もしかして初ドラマ登場?寛和の変

既に周回遅れになっていますが、先ほどようやく見ました、「光る君へ」の第10回「月夜の陰謀」。名前はすごく有名なのに、生没年不詳で謎だらけ、というのが紫式部です。今回は、「不明な生い立ち」を時代背景を踏まえながら上手く描いていたと思いました。

 

ここからはネタバレになりますので、まだ見ていない方はご注意ください。

大河ドラマ「光る君へ」 - NHK

なお、私は歴史ドラマは「ドラマとして面白ければいい」と考えています。歴史にあまり興味がない人が興味を持つきっかけになることが一つの重要な効果だと思います。なので、通説や異説と異なるストーリーであっても構わないと思っています。むしろ、説得力があって斬新な切り口で描かれた方が面白いと思っています。感想はあまり飾らずになるべく素直に書きますが、大河ドラマや『光る君へ』を貶めるつもりはまったくありません。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・破天荒だが、やはり「お坊ちゃん」だった花山天皇
即位前から女好きでぶっ飛んでいたキャラでしたが、即位後は意外と一途。よしこさんに首ったけでした。ただ、ここが若いというか、お坊ちゃん育ちらしいところです。彼は自分自身の心に正直に振る舞うことができますが、周囲の者はそうはいきません。主君である天皇や上司の気持ちを忖度し、信頼を勝ち取ることが大事です。そのためには、道兼のように平気で嘘をついたりもします。君主であるならば、そこを理解しないといけません。『光る君へ』の花山天皇にはそれがなく、だから「信頼できる家臣」が極端に少なく、道兼のような「偽忠臣」に簡単に騙されてしまったんだと思います。
 
とはいえ、よしこさんを心底愛していた姿は、カッコよかったと思います。
 
・寛和の変 史料ではどうなっている?
もしかしたら、今回初めてドラマで描かれたんじゃないでしょうか?「寛和(かんな)の変」。
番組の最後で、花山天皇突然出家事件は藤原兼家らの陰謀だったと「大鏡」に書いてある、と紹介していました。私が調べたところでは、大鏡と他いくつかの史料に事件の経緯が記載されているそうです。貴族の日記とかが残っていれば、有力な根拠となるのですが、史実と言い切れるかどうかはやや微妙な気もしました。ただ、花山天皇がこの時点で出家して退位したのは事実と見て問題ないので、大鏡の記述はそれほど外していないでしょう。
 
時間帯(丑の刻とか)をかなり気にしたり、日にちを気にしたりと、信心深かった当時らしい事件だったと思います。安倍晴明のような陰陽師が重宝がられていたのもうなずける内容です。
 
 
・道長とまひろ 相思相愛を確認したものの・・
ついに結ばれたまひろと道長。ヒロインとヒーローなので、二人が何かしらの形で結ばれることは当初から予想していたので、そこは驚きません。ですが、まひろよりも道長の方が情熱的にまひろを愛していた、という展開は意外でした。情熱をそのままぶつけてくる道長に対し、理解を示しつつもわりと冷静に対応するまひろ。恋しさのあまり周囲が見えなくなっている道長に対し、まひろは道長が好きである一方で、身分の違い、社会的立場の違いを気にして道長の気持ちを素直に受け入れられません。「嬉しいけど悲しい」というまひろの涙は本物でした。
 
さて、道長とまひろ、相思相愛を確認しつつも、それぞれの道を歩む始めることになります。今後の展開が楽しみです!