
少人数私募債
6月13日
中小企業の現実的な資金調達として少人数私募債についてご案内させていただきます。
◆少人数私募債について
「少人数私募債」とは、私募債の一種で、特定の少人数の投資家を対象に、特定の条件下で発行手続きが簡素化された社債です。
中小企業が銀行からの融資や一般の社債発行が難しい場合に注目される資金調達手段です。
◆少人数私募債の特徴と発行条件
少人数私募債は、以下の条件を満たすことで、公募債に求められる有価証券届出書や有価証券報告書の提出といった複雑な手続きが免除されます。
・募集人数
勧誘する対象者が50名未満であること(最大49名まで)。また、6ヶ月以内に発行した利率と償還期限が同じ社債は同一のものとみなされ、通算で50名以上にならないように注意が必要です。発行後も社債保有者数が50名未満である必要があります。
・私的募集
不特定多数の者を募集勧誘の対象としてはならない。
取引先や知人などの縁故者が主な対象となります。
・適格機関投資家の有無
社債の購入者に証券会社や銀行などの「金融プロ」(適格機関投資家)がいないこと。
・一口の金額
社債総額を一口の金額で割った口数が50未満であること。例えば、最低券面額が100万円の場合、社債総額が5,000万円未満である必要があります。
・譲渡制限
発行後の保有者数も50名未満でないとならないため、一括譲渡以外の譲渡は認めない条項など、転売制限を設ける必要があります。
・告知義務
発行総額が1億円以上となる場合は、金融商品取引法第4条第1項の規定による届出が行われていないこと、および転売制限が付されていることなどを書面で告知する必要があります。
・発行主体
法人であること。
◆少人数私募債のメリット
・低コストで手軽に発行可能
公募債に必要な有価証券届出書や有価証券報告書の提出が不要なため、資金調達コストを抑えられます。
金融機関からの融資に伴う保証料も不要です。
・保証人・担保が不要
信頼関係に基づく取引であり、原則として保証人や担保が不要です。
・柔軟な条件設定
利率や償還期間などを会社側が自由に設定できます。
・経営意識の向上
縁故者からの資金調達であるため、事業計画の進捗報告など、投資家とのコミュニケーションを通じて経営意識が高まることがあります。
・損金算入
利息の支払いは税務上損金に算入されます(株式の配当金とは異なり、課税後利益の処分ではないため)。
・融資審査が不要
銀行融資のような厳しい審査は不要です。
◆少人数私募債のデメリットと注意点
・元本の一括償還が必要
毎月の返済がない代わりに、償還時に元本の一括償還が求められるため、償還時の資金繰り圧迫のリスクがあります。
・長期的な資金計画が必須です。
・リスケジュールが不可
銀行融資のように償還期限の延長(リスケジュール)が原則としてできません。
・引受人が集まらない可能性
企業の財政状態が悪かったり、事業計画に魅力が感じられなかったりすると、引受人が集まらない可能性があります。信頼関係を築くための事業計画書や情報開示が重要です。
・発行手続きに時間と手間がかかる可能性
簡略化されているとはいえ、社内での決議や募集要項の作成、投資家への説明など、一定の手間と時間はかかります。
・税務上の手続き
社債利息に対する源泉徴収など、税務上の手続きが必要です。
少人数私募債は、中小企業にとって有効な資金調達手段となりえますが、メリットとデメリットを十分に理解し、計画的に活用することが重要です。
いずれにしても急ぎの資金調達ではないことご理解下さい。
質問などはお気軽にお問い合わせください。
ご連絡 ご相談
