借入先がサービサー | 思うように資金調達ができない方へ

借入先がサービサー

8月14日

 

現在、資金調達のお手伝いをしている案件の一つは、ある資産家の不動産事業の再生です。


元々都市銀行からの借入金であった債務が、

返済条件の変更や返済の遅延のため、2社のサービサー(債権回収会社)に買取られ、

その中の1社から一括返済を求められ、この資金調達の支援で弊社に相談があった案件です。

 

今日書くのは、この資産家のシンプルな質問が、多くの方々の参考になると思ったからです。

 

当初この資産家の希望は、2社のサービサーに移った債務を減額交渉をした後、

都市銀行に借り替えたいと言う内容なのですが、

残念ながら、通常、サービサーに移った債務を肩代わりする銀行は、なかなかないのが実状で、

すぐに銀行に借り替えることはかなり困難です。


こういう場合は、一旦、減額交渉の後、不動産担保ローン専門のファイナンス会社に肩代わりさせ、

その後、銀行に借り替える様な方法を取り、

都市銀行に至るまで橋渡しをするファイナンス会社のローンを、我々は、ブリッジローンと読んでいます。

この段階で、債務の減額や、顧客側の同族間の権利関係が複雑な場合は整理し、

ブリッジローンの約定どおりに返済を進めて、収支状況や担保価値を、銀行が融資しやすいように設計していきます。

 

ところが、一括返済を求めてきたサービサーの債務の減額交渉も終わり、

いよいよブリッジローンの手続を開始した段階で、

上記一括返済を求めている会社ではない方のサービサーが、

この一括返済を求めているサービサーの債権(顧客から見れば債務)を買取りたいと申し出てきたところから、顧客は迷い始めたのです。

 

要は、この段階で、顧客の前には次の二つの選択肢が生じてきたわけです。

一つは、両サービサーの債務を一旦ファイナンス会社のブリッジローンで借り替え、その後、銀行に更に借り替えて正常な形にする方法。

もう一つは、現在一括返済を求めていないサービサーに債務を一元化し、その後銀行に借り替えて正常な形にする方法です。

 

顧客は、後者の方法なら、ブリッジローンを行うファイナンス会社に対する事務手数料の支払いの削減と、高い金利コストが削減できることが、大きなメリットに感じたようでした。

大体このような場合、ファイナンス会社の事務手数料は融資額の2%というのが相場ですから、今回のように12億円程度の借り替えとなると、事務手数料も2400万円と大きな金額になるのと、金利も6~9%と比較的高いので、近視眼的に見ると迷うのも無理はありません。

 

しかしながら、弊社は絶対にブリッジローンをかます形でないと、

銀行への借り替えが非常に難しいと言う現状が分かっているので、

一つのサービサーに債務をまとめることは止めるよう説得しました。

 

ここで資産家から出た質問が、どうしてサービサーから直接銀行への借り替えが難しいのかと言うことでした。

 

これは非常に簡単なことで、

銀行はファイナンス会社のように不動産の担保価値だけを見て融資をするということはまずありません。

会社の財務内容を中心とする定量的な分析と、

事業内容、会社の状況、経営者の評価などの定性的分析をして、

これらの分析を数値化したスコアリングの結果をみて融資をするかどうかを審査するので、

銀行から借りた融資が、何らかのトラブルを抱えた結果、サービサーに債務の移ったような前歴のある会社や経営者に喜んで融資をするはずがありません。

 

サービサーはビジネスですから、銀行への借り替えも可能などと簡単に言うでしょうが、

少なくとも、担保評価も信頼でき、会社としても信頼感のあるファイナンス会社で、

正常債権として1年ぐらいは約定どおり返済がなされているような実績がないと、

銀行はなかなか融資に応じてくれないのが現状です。

考えて見れば、サービサーは債権を表面の金額よりかなり安く買い、これを再販して、あるいは購入額以上の回収をして儲ける会社ですから、ファイナンス会社のように、担保評価を厳しく査定しているはずがありませんので、当然だと思います。

 

事実このことは、少なくとも弊社のお付き合いのある都市銀行数行の10以上の融資セクッションの担当者が、サービサーから直の借換は厳しいと言っているのですから、多分間違いはないと思います。

 

また、不動産事業の常として、改修や改装など、けっこうメインテナンス費用もかかります。

早く銀行と正常なお付き合いを始め、このような費用のための新たな資金調達ができる体制を作っておかないと、物件の魅力がなくなり、賃貸価格の低下や空室リスクが高くなって、じり貧状態になってしまうので、今回の案件でも、少なくとも3年以内には銀行と正常な取引を開始できないと、またデフォルトを起こす懸念が出てしまいます。

 

結局、この資産家はこのような説明に納得して、まずブリッジローンをかまして、銀行に借り替える方向で決心してもらったので、一安心したところです。

まず今月末に、一括返済を求めてきた11億の債務を7億弱でファイナンス会社に借換することが決まったので、今後はもう一つのサービサーの減額交渉を早くまとめることが先決になっています。

ただこちらは、サービサーとの話し合い通りの返済を続けているので、減額交渉は難航するかもしれないと思っています。

 


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