空気が重くなるのに耐え切れず、思わず口を開く。
「ユチョ……?」
背中越しのユチョンの温もりが優しく伝わる。
「ジェジュ、無理するな?俺は、ジェジュが心配だよ。」
「ユチョ……。」
「見てられないよ。辛そうなジェジュ。」
俺の胸元にあるユチョンの手を掴み、唇に当てた。
「ありがとう。ユチョ。俺の事は心配しなくても大丈夫だから。ユノが居なくて、寂しいだけだよ。」
悲しげな表情で俺を見つめるユチョンに、俺はニッコリと微笑み返した。
すると、ユチョンの顔が少しずつ近づき、俺の唇とユチョンの唇が軽く重なった。
「……?」
ユチョンは、ニッコリと笑って口を開いた。
「ジェジュが元気になれるように、おまじないだよ。」
俺は、思わず顔を赤らめて笑った。
「だからって、キスするのかよ……。」
「ふふっ。ジェジュの唇の形が綺麗だから、キスしてみたかったんだ。」
リビングからクスクス笑っているジュンスの声が聞こえる。
俺はちょっと意地悪な気持ちになり、言った。
「ジュンスがヤキモチを妬くぞ。」
ユチョンは偉そうに言い返す。
「俺達は、そんな小さな事でヤキモチを妬かないよ。」
思いもよらない強気な言葉に何も言えなくなった。
スゲーな。俺とユノの間で、そんな強気な言葉、言った事あったかな?
今の現状では、とても自信があるような事など、言えない。
ユチョンとジュンスの絆の深さに、愛情の強さを感じた。
ユノ……。
ユノは今、何を考えているのだろう?
俺の事を……俺との事を考えてくれているだろうか?
ユチョンやジュンスのように、俺達は強い絆で結ばれているだろうか?
ユノ、今の俺は、俺達の関係の脆さを感じてしまっているよ。
ユノが……
こんなにも遠い……。
それでも、ユノを愛している気持ちは変わらない。
明くる日から、毎日のように忙しい日々が続き、ユノと会えない時間が尚更過ぎて行った。
何としてもユニット活動を成功させて、俺達を待ってくれているファンの皆の前に出たいと、ユチョンとジュンスと俺は必死だった。
何処かユノの居ない寂しさを紛らわすように、忙しい毎日に救われていた。
そんな時、前の事務所のマネージャーから突然、俺達に会いたいと連絡が入り、とりあえず俺一人で会う事にした。
前事務所のマネージャー、オ・スンハは俺達と仲が良くて、色々な面で信頼出来る一人だった。
俺とユノ、ユチョンとジュンスの関係を知っていて、何かと協力をしてくれた。
東方神起がバラバラになって、勿論、会ってはいない。
今日は、数ヶ月ぶりに顔を合わせる。
行きつけの隠れ家的なカフェで待ち合わせをして、一番奥のテ-ブルにスンハは座っていた。
俺の姿に気が付くと、スンハは立ち上がり、泣き出しそうな声で「ジェジュンさん!!」と叫んだ。
「オイ。大声で叫ぶな。」
「だって、ジェジュンさん……。」
スンハの目からは涙が溢れ出ていた。
「相変わらず、困った奴だな。スンハ。」
優しいスンハは、今回の俺達の騒動でどれだけ心配をして、苦しんで、悩んでくれたのか。
いつも、そうだった。
何かあれば必ず、スンハも一緒に背負ってくれた。
「スンハ、ゴメンな。心配させたな。」
「いいえ。ジェジュンさん。そんな事、ありません。」
スンハは、泣き顔なのに、精一杯笑おうとしていた。
「ところで、スンハの話って何?悪いけど、あんまりゆっくり出来ないんだ……。」
早速、本題に入るとスンハの顔つきが変わった。
「ジェジュンさん……。東方神起に戻る気持ちは無いですか?皆、元のメンバーに戻って欲しいと願っています。」
「ユンホやチャンミンも同じ気持ちなのか?」
「勿論です!!」
「けど、俺達は何回も話し合いをして、出した結果でこうなったんだ。ユンホやチャンミンも納得してるはずだよ。」
スンハは再び涙目になり、必死に何かを訴えようとしていた。
「ジェジュンさん!!メンバーで住んでいたマンションを出てからのユンホさんは、辛そうで見てられないですよ!!」
「え……?」
俺は震える手を必死で抑えながら、スンハの話を聞いた。
「ユンホさんは、今もかなり悩んでいるみたいで、痩せましたよ。元気も無いですし。チャンミンさんは、何とか最近になって前向きになって来たみたいですけど。」
「さすが、チャンミンだな。一番、しっかり者だからね。」
スンハに動揺をさとられないようにと必死で平気な態度を装っていた。
ユノが痩せるくらいに悩んでいる??
手紙では吹っ切れたような印象だったのに、嘘みたいだ。
「ジェジュンさん。今日、僕はユンホさんに内緒で来ました。ジェジュンさんにユンホさんと会って欲しいとお願いしに。」
思いもよらないスンハからの言葉に、ただ茫然自失となった。
「実は、ユンホさんのマンションの合鍵をジェジュンさんに渡そうと思って、持って来たんですよ。今のユンホさんを支えられるのは、ジェジュンさんしかいません。」
「え……?!」
「これがユンホさんのマンションの鍵です。」
スンハが一つの鍵をテ-ブルの上に置いた。
「でも、俺がユノのマンションにいきなり行って、いいものかどうか分からない……。」
さすがに動揺を隠し続ける事は無理だった。
「ジェジュンさん。何を言っているんですか。僕は、ユンホさんとジェジュンさんの絆の強さを見て来ているんですよ。何を今更、自信なげに言っているんですか。」
「俺とユノの絆の強さ?」
「そうですよ!ジェジュンさんとユンホさんは、いつでも一心同体のようにお互いを支えあってこれまでやって来たと思います。」
スンハは俺とユノの絆が強いと感じてくれていた。
でも、俺達がいつでも一緒に居たから、そう見えたんだ。
ちょっとでも距離が遠くなっただけで、俺達はこんなにも脆い。
「ジェジュンさん。チャンミンさんも最初はかなり落ち込みが激しかったんですよ。」
「チャミが?」
いきなりチャンミンの話を出したスンハは、言っていいものか迷いながら口を開いた。
「でも、ほら、日本人の年上の彼女が毎日のように、メ-ルや電話で励まし続けていたみたいで。 今は、お互いに日本と韓国を行き来出来ない状況ですしね。」
※いきなりCMです!
チャンミンの日本人の年上の彼女とは、この5LDKシリーズで出ています。読んでみて下さいませ。
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