効率化は絶対的に正しいのか? | 思うように資金調達ができない方へ

効率化は絶対的に正しいのか?

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3月31日

ジャーマンウイングスの副操縦士の自殺行為による墜落事故の衝撃は半端ではありません。

搭乗して亡くなった方が、急降下からアルプスの山に激突するまでの恐怖心たるや、他人事とはとても思えず、本当に心が痛みます。

機長もコクピットのドアを叩き潰して開けようとしていた様子。

本当に憎んでも憎み切れない副操縦士の蛮行ですが、おかしな話も多いように感じます。

網膜剥離か精神不安定かは忘れましたが、搭乗不可になる症状の診断書を本人が握り潰していたと報道されていますが、こんな報道がすぐにされるほど分かりやすいことなのに、なぜ航空会社は把握できていなかったのか?

これは一番大きな疑問です。

航空会社の生命線であるはずの、利用客の安全を根本的に損なう懸念が高いことを、なぜ本人が握りつぶせるようないい加減なルールになっていたのか?

はっきり言って、副操縦士に対する報道が正しければ、そもそも、こんな不適格者を操縦士として雇用したこと自体、大間違いですし、網膜剥離に精神不安定と、本人には気の毒とは思うものの、少なくとも150人もの乗客の命を預かる仕事には、明白に不適格者を搭乗させていたこと自体、本当にあり得てはならないことだと思います。

飛行機には乗らなくていいのであれば乗りたくなくなってしまいます。

 

LCCがどのようなものか、私はLCCにはもともと懐疑的で絶対に乗らないと決め込んでいて乗ったことはないから体感しているわけではありません。、

格安料金で非常に使い勝手がいいのかもしれません。

でも、今回の墜落事故がルフトハンザではなく、子会社のジャーマンウイングスというLCCで起きたことはとても偶然の出来事とは思えません。

先ほども書いたように操縦士としては極めて不適格な人物を雇用して、普通に乗務させていたのですから、本来あり得ないことだと思います。

そもそも、LCCって、利用客に格安価格を提供することで利用客にメリットを提供しています。

でも、こんな側面も忘れてはいけない気がします。

LCCが格安価格で、短距離や中距離の路線のシェアを拡大することで、LCCではない高コストの航空会社の路線が浸食されています。

高コストは絶対に悪いって誰が決めたのかと私なんかは思います。

安全性は同じだけれど、間接コストなど本当に無駄だった部分だけコストカットしたLCCと言うのであればまだしも、格安航空会社の経営者が、会社の利益を追求すれば、安全性を毀損するコストカットには絶対手を付けないなんてことが、そもそも担保できるとはとても信じることはできません。

格安料金も安全性のコストは十分担保した上での料金になっているなんて、そもそも私はLCCの経営者にそんな倫理観が守れる人物だなんて、いわゆる性善説では絶対に見れないから信じることができません。

そもそも、LCCってどうして生まれたかと言うと、少しウィキペディアなどで調べたら次のような話でした。

   

「ほとんどの大手航空会社(Legacy Carrier, LC)は国際航空運送協会(IATA)と航空会社、各国政府の間で決められた事実上のカルテル料金体系を維持しており、乗客は割高な国際航空運賃を一方的に押し付けられていた。

つまり、「IATAカルテル」によって守られた割高な国際線の運賃体系と無競争状態、そして政府からの援助の下で高い収益を上げ、それを元にして現在から見れば「放漫経営」である経営状況だった。

そして、70年代になるとジャンボに代表されるような機材の大型化。

73年の第四次中東戦争や78年に起きたイラン革命によるオイルショックを受けて世界的な不況に陥ることで利用客が減少し収益が悪化。

その結果、多くの大手航空会社は空席を埋めるために、これまで自らの身を守り続けてきた「IATAカルテル」の範囲を大きく離脱しない範囲で、自主的に割引運賃を導入せざるを得なくなった。」

   

その結果として誕生したのが既存の大手航空会社の割引運賃を大幅に下回る格安な運賃によるLCCだったのです。

最初は、大西洋横断路線でした。

そして、民主党政権のカーター政権の時に、民主党の政権の大好きな規制緩和の波に乗って、1981年にドナルド・バーによって設立され、既存の大手航空会社の割引運賃を上回る格安な運賃で大西洋横断路線やアメリカ国内線に就航したピープル・エキスプレス航空や、それに先立つ1971年に設立され、航空規制緩和を受けて急速にその規模を拡大していたエア・フロリダが、格安航空会社のはしりとして脚光を浴びたのです。

この流れが、全世界に広がって現在に至っているのがLCCの現状なのです。

ここで、夕刊フジの「LCC、安全に利用するための見分け方 「中古機安く購入」には要注意」と言う記事から関連部分を引用します。

   

『間違いだらけのLCC選び』(草思社)の著者で航空アナリストの杉浦一機氏は、「LCCを十把一絡げに扱うことはできない。安全なLCCと、安全性に不安のあるLCCの2つに分かれる」と指摘し、安全なLCCは「新造機を調達している会社」、安全に不安のあるLCCは「中古機を安く購入している会社」と言い切る。

 “危険”なLCCの典型例となったのが、2007年1月に墜落事故を起こしたインドネシアのLCCアダム航空だ。同社は他にも事故を続発し09年2月に破産した。

 「中古機を集めている会社の中には、整備に純正品でない部品を使うなどお金をかけず、複数の航空会社に転売された機体を使い、いろんな整備士が自己流の整備を行っていた例もあった。だが、危険なLCCは事故を起こし淘汰されている。一般的にLCCは機種が少なく、整備士やパイロットが熟知しており、安全性がむしろ高いという側面もある」(杉浦氏)

 ジャーマンウイングスは、ドイツの航空大手、ルフトハンザ航空が09年に買収。「安全なLCCの1つ」(杉浦氏)だったというが…。

 「ルフトハンザはかつての優良企業の面影はなくなり、LCCにシェアを食われ、経営的に厳しい状況が続いている。2年間ぐらいはストライキが続き、労使関係が緊張していた。再建計画をたて、短距離、中距離路線はLCCに移管してきたが、こうした急激な移管により、従業員のモラルが低下していた可能性がある。組織が円滑に機能しなくなったときに、事故の発生が高まる傾向がある」

   

小泉政権が行った規制緩和で事故が多発したチャーターバスの話と重なりませんか?

次回に続きます。

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