「その執事 黒薔薇」
クリスマス&ニューイヤー編その2です♪
ー暖かい…。二人は、ほぼ同時にそう思った。
ただ、こうして背中超しに抱きしめて、抱きしめられているだけなのに…と。
ーあの日…。シエルがセバスチャンを喚び出した日。
そこで、二人は初めて出会った。
その後、契約を交わし共に屋敷で過ごす内、いつしか二人は惹かれ合っていった。
やがて、想いが通じ合った時の二人の喜びは、例えようもなかったろう。
そして今はこうして、同じ時間を過ごしている。
傍にいるだけで幸せな気持ちになり、愛し愛される喜びを、シエルとセバスチャンは初めて知った。
あの出会いが偶然だとしても、それは必然であり、二人は出会うべくして出会った。
シエルはそっと、自分を抱く腕を解き振り向く。
見上げると、自分を優しい眼差しで見つめるセバスチャンがいる。
シエルはセバスチャンの頬に手を添え、静かに唇を重ねた。
セバスチャンもまた、シエルを強く抱きしめる。
やがて二人は重なるようにベッドに倒れ、共に甘い時間を過ごした。
いつもの自室ではない為、シエルは部屋の外に声が漏れないよう必死に堪えるが、その仕草はセバスチャンを一層煽り立てる。
外では雪は未だ止む気配すらなく、夜が深まるにつれ寒気が増して来た。
だが、ベッドで激しく愛し合う二人には気にもならないようだった。
ー夜が明け、シエルは目を覚ました。
ぼんやりしたまま視線を巡らせると、ようやく自分の部屋でない事に気付く。
「おはようございます。坊ちゃん」
聞き慣れたその声の主を探すと、隣にセバスチャンが添い寝をするような格好で横になっていた。
「セバスチャン、ここは…」
「申し訳ありません。あの後、坊ちゃんが眠ってしまわれたのですぐお部屋にお連れするつもりだったのですが、せめてこの時だけは共に朝を向かえたいと思ったものですから」
シエルは、セバスチャンと向かい合うように身体をずらすと、
「いや、いい…。僕も、そうしたいと思ったからな」
二人は微笑み合い、朝一番のキスを交わした。
「では、すぐお召し変えの用意を致します。少々お待ち下さいませ」
セバスチャンは手早く着替えを済ませ、一礼して部屋を出た。
一人になったシエルは、ベッドに起き上がりゆっくりと部屋を見回した。
セバスチャンの部屋…。飾りも何もない、質素な部屋。
実際、ここに泊まったのはこの時が初めてだった。
当主としての立場上それは当然だが、一度くらいはここであいつと朝を向かえたいと思っていた。
…だから、あいつも同じ気持ちだった事がやはり嬉しい。
そこへノックの音がし、セバスチャンが着替えと蒸しタオルを抱え戻って来た。
「お待たせ致しました。坊ちゃん」
「あいつらには、見られなかったろうな」
「ご安心を。私がそのようなミスをするとでも?」
「フフッ、そうだな。…着替えずに寝てしまったから、シャツがしわくちゃだ」
シエルは、脱いだシャツを一瞥しながら言った。
蒸しタオルでシエルの身体を拭きながら、セバスチャンは微笑む。
「昨夜、あんなにお乱れになるからですよ」
「ば、ばかっ。朝っぱらからそんな事言うなっ」
昨夜の事を思い出してしまい、シエルは頬を染めた。
セバスチャンはフッと微笑むと一礼し、
「失礼しました」
その3へ続きます☆
こんにちは♪
獄寺・パラリーナ・銀子です(*^ー^)ノ♪
今回の話は、
「その執事 黒薔薇」
クリスマス&ニューイヤー編です(⌒‐⌒)
今回もかなり甘甘になりましたが、時間潰しにでも読んでやって下さいませ♪
それでは、本文へどうぞ☆
12月も半ばを過ぎ、今年もあと数日といったロンドンの街並みは、いつもと違う活気に包まれていた。
数ある店のショーウィンドーには華やかな飾りが施され、店内からは明るいクリスマスソングが聞こえてくる。
今日は年に一度のクリスマスイブ。
両親と手を繋ぎ店先のショーウィンドーを嬉しそうに覗き込んでいる子供に、肩を寄せ合い幸せそうに歩く恋人たち。
皆、それぞれの幸福な時間を過ごしていた。
やがて夕暮れも近づき、街灯に一つ一つ明かりが灯されていく。
その頃には道行く人の姿もまばらになり、先程までの賑やかさが嘘のように、ロンドンの街並みは静かに眠りに就いていった。
やがて夜の帳が降りる頃、雪が静かに舞い降り徐々にロンドンの街を白く染めていった。
その頃、ファントムハイブ家ではー。
シエルはベッドに浅く座り軽く足を組み、窓の外を時折風に舞いながら静かに降り続ける雪を眺めていた。
その隣でセバスチャンが、寄り添うように腰掛けている。
と言ってもここはシエルの、ではなくセバスチャンの自室である。
「まさか坊ちゃんが私の部屋にいらっしゃるとは。正直驚きました。…ですが、この事はどうかご内密に」
セバスチャンは人差し指を自分の唇に当て、ニコッと微笑む。
「ああ。分かってる。僕だって、立場上まずいのは承知の上だ」
「それなら何故、わざわざ?」
