正論。しかしもっと具体的に指摘してほしい 日経の社説を読んで
少し長いですが、次の日経の社説をお読みいいただけますか。
日本の中小企業が試練の季節を迎えている。経済産業省の2008年版中小企業白書によると、中小企業の業況判断は過去2年間、悪化の一途をたどっているという。
理由の一つは石油などの原料高だ。原材料の仕入れ価格が上がっても、製品価格への転嫁が難しく、収益が圧迫される。倒産がじわじわ増えているのも、気掛かりな傾向だ。
全国に430万社ある中小企業は、日本経済を下から支える存在だ。一握りの大企業の業績が好調でも、430万社に元気がなければ、経済は沈滞する。中小企業の活性化はきわめて重要な課題である。
モノづくり系の中小企業にとって、進むべき方向は技術開発力の強化だ。ニッチ(すき間)分野に狙いを定め、そこでトップをめざす。そんな志の高い企業が多数登場すれば、「大企業の下請けで、低賃金」というイメージも変わるだろう。
社員約100人のヱビナ電化工業(東京・大田)は、めっきの世界では名の知れた存在だ。先端的なめっき技術は、例えば燃料電池の開発にも欠かせず、自動車大手の技術者が頻繁に同社を訪ねるという。
自ら技術部長を兼ねる海老名信緒社長は「景気悪化は逆にチャンス」と指摘する。大企業が採用を絞る不況期は、質の高い人材が中小企業の門をたたくからだ。
ヱビナ電化は平凡な町工場だったが、以前の円高で仕事が急減し、技術志向にかじを切った。経営者にビジョンと意志があれば、規模は小さくても活路は開ける。IT(情報技術)化した今の時代は、中小企業でもグローバルに情報発信し、海外企業と取引することも難しくない。
サービス分野で注目されるのは、高齢者向けの日用品の宅配や託児所、子育て支援などソーシャルビジネス(社会事業)の分野だ。
英国では小さな政府を補完する存在として、社会事業の市場規模が年間5兆円に達したという。日本でもこの分野の需要は大きい。ソーシャル事業をうまく取り込めば、沈滞する地方の商店街が魅力を取り戻す切り札になるのではないか。
環境は厳しいが、悲観するばかりが能ではない。経営革新に取り組めば、小粒な企業でも成長性や社会的な存在感を確保できる。
中小企業行政のあり方も見直す時だ。窮地に陥った企業への緊急融資など「弱きを助ける」だけでなく、新しいことに挑戦する企業を応援し、伸ばす仕組みが必要だ。元気な中小企業は、活力ある日本経済を実現する上で不可欠の存在である。
この社説は本当に正論で、すべての部分で同意できます。
ただ、特に最後の部分,
「窮地に陥った企業への緊急融資など「弱きを助ける」だけでなく、新しいことに挑戦する企業を応援し、伸ばす仕組みが必要だ。」
はもう少し具体的に、強調して書いて欲しいところです。
緊急融資と言えば、現在のセーフティネット保証制度で5号認定という制度がありますが、
この制度も、次の条件に該当する事業者に対する、まさに弱きを助ける制度です。
・指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の平均売上高等が前年同期比マイナス10%以上(※)の中小企業者。※平成14年3月より、マイナス5%以上に緩和中。
・指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%以上を占める原油等の仕入価格が上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていていない中小企業者。
もちろんこのような弱者救済の保証制度は公的な制度として必要であることは分ります。
ところが、この5号認定でも、指定業種の規定の仕方が本当に大雑把で、
現在のように多様化した時代ですから、
規定された業種そのもではないが、関連業種のような業種に対しては網羅されておらず、
救済的な融資を必要にしていても、この業種規定に少しでも外れると保証を受けることができません。
また、最近3ヶ月間の平均売上高が前年同期比マイナス5%以上の中小企業などとされているため、
嘘の試算表を捏造してこの制度を受けている数は非常に多いと思います。
最近銀行は、新しい顧客に融資をする場合、ほとんどのケースで、
保証協会の何らかの保証を受けないと融資しないと言うようなことをやっているので、
当然ながら、この5号認定しても、指定業種の追加などで急に融資がOKになったり、
分りやすいかもしれないけれど、前年同期比の売上高がちょうど上手い具合に5%減だからOKとか、
もう少し実態に即した条件設定ができないものかと思ってしまいます。
そして、現時点なら、このようなセーフティネット制度に上手く該当すれば融資がOKになるのですが、
