某メガバンクの資産剥がし | 思うように資金調達ができない方へ

某メガバンクの資産剥がし

3月9日

一昨日の続きです。

たまたまのごく稀な一例だったかもしれませんが、

あの良い意味でも悪い意味でもアグレッシブな対応が特徴であった某メガバンクの、

恐ろしくのろまな対応にびっくりした記事を書いたのですが、

融資に対してはのろまでも、債権保全に関してはのろまではありません。

 

私も数多くの案件を体験してきたので、

銀行の優先的地位を乱用したような非常識な対応をいくつも見てきましたが、

でもこのメガバンクの対応の非情さ、自行のメリット以外のことには目もくれない徹底振りは、

群を抜いて厳しいものがあります。

 

貸し渋り、貸し剥がしと言う言葉はよく聞かれると思いますが、

貸し剥がしができないと見るやこの銀行は、

担保になっている不動産がある場合、強引な資産剥がしにかかることが多いようです。

 

もちろん私は見たケースしか知る立場にはありませんが、でも見たケースだけでも、

ここまで資産剥がしを強引かつ徹底的にする銀行を私は見たことがありません。

聞いた話も総合すると、この銀行は顧客トラブルの圧倒的王者と言っても過言ではないですね。

 

私が見たケースは3件で、どのケースも処理の仕方がよく似ていて、

ひょっとするとマニュアル化されているのかもしれません。

 

では具体的にどう言うことかと言えば、

顧客の会社の資金繰りや財務内容がやばくなってくると、

追加融資をまずやらなくなる。これはどの銀行もやる、ある意味銀行として当然なことかも知れません。

そして回収、言い換えれば貸し剥がしに入っていくのですが、

この時、担保になっている不動産があるケースでは、

担保権の行使は別に違法でも何でもありませんが、

顧客の事情や不動産の市況などお構いなしに、売却を強く要求します。

まあ、ここまではどの銀行も対応に大きな違いはないかもしれませんが、

顧客が事業の事情や、不動産が高く売れないような事情から、

売却拒否の意志や、売りたくとも売れないような状況だと、

必ず期限の来る融資の借換や運転資金のための融資の実行とバーターで、

不動産の売却をするよう顧客に迫ります。

銀行が言いにくいようなことを言わせるために、

銀行と結託した事業再生コンサルタント派遣することもあるし、

息のかかった不動産会社に仲介させたり、ケースによっては購入させたりもしながら、

会社の事業の都合で、不動産売却が会社の事業停止につながるような場合でも、

恐ろしく安い価格であっても、そんなことはお構いなしに、

不動産を売却して貸付債権を保全するように仕向けます。


私はこのように融資と引き換えに不動産売却を迫ることをある程度理解はします。

不動産売却で総資本がスリムになって自己資本比率が高くなれば、

その会社の格付けは上がり、債務者区分だって上がるかも知れず、

このことで融資を再開できることも分かりますが、

私が言いたいのは、その方法があまりにも性急で強引過ぎることなのです。

 

例えば今ご相談を受けている読者の会社のケースでも、

他のメガバンク2行は不動産売却には賛成であっても、

今の不動産の状況から、焦って安売りはしないように、あわてず状況を見極めてやって欲しいし、

協力できるところは協力するという姿勢ですが、

問題のメガバンクだけは、メインと言うこともありますが、

このメガバンクだけは、とにかくすぐに売却しろと一点張りで、

3月末に期限の来る融資の借換と売却をバーターにされそうで、

どうやら恐ろしく安い価格での売却を計画しているようなのです。

 

この会社のケースはまだ流動的ですが、

数年前関わった案件と酷似していて、多分ここ1~2週間が山だと思っています。

 

確かに銀行だってボランティアではないから、銀行が貸付債権の保全を考えることは当然です。

でも顧客のメリットや都合もある程度斟酌して、

再建できそうな会社の場合は、もう少し長期的視野で顧客の会社が良くなるよう、

顧客をサポートしていくことが必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

このメガバンクの対応は、まるで質屋が保全できないと見るや、質草を質流れさせるのと同じ感覚で、

本来銀行のやることではないと私は思うし、

銀行の社会的責任をもう少し考えるべきだと思います。

この銀行だって、公的資金つまりは国民の税金を投入されて助かった経緯があるのだから、

何でもかんでも、自行のメリットだけを優先して良いはずはなく、

不良顧客への対応は厳しくても良いが、誠意ある優良顧客で再建の芽があるような時は、

もう少し長い目で顧客の会社を育てるような感覚になぜならないのかと思ってしまいます。
   

この銀行も社会的見地から、公的資金を入れられ破綻を免れたのだから、

顧客の会社を育てていくことは銀行にとっては大切な社会的責任だと思います。

銀行と社会は持ちつ持たれつの関係であるはず。

銀行と顧客の会社だって同じです。

こんなことをしているから、このメガバンクは人気がなく、行儀が悪いと言われ、

尊敬されないのだと思います。

 

今日取り上げたメガバンクの貸し剥がしは、明らかに優先的地位の乱用で大問題ですが、

他の銀行だって、顧客の会社が傘を必要としている時に傘をタイムリーに貸せないのだから、

いつまでもこんな銀行であって良い筈もなく、努力不足は明らかです。

優先的地位に安住するのではなく、もっと努力しろと言いたくはなりませんか・・・・



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