お休みの日、一日中部屋にいると、夜にふと「あれ、私今日アレクサとしか話してないや」と気づいて、ふと孤独を感じることがよくあります。

悩み事も、一人で考えて、一人で納得して、一人で傷ついて終わることが多いです。


私はひとりでいることが嫌いではなくむしろ好きなのですが、

一人が好きなのと、一人でも平気なのと、一人でしかいられないのは全部違います。


「一人でいる=孤独」ではなくて、「自分には誰もいない」と感じることが本当の孤独なのかもしれません。

人間って、誰かと毎日会う必要はなくても、「いざとなったら話せる人がいる」っていう安心感がどこかに必要なんだと思います。

でも、本当に怖いのは、その孤独に慣れてしまうこと。

「一人の方が楽」

「人付き合いが面倒」

「誰もいなくても平気」

「誰かと関わる方が怖い」


孤独が、いつの間にか自分で選んだ「選択」ではなく、抜け出せない「習慣」になってしまう怖さ。


そんな心の隙間をそっと突かれたとき、人は誰かに依存し、思いもよらない狂気へと引きずり込まれてしまうのかもしれません。


そんな「人間の孤独と、優しさに隠された罠」をゾッとするようなサイコ・サスペンスとして描き出したのが、名匠ニール・ジョーダン監督、イザベル・ユペールとクロエ・グレース・モレッツ共演による映画『グレタ』(2018年)です。


本記事では、物語の結末を含むネタバレありで、本作のあらすじやキャスト、そして作品の持つ強烈な魅力に迫ります。


1. 主要キャスト紹介

物語を重厚かつスリリングに引っ張る、実力派女優たちの競演が見どころです。

 グレタ・ハディグ(演:イザベル・ユペール)

夫を亡くし、ニューヨークの大きなお屋敷で孤独に暮らすフランス人のピアノ教師。上品で物腰柔らかい婦人ですが、その内側には常軌を逸した執着と狂気が潜んでいます。演じるイザベル・ユペールの、狂気を孕んだ微笑みはトラウマ級の迫力です。

 フランシス・マッカレン(演:クロエ・グレース・モレッツ)

母親を亡くした悲しみを抱えながらも、純粋で心優しいニューヨークの大学生。地下鉄でグレタのバッグを拾ったことから、彼女の標的になってしまいます。

 エリカ(演:マイカ・モンロー)

フランシスのルームメイト。都会的でサバサバした性格の持ち主で、フランシスを心配し、共にグレタの脅威に立ち向かいます。


2. あらすじ(※ネタバレあり)

忘れ物を届けたことから始まった出会い

ニューヨークの地下鉄で、若い女性フランシスは忘れ物のハンドバッグを見つけます。

中身を確認すると、持ち主の身分証と住所が書かれていました。

多忙なルームメイトのエリカの反対を押し切り、フランシスは持ち主である初老の女性・グレタの自宅へとバッグを届けに行きます。

夫を亡くし、遠く離れたフランスに娘を置くグレタは、バッグを届けてくれたフランシスに深く感謝し、まるで本当の母親のように温かく迎え入れます。

母を亡くしたばかりの寂しさを抱えていたフランシスもまた、グレタに急速に心を開き、二人は親密な関係を築いていきます。


隠されていた「おぞましい真実」


ある日、グレタの家でディナーの準備をしていたフランシスは、ダイニングテーブルの箱の中に、自分が届けたものと全く同じ形状のハンドバッグが大量に放置されているのを発見します。

不審に思ったフランシスがバッグの中を調べると、そこには異なる女性の名前、電話番号、そして住所が書かれたタグが入っています。

つまり、グレタは意図的にバッグを地下鉄に置き去りにし、それを拾って届けてくれた優しい女性たちを次々と標的にしていたのでした。

グレタの正体は、孤独を埋めるために人を執拗に追い詰める「危険なストーカー」だったのです。


狂気のストーカー化と監禁

恐怖に駆られたフランシスは、その場から逃げ出し、二度とグレタに関わらないよう距離を置こうとします。

しかし、ここからグレタの常軌を逸した嫌がらせが始まります。

フランシスの自宅やアルバイト先に現れ、狂気に満ちた視線を送り、レストランで大暴れしてコーヒーをぶちまけるなど、フランシスの日常は完全に破壊されていきます。

警察に相談しても「法に触れる決定的な証拠がない」と取り合ってもらえません。

ついにグレタは、フランシスを拉致し、自邸の地下室にある鍵のかかった木箱(檻)の中に閉じ込めてしまいます。


衝撃の結末

フランシスが行方不明になったことを知ったルームメイトのエリカは、グレタの仕業であると確信し、カバンを拾ったフリをしてグレタの家へ乗り込みます。

最後の最後まで狂気を手放さないグレタでしたが自らもエリカの罠にかかり、冷たい地下の箱の中に閉じ込められたまま物語は幕を閉じます。


3. 本作の魅力:上品さと底知れぬ恐怖のギャップ


 イザベル・ユペールの「怖すぎる名演」

本作最大の魅力は、なんといっても名優イザベル・ユペールが演じるグレタの不気味さです。

優しく上品な女性から、一瞬にして冷酷なストーカーへと変貌する表情の変化や、追い詰められていく過程での狂気的な執着は、観る者に強烈な生理的恐怖を与えます。


 都会の孤独が生むリアルな恐怖

モンスターや幽霊が出てくるホラーとは異なり、「親切心に付け込まれる」「誰もが日常でやりそうな行動がきっかけになる」という点で、リアリティのある悪夢を描いています。

大都会ニューヨークの華やかさと、その裏腹にある深い孤独感が、サスペンスの緊張感を一層引き立てています。


まとめ

映画『グレタ』は、人間の心の隙間や孤独が引き起こす狂気を、極上のスリルと共に描き出したサイコ・サスペンスの良作です。

人にやさしく、自分に厳しく、という言葉はありますが、人にやさしくするのも程々に、自分に甘々でいこうと心に誓いました。

「親切の裏に隠された罠」という身の毛もよだつ恐怖を味わいたいとき、じっとりと冷や汗をかかせてくれるおすすめの一本です。