中小企業の資金調達 15 取引銀行に融資を断られたら 5 各種担保融資
10月28日
取引銀行に融資を断られた場合の資金調達として、まずは多くの会社で保有する売掛金関連のファイナンスとして、売掛金担保融資とファクタリングについて説明しました。
今回から何回かは、売掛金以外の流動資産や固定資産を担保とする資金調達の話です。
まずは、あなたの会社の貸借対照表をご覧いただきたいと思います。
この中で、最も資金調達が容易く、かつ有利な条件で資金調達できるのが不動産担保融資です。
次にやりやすいのは有価証券でも、上場企業など流動性が高い会社の株式を担保とする融資です。
一覧表にして見ると次のようになります。
①不動産担保融資
②株式担保融資
③受取手形割引、でんさい割引、小切手換金
④ゴルフ場会員権担保融資
⑤入居保証金担保融資
⑥商品在庫担保融資
⑦製造機械設備等動産担保融資
ケースバイケースで、裁判の供託金担保融資も成約したことがあるように、各種資産を前提とした担保融資、場合によっては実質上は無担保融資になることもありますので、一概には言えませんが、上記①~⑤は条件が合えば比較的簡単に資金調達することができます。
今日は担保融資に対する考え方について少しお話したいと思います。
時々、なんだ担保がいるんだ!と馬鹿なことをいう方がいます。
馬鹿などと失礼なことをあえて言ったのは、そもそもこの段階でこの方は経営者として金融上、自社が置かれている立場への認識が誤っているのです。
無担保で融資が受けれるのは、創業時を除いては、業績、財務内容が良い会社で、金融履歴がきれいな会社に限定されます。
そもそも、リスケしていること自体、あなたが思っている以上に金融上は大きなマイナスであることを本当に強く認識してほしいのです。
多少業績、財務内容に問題があっても、保証協会の保証がついたり、政府系金融機関と友好関係にあれば、低利で長期間の融資を受けることができます。
でも、多少業績、財務内容に問題があり、プラス保証協会に保証付き融資や政府系金融機関の融資をリスケしていたら、あなたの会社に無担保で、3年以上の長期融資をするようなお人よしの銀行など、原則的にこの世にはないのです。
原則的といったのは、時々、このような会社に対しても、プロパーで融資を行うような、常識外の銀行の拠点が時々登場するからです。
でも、このような拠点の何でもかんでも融資するような状況は、すべての場合で長くは続かず、拠点長や担当者は格下げされて左遷されれるか解雇されているようなケースが多いのです。
有名な話ではコシトラストという不動産会社を巡る不正融資事件は有名です。
三井住友、三菱東京UFJを手玉にとった 詐欺会社、コシ・トラスト
ここまで大規模な不正融資でなくても、多少業績、財務内容に問題があり、プラス保証協会に保証付き融資や政府系金融機関の融資をリスケしているあなたの会社に無担保で、3年以上の長期融資をするような銀行があれば、ほぼ規模は別にして不法融資であると思っていただいてよろしいかと思います。
シトラスト事件は、私の顧客でも被害者になったというか、加担したというか微妙な立場の会社が何社かあります。
彼らの話を聞くと、銀行も支店だけではなく経営中枢でも加担していた人物がいたとか言われていますが、中には政治家が絡んだり、どんな会社でも良い条件で無担保融資が受けられるなんて阿呆なことに騙されないようにすることは経営者にとっては必要です。
だから、取引銀行からの融資がNGのなったら、なんだ担保がいるなんて馬鹿なことを言っていては、一生苦境から抜け出ることはできません。
最近はあまり聞かなくなりましたが、この種の話には本当にお気をつけください。
今日のポイントです。
業績、財務内容に問題があり、プラス保証協会に保証付き融資や政府系金融機関の融資をリスケしているあなたの会社に無担保で、3年以上の長期融資をするような銀行はない。
だから法人としての資金調達は、何らかの担保融資を検討する以外にない。
後は知り合いから借りることです。
次回からは高く担保融資の実践編です。