フィールドワーク・リポート その3 POUM! [第74号 07.06.15]
追っかけをフィールドワークと称するポピュラー音楽研究家にとって、ライヴでの観客の反応は大事なチェックポイント。H.サルヴァドールの童謡風楽曲にのせてエンジンの仕組みを歌うLe moteur à explosion(内燃機関)は、イントロで既に拍手、既に "古典" だ。緊張でコチコチの新人歌手と、歌手以上に自分が目立ちたい芸能司会者のやりとりを戯画化したスケッチ Sacha de Sochaux(ソショーのサシャ)も "名作" として、前回ツアーに引き続き登場。s/ch[サ行/シャ行]の音を列挙した早口言葉の部分や、サシャ役シルヴァンがブラッサンスの曲を歌う間、ウッドベースに見立てたグザヴィエを、ミシェルが口で楽器の音を真似ながら "弾く" 場面は抱腹絶倒。或いはミュージカル『ロメオとジュリエット』のナンバーを替え歌にしたLes micro-ondes
(電子レンジ)、チン!に頼った我々の食生活をテーマにした馬鹿馬鹿しくも鋭い歌詞に加えて、レンジ内の食品みたいに体を回転させたり、ミュージカルの動作を真似たり、伴奏(カラオケ使用)に合わせてヴァイオリンを弾く身ぶりをやったりという演出にもに大きな笑いが起こる。客席のノリに応えてかなりの熱演、熱唱に最後は息切れに近い状態。
詩情あふれる1曲 Peinture à carreaux(碁盤模様の塗り絵)は確かこの直後、息つく暇もなかったにもかかわらず歌い切った。3人の美しいハーモニーに、直前まで大爆笑していた観客が聴き入っている。
スタジオ録音された楽曲との違いも聴きどころだ。Moi la télé(テレビと僕)は、CDでは効果音としてザッピングの音声が入っていたが、これを生でやったのには驚いた。チャンネル切り替えの音に合わせて3人に次々スポットライトが当たり、ドラマ、ニュース、論説などテレビ音声の模写をやる。最後にW杯サッカー中継を真似て "Champion du moooonde(世界チャンピオ~~~ン) !!!"… 爆笑。もしかしたらCDの効果音も、気付かなかったが実は自家製だったのか? L'argent(カネ、カネ、カネ)もまたしかり。職安をクビになり、ガスも止められて自殺もままならない男の嘆きをうたった歌で、CDでは最後に群衆のシュプレヒコールが多重録音で加えられているのだが、ステージでは3人の歌声だけ。なのに迫力ある歌い方で、本当にデモ行進のように聞こえてくる。
期待の新作替え歌L'informatique(パソコン ) は終盤でやっと聴けた。客からコンピュータ用語を集めてミシェルの頭にインプットし、曲が出てくるという趣向。覚えるのが大変そうな長い歌詞は3人で分担。歌詞の語呂合わせの中でひときわウケていたのが "moniteur et ta sœur" "logi-ciel mon mari" の2か所。moniteur, logicielはそれぞれモニタ、ソフトウエアの意。Et ta sœur?(で、あんたの姉さんは?)は相手の話の腰を折る言い回し、Ciel, mon mari!(ヤバい、夫だわ!)は大衆劇でお決まりの台詞。
最後はエピキュリアンの彼ららしく美味礼賛メドレー。カルテット時代からのレパートリーRepas boogie wouah(ご馳走ブギ )にVive le vin(ワイン万歳 )、反グローバリゼーション活動家を歌ったJosé Bové
(ジョゼ・ボヴェ) 、カナダの女性芸人第1号で1930年代に活動したラ・ボルデュックの楽曲Légumes(野菜売り) を挿入。曲中でたっぷり披露するミシェルの "口ドラム" は凄いの一言!(à suivre)
「イッサンジョー笑いのフェスティバル」看板
詩情あふれる1曲 Peinture à carreaux(碁盤模様の塗り絵)は確かこの直後、息つく暇もなかったにもかかわらず歌い切った。3人の美しいハーモニーに、直前まで大爆笑していた観客が聴き入っている。
スタジオ録音された楽曲との違いも聴きどころだ。Moi la télé(テレビと僕)は、CDでは効果音としてザッピングの音声が入っていたが、これを生でやったのには驚いた。チャンネル切り替えの音に合わせて3人に次々スポットライトが当たり、ドラマ、ニュース、論説などテレビ音声の模写をやる。最後にW杯サッカー中継を真似て "Champion du moooonde(世界チャンピオ~~~ン) !!!"… 爆笑。もしかしたらCDの効果音も、気付かなかったが実は自家製だったのか? L'argent(カネ、カネ、カネ)もまたしかり。職安をクビになり、ガスも止められて自殺もままならない男の嘆きをうたった歌で、CDでは最後に群衆のシュプレヒコールが多重録音で加えられているのだが、ステージでは3人の歌声だけ。なのに迫力ある歌い方で、本当にデモ行進のように聞こえてくる。
期待の新作替え歌L'informatique(パソコン ) は終盤でやっと聴けた。客からコンピュータ用語を集めてミシェルの頭にインプットし、曲が出てくるという趣向。覚えるのが大変そうな長い歌詞は3人で分担。歌詞の語呂合わせの中でひときわウケていたのが "moniteur et ta sœur" "logi-ciel mon mari" の2か所。moniteur, logicielはそれぞれモニタ、ソフトウエアの意。Et ta sœur?(で、あんたの姉さんは?)は相手の話の腰を折る言い回し、Ciel, mon mari!(ヤバい、夫だわ!)は大衆劇でお決まりの台詞。
最後はエピキュリアンの彼ららしく美味礼賛メドレー。カルテット時代からのレパートリーRepas boogie wouah(ご馳走ブギ )にVive le vin(ワイン万歳 )、反グローバリゼーション活動家を歌ったJosé Bové
(ジョゼ・ボヴェ) 、カナダの女性芸人第1号で1930年代に活動したラ・ボルデュックの楽曲Légumes(野菜売り) を挿入。曲中でたっぷり披露するミシェルの "口ドラム" は凄いの一言!(à suivre)
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