トク、トク、トク

私の心臓の音

 

言っちゃった

ヒヤヒヤな気持ち

 

大さんがまっすぐ私を見てる

目をそらしたいけどそらせない

どうしよう

 

すると大さんはニコって笑った

え?なに?どういう…

でも静かに言った

 

「やめたほうがいいよ

 つらくなるから

 家族を大事にしたほうがいい」

 

他人行儀な言い方に

その冷静さが

私に火をつけた

 

「よくないことはわかってる

 でもこんなふうに人を好きになるなんて

 この気持ちを大事にしたいの」

 

大さんはなんとも言えない顔をしてた


閉店時間になり外に出た

なんか帰りたくないけど

もうすぐ電車もなくなる

 

帰らなきゃ

でも帰りたくない


帰る、帰らない、うーん

という会話を繰り返し

思いついたのが

 

「散歩しよ」

 

は?って言われるかと思ったら、

 

「私も歩くの好きなんで行きましょう」

 

終電のなくなった国道沿いの道を

長く歩き出した