疫病に苦しむ民衆と関白様
先ほど見ました、「光る君へ」の第16回 華の影。時代は994年頃のお話です。
今回も歴史用語がけっこう出てきました。第16回の用語集が番組公式サイトに出ていますので紹介します。
用語集 大河ドラマ「光る君へ」第16回より - 大河ドラマ「光る君へ」 - NHK
ここからはネタバレになりますので、まだ見ていない方はご注意ください。
大河ドラマ「光る君へ」 - NHK
なお、私は歴史ドラマは「ドラマとして面白ければいい」と考えています。歴史にあまり興味がない人が興味を持つきっかけになることが一つの重要な効果だと思います。なので、通説や異説と異なるストーリーであっても構わないと思っています。むしろ、説得力があって斬新な切り口で描かれた方が面白いと思っています。感想はあまり飾らずになるべく素直に書きますが、大河ドラマや『光る君へ』を貶めるつもりはまったくありません。
・「香炉峰の雪」雪で遊ぶ一条天皇と中宮定子、そして側近たちだが・・
内裏の中庭に積もった雪で、無邪気に遊ぶ一条天皇と中宮定子、そして藤原斉信ら側近たち。きらびやかな衣装に身を包んだ平安貴族らが、雪化粧した中庭で遊ぶ姿はまさに「雅」です。
でも、これ実際にやったら
絶対寒いハズ
素手で雪を触ってましたが、最初は気にならなくても、だんだん手がかじかんできます。上着も来ていないのに、外で遊んでたら間違いなく寒さで震え始めます。遊ぶのはいいですが、もっと暖かい服を着ないと、とても「雅」に遊べる気温ではありません。
その辺は、ドラマ演出の視覚効果も狙ったシーンだったのでいいと思いますが、実際のところ、平安貴族が雪で遊ぶときはどんな防寒着を着ていたんでしょうね?庶民と同じような「みの」を着ていたんでしょうか?ちょっと気になりました。
・疫病の前に人間は無力 今でもそこはあまり変わっていない
現代でも、ついこないだ新型コロナが大流行し、亡くなった方もいればコロナ流行のあおりを受けてたいへんな苦境に陥った方もいました。現代でも、疫病流行に対して人間が対抗できることは限られています。医療技術も未発達だった当時は、ひとたび疫病が流行し始めたら、当時の貴族にまともな対応が取れるはずもなく、神頼みしかなかったでしょう。
そんな時代に比べれば、現代は飛躍的に進歩しました。病気にかかれば、たいていは医者に診てもらえますし、薬も出してもらえます。病気の原因に関する知識も普及してきているので、隔離などで更なる流行を防いだり、重症患者には集中治療したりも可能になりました。もちろん、受け入れ可能量の一時的な不足など、課題は多いですが、平安時代に比べればだいぶマシになっているな、と思いました。
ちなみに、994年に流行した病は「疱瘡(天然痘、とも)」らしいです。
・少し変わった?藤原道兼
跡取りに選ばれなかった「汚れ役」の次男・道兼ですが、内大臣さらには右大臣となってからは少し成長した様子が見て取れます。父譲りの傲慢な伊周に対して「そんな心構えで内大臣が務まるとは思えんな」と厳しく指摘。彼自身も、決して褒められる実績があるわけではありませんが、時流に乗って我が物顔の道隆一家に釘をさす人物になっていました。また、疫病対策を取るためにも自ら都を視察。初回で強烈な「悪役」キャライメージを持たされた道兼ですが、今後は「挫折を経験して、成長した道兼」として描かれるようです。
これまでの描写から考えると、おそらく道兼というキャラには「人生はやり直せる」というテーマを載せているのかと思います。多くの人は誰しも失敗や挫折を経験するものです。そこはほとんど同じです。ただ、その経験から人がどう変わっていくのか?ここが人によってまったく異なる部分になります。今後の道兼の描かれ方は注目点ですね。
ただ、今回の道兼の場合、前科がまひろの母親殺しという殺人なので、身分は高くても罪科はかなり重いです。それでも彼が右大臣という高官に就いているところが「歴史ドラマ」らしくていいと思います。
次回、第17回も楽しみにしています!