セバスチャンはシエルの顔を覗き込むように聞く。
シエルはグッと言葉に詰まり、ぷいっと顔を背けた。
『ばかっ。…そんなの、いちいち言わなくても分かるだろうっ』
セバスチャンはフッと笑みを浮かべると、シエルの頬に手を添えこちらに向かせた。
「是非、坊ちゃんのお口から聞かせて下さい。…それに、今宵はクリスマスイブ。私にもプレゼントを頂けませんか」
「…お前でも、プレゼントを欲しがるんだな」
シエルは優しく微笑むと、セバスチャンににじり寄る。ベッドが軽くギシッと音を立てた。
縋りつくようにセバスチャンの首に腕を回すと、その耳元に唇を寄せ小声で囁く。
「…一度しか言わないからよく聞け。……今日みたいな特別な夜は、大切な相手の部屋で共に過ごしたいと思ったからだ」
言い終わると、「悪いかっ」とセバスチャンを押し退け、ぷいっと背中を見せる。その耳は真っ赤に染まっていた。
セバスチャンは、無言でシエルを背後から抱き竦める。
「ありがとうございます…。坊ちゃん。そのような嬉しいお言葉を…。最高のクリスマスプレゼントです」
「…分かったから、離せっ」
シエルが身を捩って離そうとするのを、セバスチャンは更に強く抱きしめる。
「申し訳ありません。もう少し、このまま…」
シエルはハッとした。セバスチャンの肩が、小刻みに震えている…。
シエルはそっとセバスチャンの腕に手を添えると、瞳を閉じた。
「…いいぞ。お前の気がすむまで、このままでいてやる」
「ありがとうございます。坊ちゃん…」
そのまま、二人は動かなかった。
発する声も無く静寂した部屋の中、聞こえるのは二人の吐息のみ。
その2に続きます☆
獄寺・パラリーナ・銀子です(*^ー^)ノ♪
今回の話は、
「その執事 黒薔薇」
クリスマス&ニューイヤー編です(⌒‐⌒)
今回もかなり甘甘になりましたが、時間潰しにでも読んでやって下さいませ♪
それでは、本文へどうぞ☆
12月も半ばを過ぎ、今年もあと数日といったロンドンの街並みは、いつもと違う活気に包まれていた。
数ある店のショーウィンドーには華やかな飾りが施され、店内からは明るいクリスマスソングが聞こえてくる。
今日は年に一度のクリスマスイブ。
両親と手を繋ぎ店先のショーウィンドーを嬉しそうに覗き込んでいる子供に、肩を寄せ合い幸せそうに歩く恋人たち。
皆、それぞれの幸福な時間を過ごしていた。
やがて夕暮れも近づき、街灯に一つ一つ明かりが灯されていく。
その頃には道行く人の姿もまばらになり、先程までの賑やかさが嘘のように、ロンドンの街並みは静かに眠りに就いていった。
やがて夜の帳が降りる頃、雪が静かに舞い降り徐々にロンドンの街を白く染めていった。
その頃、ファントムハイブ家ではー。
シエルはベッドに浅く座り軽く足を組み、窓の外を時折風に舞いながら静かに降り続ける雪を眺めていた。
その隣でセバスチャンが、寄り添うように腰掛けている。
と言ってもここはシエルの、ではなくセバスチャンの自室である。
「まさか坊ちゃんが私の部屋にいらっしゃるとは。正直驚きました。…ですが、この事はどうかご内密に」
セバスチャンは人差し指を自分の唇に当て、ニコッと微笑む。
「ああ。分かってる。僕だって、立場上まずいのは承知の上だ」
「それなら何故、わざわざ?」
セバスチャンはシエルの顔を覗き込むように聞く。
シエルはグッと言葉に詰まり、ぷいっと顔を背けた。
『ばかっ。…そんなの、いちいち言わなくても分かるだろうっ』
セバスチャンはフッと笑みを浮かべると、シエルの頬に手を添えこちらに向かせた。
「是非、坊ちゃんのお口から聞かせて下さい。…それに、今宵はクリスマスイブ。私にもプレゼントを頂けませんか」
「…お前でも、プレゼントを欲しがるんだな」
シエルは優しく微笑むと、セバスチャンににじり寄る。ベッドが軽くギシッと音を立てた。
縋りつくようにセバスチャンの首に腕を回すと、その耳元に唇を寄せ小声で囁く。
「…一度しか言わないからよく聞け。……今日みたいな特別な夜は、大切な相手の部屋で共に過ごしたいと思ったからだ」
言い終わると、「悪いかっ」とセバスチャンを押し退け、ぷいっと背中を見せる。その耳は真っ赤に染まっていた。
セバスチャンは、無言でシエルを背後から抱き竦める。
「ありがとうございます…。坊ちゃん。そのような嬉しいお言葉を…。最高のクリスマスプレゼントです」
「…分かったから、離せっ」
シエルが身を捩って離そうとするのを、セバスチャンは更に強く抱きしめる。
「申し訳ありません。もう少し、このまま…」
シエルはハッとした。セバスチャンの肩が、小刻みに震えている…。
シエルはそっとセバスチャンの腕に手を添えると、瞳を閉じた。
「…いいぞ。お前の気がすむまで、このままでいてやる」
「ありがとうございます。坊ちゃん…」
そのまま、二人は動かなかった。
発する声も無く静寂した部屋の中、聞こえるのは二人の吐息のみ。
その2に続きます☆
