W杯予選を前に不満の残る引き分け…(その2) | Purely Belter

W杯予選を前に不満の残る引き分け…(その2)

■ミスも多く低調な出来だった前半
日本代表の試合の入りは悪くありませんでした。長短のパスを駆使してボールを保持していました。9分には長友選手のロングボールを大迫選手が落とし、原口選手がシュート。これは相手GKの正面でしたが、日本代表は早い時間にファーストシュートを打つことができました。

その後もボールを保持する日本代表でしたが、相手を崩すには至らず。すると、徐々にミスが目立ち始めます。パスの精度やトラップで雑なプレーが出て、ピンチを招く場面もありました。27分には、長友選手のカットが中途半端になったところをアル=マワスが拾って強烈なシュート、これはサイドネットに外れましたが、ヒヤリとしたシーンでした。

その後も大きなチャンスは訪れることなく前半が終了。立ち上がりは良かったですが、時間が経過するにつれてミスも目立ちました。シリア代表はDFの集中力が高く、ボールを奪ってからは自陣では丁寧に繋ぎ、敵陣では素早く攻める場面もありました。

■先制ゴールを許すも、ベテランのゴールで同点に

前半ゴールを奪えなかった日本代表は、後半頭から久保選手に代えて本田選手を投入。しかし、先制ゴールを奪ったのはシリア代表でした。4分、コーナーキックの流れから、ジェニアトのクロスをマルドキアンがヘッドで合わせました。名前からわかる通り、アルメニアにルーツを持つマルドキアン、巧く昌子選手の背後にまわり、ネットを揺らしました。

まさかの先制ゴールを許した日本代表は、8分に山口選手に代えてMF井手口陽介選手を投入。これで中盤の3枚をガンバ大阪でプレーする選手に揃えました。すると13分に同点ゴールが生まれます。原口選手→大迫選手→長友選手と繋ぎ、左サイドを突破した長友選手が中へ、これを今野選手が合わせて1-1としました。今野選手は3月のUAE代表戦に続くゴール。今野選手は代表通算4ゴール目。34歳のベテランがゴール前に顔を出してネットを揺らしました。

日本代表はゴール直後にFW乾貴士選手、その3分後にはFW浅野拓磨選手を投入。スピードのある選手を入れて逆転ゴールを目指します。乾選手が入ったことで、日本代表の左サイドが活性化されました。19分には乾選手のドリブルから長友選手がシュートを放つ場面があり、32分には乾選手が突破して自らシュートを放つ場面がありましたが、GKの好守に阻まれました。

後半40分には岡崎選手を投入した日本代表ですが、最後まで逆転ゴールは生まれず。試合は1-1で終了しました。シリア代表戦は8連勝中でしたが、その記録もストップ。1983年にシリアの首都ダマスカスで行われた国際親善試合以来の引き分けとなりました。

■90分を通じてミスも目立った守備陣
日本代表は守備面で、若干の不安定さを露呈しました。クリアやカットが中途半端になる場面や、相手の対応で軽い場面もありました。シリア代表のアル=マワスやマルドキアンには手を焼いていました。後半のロスタイムにも中途半端なプレーがあり、失点には繋がらなかったものの、ピリッとしない90分でした。

さて、この試合では吉田選手と昌子選手がセンターバックを務めました。長く吉田選手とコンビを組んでいたDF森重真人選手は今回選外となったため、昌子選手が起用されました。しかし、この試合の昌子選手は少し精彩を欠いていました。昌子選手は対人戦も強くてカバーリングも巧い。Jリーグの中で屈指のDFだと思いますし、将来日本代表の中心になる選手だと思います。しかし、昌子選手を起用するのは、もう少し後の方が良かったと思います。

DFライン、とりわけセンターバックは、個人の能力の高さは勿論、GKも含めたコンビネーションが大切になるポジションです。毎日集まって練習するクラブチームであるならば格別、練習時間の短い代表チームにおいて、W杯予選という重要な試合が控える中、センターバックのレギュラーである森重選手を招集しないという決断は、少し強引であったような気がします。イラク代表戦も吉田選手と昌子選手のコンビになると予想されますが、現在の日本代表の最大の弱点を挙げるとすれば、このポジションになると思います。

