【攻撃性を増す中国の「茹でガエル」戦術】緊張高まる南シナ海へ、日本に必要な対応とは(Wedge(ウェッジ)) - Yahoo!ニュース

 

以下、記事の抜粋。

【攻撃性を増す中国の「茹でガエル」戦術】緊張高まる南シナ海へ、日本に必要な対応とは

配信

 

Wedge(ウェッジ)

(Anton Petrus/gettyimages)

 2024年4月28日付の英フィナンシャル・タイムズ紙は、Demetri Sevastopulo 同紙米中特派員によるインタビュー記事で、退任間際のアキリーノ米インド太平洋軍司令官が、南シナ海で徐々に圧力を強める中国の戦略を「茹でガエル」戦術だと述べたことを紹介している。  来週パパロ海軍大将にその指揮権を委譲するアキリーノ米インド太平洋軍司令官は、「中国はますます攻撃的になり、大胆になり、危険度を増大させている」と語った。同司令官は、在職中の3年間に、中国が軍事力増強を速め、行動は次第に攻撃性を増し、地域を益々不安定化させたと述べた。  司令官は、中国のやり方を「茹でガエル」戦術と呼んだ。それは、静かに温度を上昇させることで敵に危険を過小評価させ、真に危機的事態に達したときには既に手遅れになっているようにする戦術である。中国はこの戦術を追求し、益々危険な軍事行動で地域の緊張を高めていると司令官は非難した。   アキリーノ司令官は、22年8月、当時のペロシ米下院議長の台湾訪問に際して中国が前例のない軍事演習を行ったときも、昨年中国のスパイ気球が米国上空を飛んだ折も指揮を執っていた。最も神経をすり減らした出来事は、ペロシ議長の台湾訪問の時で、その理由を、中国が同訪問を米国の政策のエスカレーションと誤解したためだと説明した。  中国の軍用機は、以前は両国間の緩衝地帯とされていた台湾海峡の中間線を、現在は日常的に飛び越えている。最近では、中国の沿岸警備隊も台湾の金門島と馬祖島周辺で攻撃的姿勢を見せている。  アキリーノ司令官によれば、中国の威圧戦術の最たる例は、フィリピンの排他的経済水域内にあるサンゴ礁、セカンド・トーマス礁周辺だという。同司令官は、「セカンド・トーマス礁について非常に懸念している。フィリピンの沿岸警備隊員と軍人が負傷している。これは更に一歩踏み込んだ威圧戦術だ」と述べた。  中国沿岸警備隊の船は過去数カ月、フィリピン軍がシエラマドレ号上の海兵隊員に補給物資を送るのを阻止するため、放水砲の発射を含む攻撃を行っている。

アキリーノ司令官は、中国以外の脅威、特に23年にそれ以前の累計よりも多くのミサイルを発射した北朝鮮を含む他の脅威についても懸念していると述べた。彼は、北朝鮮とロシアの協力や中国とロシアの関係深化に細心の注意を払っていると述べ、これらは「非常に懸念される」と強調した。  アキリーノ司令官は、同盟国との協力を含め、各々の能力の運用と提供の方策を構築する上でスピードと緊急性が課題であると述べた。アキリーノ司令官は、「この戦域での紛争を防ぐ能力を構築するには、関係諸国が新しい近代化能力を増強し、早急にそれらを提供し合える態勢を早期に確立することが必要になるだろう」と述べた。 *   *   *

日本がすべきこと

この記事が紹介する退官直前のアキリーノ米インド太平洋軍司令官の東アジアから西太平洋に至る戦域に関する戦略評価は、直接の担当者としての評価に重みはあるが、世上聞かれる多くの評価との間に大きな開きはない。  この記事について特に注目したいのは、同司令官の指摘のうち、各同盟諸国の戦力強化の必要に言及した後、その能力を提供し合う方策の構築が急務であると述べた点である。この先、事態が緊迫するにつれ、同盟関係のマネジメントという観点からの諸課題が想像される。「同盟の力学」の作用と反作用という問題である。  米国とその同盟諸国との間では、欧州諸国であれ、韓国であれ、駐留米軍の地位に関するさまざまな問題が同盟関係の処理に当たる諸当局に課題を提示してきた。そして事態が緊迫度を高めるに従って、防衛協力の議論は指揮命令系統の統合問題に発展し、究極的には国家の主権という根源的問題に至る。  欧州や韓国とは異なり、わが国はいまだその段階には達していないが、古来、同盟軍の戦いでは指揮権を移譲した側の損害が大きくなるとの定評に鑑み、その観点からもわが国は自らの能力強化を早急に進めるべきだという声は傾聴に値する。  なお、報道によれば、林芳正官房長官はさる4月11日の記者会見で、「自衛隊の統合作戦司令部が米軍の指揮・統制下に入ることはない」と説明した由だが、水位はもう少し上昇しそうな気配がする。

岡崎研究所』

以上、抜粋終わり。

 

 

記事にもあるように、南シナ海にしろ台湾にしろ日本にしろ中国は「茹でガエル戦術」で少しずつ着実に領域を侵犯しています。

ロシアがウクライナに侵攻したように、中国も日本、台湾、フィリピン他東南アジアに侵攻する日が来てしまいます。早めに対処すべきです。