この春の五月から神奈川県の大磯港にある
めしや大磯港
さんで魚の捌き方の修業をさせて頂いておりました。
包丁は合羽橋で出刃と柳刃をそれぞれ購入しました、もちろん安価なものです。
今思えば他にも必要なものは色々とありましたが、経済的な余裕がまったくない状況で包丁と着替えだけで大磯町に向かいました。
比較的近くに住んでいる元嫁さんに宿をお願いして通うつもりでしたが、はっきりと断られました。
そりゃあそうですよね(笑
はじめのうちは平塚駅前の漫喫に泊まり、始発で大磯町に向かい六時からの修業に間に合わせるという形となりました。
ですが直ぐにお世話になっている社長さんの会社の寮に寝泊まりさせて頂けるようになったのです。
有難いことです。
しかも修業先へ通う為の車まで貸して頂きました。
そうなると行動が自由になりますから…
修業先の板長が朝の二時から定置網漁の魚の仕分けと仕入れをしていることが気になっていたので、直ぐに参加希望を出して見学させて頂くことにしました。
当初は二ヶ月間の修業の予定でしたが、冷静に考えるとその日数で何も身に付けられるものではありません。
我ながら甘すぎます!
六月の末に延長を願い出て七月も八月も九月も十月も修業させて頂きました。
半年お世話になった時点で身に付けられたことは、それでも基本の基本だけです。
しかしその日数を共に過ごした数々のアイテムには、一方ならぬ想いが出来ました。
そのひとつにこのシューズがあります。
(汚い靴底をお見せして申し訳ありません)
靴底がすり減り何度も修理したこのシューズは、誕生日に仲間の連中が買ってくれたものです。
キッチンでは通常長靴で過ごすので、ある日主任が板長に
「清志さんに長靴を買いましょう」
と提案してくれたこともありました。
主任さんのお気持ちは本当に有難かったのですが、丁寧にお断りさせて頂きました。
このシューズで通したかったのです、申し訳ありません。
修業が終わった時に様々な思いを込めて任務の終了を告げ、廃棄しました。
ボロボロになるまで、本当にありがとう!
はい、左様なり♪