シリア代表と同様、イラク代表にもスピードとテクニックがある選手が多くいます。エースFWモハンナド・アブドゥル=ラヒームはゴールを量産しており、イタリアでプレーするMFアリ・アドナンは左サイドから鋭いクロスを入れてきます。日本代表DF陣のしては気の抜けない90分になることでしょう。

■攻撃陣は1ゴールも、後半の戦いぶりには光が
攻撃陣は、選手のコンディションにバラつきがあったように思えます。前半出場した久保選手は、疲れもあってか、前半ロスタイムのシュート以外見せ場のないままピッチを去りました。スイスとベルギーでゴールを量産した久保選手ですが、長いシーズンを終えて疲労が溜まっているのかもしれません。

一方、大迫選手と乾選手のプレーは光っていました。大迫選手は前半からポストプレーや抜け出しで攻撃の基点となっていました。チームが攻撃を組み立てられない時間もありましたが、その時は中盤の位置まで下がってボールを受けて、状況を打開しようとしていました。シュートも巧いですが、それ以上に、ボールの受け方や体・手の使い方の巧さが印象的です。イラク代表戦でも攻撃の軸を担うことでしょう。

また、2年ぶりの日本代表となった乾選手も、途中出場で流れを変えました。従来からドリブルの巧さには定評があった乾選手ですが、スペインへ渡り、さらに鋭さが増しました。リーグ戦では、最終節でFCバルセロナから2ゴールを奪いました。イラク代表戦でも、この試合と同様ジョーカーとして起用されることが予想されます。苦しい時間帯に投入され、攻撃を活性化させてくれることでしょう。

イラク代表も、シリア代表と同様粘り強い守備を見せます。今予選ここまで7試合で10失点ですが、大崩れした試合はなく、また2017年に入ってからは無失点に抑える試合も増えています。7日に行われた韓国代表のと親善試合でも0-0のスコアレスドローでした。日本代表としては、早い時間帯にゴールを奪い、試合を楽に進めたいところです。

■三つ巴の争いとなったグループB…日本代表が抜け出すためには!?
8日にグループBのオーストラリア代表vsサウジアラビア代表の試合が行われ、オーストラリア代表が3-2で競り勝ちました。これにより、勝点16で日本代表、サウジアラビア代表、オーストラリア代表の3チームが並ぶこととなりました。

2位のサウジアラビア代表は、攻撃的な選手が多く、鋭い縦パスやカウンターからゴールを狙うことができるチームです。守備面では集中力を欠くプレーも見られますが、最後の場面で粘る守りを見せています。特にホームでは強さを見せており、スタジアムは独特な雰囲気で包み込まれます。最終節ではその敵地で対戦することとなります。できれば最終節を前にW杯出場を決めておきたいところです。

3位のオーストラリア代表は、引き分けが続いていましたが、再び調子を上げてきた印象です。前節UAE代表を2-0で下し、今節はサウジアラビア代表を下しました。以前に比べてメンバーは小粒になった感がありますが、GKマット・ライアンやMFアーロン・ムーイなどヨーロッパでプレーする選手が軸となっています。長く日本代表を苦しめたFWティム・ケーヒルも健在です。

消化試合が1試合少ない日本代表は、イラク代表戦に勝利すれば、単独で首位に立つことができます。敗れても2点差以内なら得失点差で首位をキープできますが、残り2試合がオーストラリア代表とサウジアラビア代表との試合になるため、イラク代表戦は絶対に勝点3が必要な試合となります。既に予選敗退が決まったイラク代表相手ですが、油断は大敵。しっかりと勝利してW杯出場に近づきたいですね。

試合終了後サポーターに挨拶する日本代表イレブン。イラク代表戦勝利なるか!?


 にほんブログ村 サッカーブログへ