人生を知る。
それが、音の文化館でした。


