ウェブリブログの閉鎖に伴い、アメーバブログへ引越し再投稿です。
 
〔2016年05月28日に掲載したもの〕
大正14年4月2日(木)から3日(金)にかけて、「工政会」という団体が主催する「全国工業家大会」が名古屋市内で開催されます。会場は不明です。
調べてみますと、「工政会」とは大正7年に東京帝国大学の斯波忠三郎工学部教授を理事長に日本の工業立国を推進するために、官民の技術者によって結成された団体です。 技術官僚の任用拡大や産業政策への提言などを政府に行ってきた団体です。
△全国工業家大会「共通優待乗車券」の表面(大正14年4月)
 
さてこの乗車券は、大正14年4月に開催された全国工業家による名古屋大会に出席した関係者に配布された名古屋近郊の交通機関の優待乗車券のようです。乗車できる交通機関名が表面に記載されていますが、わが「尾張電気軌道」が「尾張電気鉄道」と誤記されており、大変に残念です。
 
(い)瀬戸電気鉄道株式会社(明治38年4月開業)
(ろ)尾張電気鉄道株式会社(明治45年4月開業、尾張電気軌道の誤り)
(は)愛知電気鉄道株式会社(明治45年2月開業)
(に)築地電軌株式会社(大正6年6月開業)
(ほ)下ノ一色電車軌道株式会社(大正2年12月開業)
(へ)名古屋土地株式会社(大正2年10月開業、後の中村電気軌道)
(と)名古屋鉄道株式会社(明治31年5月開業。大正11年に市内線を名古屋市へ移管し、以後、郊外線を運営)

△「共通優待乗車券」の裏面(各会社線路御案内)
 
優待乗車券の裏面には、各社の路線案内が描かれています。「尾張電気軌道」については、「チハヤ(千早)」が起点で、終点は「ヤゴト(八事)」となっています(右から左に読んでください。)
この優待乗車券の有効期間が4月2日(木)~4月6日(月)となっていますが、昔も今も、こういった業界団体の集まりがあった後は、周辺の観光地を廻って帰るというのが定番です。
勝手な推測ですが、大正14年4月2日(木)~3日(金)が大会で、参加者はその後、4日の土曜日、5日の日曜日と名古屋観光を楽しんで帰宅したものと想像されます。そりゃ出張すれば近くの観光地を廻って帰りますもんね。
 
しかし返す返す、「尾張電気軌道」の誤記が残念でなりません。
 
*無断転載・複製を禁ず