
このスパゲッティーは、この世界に入りたての頃、賄いで作って、その店のシェフに初めて褒めてもらった、思い入れのある物です。
その当時は、パンチェッタ(塩漬の豚ばら肉)は無く、ペコリーノチーズ(羊乳のチーズ)も無く、今作っている物とは違います。
今、僕の作るカルボナーラは、ベーコンやグラナパダーノ(まろやかなパルメザンチーズのような物)で作られたソースの多い物を食べ慣れた方には、合わないかもしれません。
パンチェッタの熟成した香りや旨味、ペコリーノの独特な香りとキリッとした塩味に卵と少しの生クリームを加え、仕上げにカルボナーラ(炭焼き職人風)の名前の由来になった挽き立ての黒胡椒を多めにかけます。
ベーコンで作られたそれとはまったく別物です。
最初は独特な香りや味わいに少し戸惑うかもしれません、でも、食べ慣れると後を引く美味しさです。