このような条件に合わないような業種や状況の会社に対しては銀行は新規融資をしないとか、
特に中小企業で今日の社説のような志の高い企業が、
新しい事業展開をするような、もっと伸びるために必要とする資金いついてはどうかと言えば、
これは非常に心もとない状況で、とても社会の変化に対応した会社の変化、
そしてこの変化する会社の新しいニーズに融資制度が対応していると言えません。
事業にはリスクがつき物で、一回失敗したような経営者が新しく始める事業については、
その事業の内容や将来性よりも、過去の保証協会の履歴が問題で、
実際弊社の顧客でも、一生保証協会の保証を受けることはできない。
と言うことは、一生銀行とは取引ができないと言ったことが実際に起きていて、
その一方で保証協会の保証さえ受けることできれば、
相当ひどい内容の会社であっても、粉飾しているような会社に対しても、
ばれなければ融資への道が開けるようなこともあって、
本当に日本の融資制度、もっと言えば最近の銀行の保証協会偏重主義のような状況は、
新しい中小企業の発展の阻害要因になっていると思います。
ともかく、政府も中小企業への資金的な支援と言うと、
保証協会を結局使わないとできない制度か、
これまたその判定方法など不透明かつ、判定基準のよく分からない補助金や助成金しか頭になく、
もっと民間の銀行を活用して、柔軟かつ顧客と密着した環境の中での個別審査による融資の環境整備を、
本当に早急にしないといけないと思います。
ともかく現在の民間の銀行は、戦後からバブル崩壊まで続いた不動産担保主義と言われた時よりも、
投資銀行的な発想による融資の道は閉ざされています。
本来の基準なら融資できないが、支店長決済で経営者や会社を見て、
その将来性にかけて、無担保融資が行われたと言うようなことが、
たとえばTSUTAYAを運営するカルチャーコンビニエンスクラブにあったし、
もっと言えばソニーしかり、ホンダも元はベンチャー企業だからあったのです。
あのトヨタだって経営危機の時代があり、情実融資と今なら批判されるような、
一役員や一支店長の決断で決められたような、トヨタの将来性にかけた融資が存在したことで、
今の巨人トヨタがあるわけで、
保証協会の保証がないと新規融資をしないなどといった内向きなことでは、
今のトヨタのような会社が新しく育たないことは明白です。
実際日本において、ベンチャー企業から大企業に育った例は非常に少なく、
見渡してもソフトバンクぐらいではないでしょうか。
また保証協会に依存しない融資といえば、
数年前まで狂乱的に銀行が貸し捲くったビジネスローンですが、
スコアリングのような財務内容をパソコンで簡単に審査し、
この結果を重視するあまり経営者や会社の実態をよく見ないようなことがあったので、
これも定型ローンのように審査項目さえクリアされていれば、
粉飾決算の会社でも、ばれなければ融資が行われる半面、
今日の記事のような新しい事業を高い志で挑戦する部分は反映されないから、
当然ながら、このような会社に対しての支援にはならず、
投資銀行的な融資のサービスは、必要にもかかわらず、
日本においてはもっとも発展していない分野だと思われます。
確かにサブプライムローンは大変な問題で、私は今の状況でとても済むとは思っていませんが、
幸か不幸か、国際化が遅れた邦銀はこの問題では大きな被害を受けずに済んでおり、
本当は今、特定な一部の銀行以外の銀行は資金は潤沢であって、
与信が取れるような会社には、どんどん貸し出しており、
むしろ貸す相手がなくて困っているような現状にあります。
ですから、もう少し保証協会などに頼らない、銀行独自の審査、
それも単純なスコアリングのような画一的な審査基準を頼りに審査するような質屋的な発想から、
もっと銀行員のバンカーとしての成長にもつながる、
顧客の会社の将来性を適確に把握できるような審査の発想に切り替えて、
ベンチャー企業や普通の中小企業の中から、1社でも多く元気な会社に育て、
第二、第三のトヨタやホンダやソニーや松下を育てて欲しいと思います。
ただ、日本の銀行は自分からこのような姿勢に変わる可能性は低いから、
この部分は国が強権を持ってとはオーバーですが、
投資銀行的な融資を義務付けるとか、
保証協会の保証付融資以外の融資額にノルマを設定するとかしてでも、
今日の社説の「新しいことに挑戦する企業を応援し、伸ばす仕組み」の一つとして、
志の高い会社に対し、大切な経営資源であるおカネの支援を積極的に取り組んで欲しいと思います。
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