H4ー2 OTAKU日和 -39ページ目

H4ー2 OTAKU日和

愉しいヲタク L I F E


その4

タイガ-の奥さんが好きな曲名は、 多分、これだ!!

あの日以来、毎日のように、ネット を見たり、CDショップに通いつめ たり、色々な人に聞き歩いたりして 、曲名を調べていた。

どうしてもこの曲で、私らしく、私 の想いを伝えたい……。

せっかく、バ-ナビ-がアドバイス をしてくれたし、出来れば、成功さ せたい。

カリ-ナはあれから、とある計画を 立てていた。

マネージャーと打ち合わせを繰り返 し、アニエスより承諾をもらい、ス タッフと念入りに話し合いをしてい る。

クリスマス当日まで日にちが迫り、 益々、忙しい日々になっていた。

帰宅はほとんど夜中か朝方で、すぐ に眠って、また仕事の繰り返し。

平均睡眠時間が2時間か3時間しか 取れず、ママとパパが心配をし始め た。

「カリ-ナ、身体を壊すわよ。大丈 夫なの?あなたが仕事を懸命にやる のは嬉しいけど、パパもママも凄く 心配なのよ。」

「大丈夫よ、ママ。クリスマスに大 きな仕事を抱えているから、それま では好きにさせてよ。」

でも、ヒ-ロ-の出番も重なり、ポ イントがほとんど取れない状態でラ ンキングが下がり気味だった。

スポンサーから何度か大目玉を喰ら いながらも、カリ-ナは必死で戦っ た。

そんなある日、 現金輸送車が何者かによって狙撃さ れ、ヒ-ロ-達に出動命令が出た。

ブルーロ-ズは現場で、犯人を追跡 中、タイガ-とバ-ナビ-を目の前 に倒れ込んだ。

「おいっ!!ブルーロ-ズ!!どう した?!」

薄れる意識の中、タイガ-の腕の中 で、タイガ-が自分に何かを叫んで いいるのを感じた。

「う……ん?!」

目を開けると、白い天井がぼんやり と見えて来た。何があったのか覚え ていない。

「ここは……??」

「ブルーロ-ズ、目を覚ましたか? ?大丈夫か?!」

「え……??」

タイガ-とバ-ナビ-が、ひどく切 なそうな表情で顔を覗き込んで来た 。

「お前、倒れたんだよ。覚えてない のか?!」

「私が倒れたの?!」

「お前、最近、いきなり忙しいみた いだな。仕事のし過ぎじゃねぇのか ?」

タイガ-が私を心配してくれてる… …。そう思うだけで、嬉しくなる。

「カリ-ナさん。少し休まないと、 また、倒れますよ。顔色がかなり悪 いですね。」

バ-ナビ-がブルーロ-ズを素顔の 名前で呼んでいる事が虎徹には意外 で、不思議だった。

「大丈夫。今は大事な仕事を抱えて いるから、休んでいる訳にはいかな いのよ。」

ベットから立ち上がろうとしたブル ーロ-ズを虎徹は、抱き上げた。、

突然、お姫様抱っこをされ、戸惑っ てしまう。

「何するのよ!?降ろしてよ!!」

思わずムキになり怒鳴ってしまった 。

「お前、今日はきちんと休め。休ま ないと後々に響くぞ。」

真剣な眼差しで抱きかかえられると 、どうしたらいいのか分からなくな る。

「分かったわよ!!だから、降ろし てよ!!」

虎徹は、ブルーロ-ズをベットに下 ろすと、にっこり笑った。

「分かればいいんだ。」

「何よ、偉そうに。」

ムキになりながら、顔は真っ赤で胸 はドキドキで、まともに虎徹の顔が 見れない。

「まだ、熱があるみたいだな。顔が 赤いぞ。」

そう言って、ブルーロ-ズのおでこ に掌を乗せた。

彼女の顔は、茹でダコ状態で、身体 は硬直、極度に緊張気味。こんなに 、心臓が激しい爆音を立てるなんて 無いだろう。

「タ……タイ……タイガ-、だ…… 大丈夫だ……よ……。」

虎徹がこんなに近くに居るだけで、 息苦しくなる。

ブルーロ-ズはどれだけタイガ-が 好きか改めて自覚をした。


[その5へ続く〕
その3

タイガ-の奥さんが好きな曲って、 私も以前、何かで聞いた事がある。

かなり昔のラブソングだよね?!

カリ-ナが難しそうな顔をしている と、虎徹とバ-ナビ-は心配そうに 顔を見ている。

「カリ-ナ……ちゃん。今日は悪か ったな。何だか、振り回したみたい でよ……。」

虎徹の言葉にハッとして、 慌てながら口を開いた。

「え……?!あ……。そんな事ない わよ。タイガ-の意外な一面を知れ たし、奥さんとの話には感動したし 。」

「そうか?!ありがとうな。」

そう言って、カリ-ナの頭を優しく撫でると、 照れ臭そうに微笑んだ。

「僕も感動しましたよ。虎徹さんと 奥さんの馴れ初めが素敵でした。虎 徹さんが、こんなに一途で純粋だと は思わなかったです。」

「バニ-まで……。ありがとうな 。友恵も照れながら、笑ってるだろ うよ。」

また新たな虎徹自身を知れた事に、 バ-ナビ-は 満足だった。

楓は、それぞれのやり取り見つめながら、嬉しそうに笑っていた。

レストランを出ると、外は再び大つ ぶの雪が積もっている。

「あ、じゃあ。私、こっちだから、 帰るわ。」

一礼をしてその場を立ち去ろうとす るとバ-ナビ-が腕を掴んで来た。

「待って下さい。夜遅くの女の子の 独り歩きは危ないですから、僕が送 ります。」

「えぇっっ?!」

いきなりの展開に頭がついていかな い。

「そうだぞ。カリ-ナ……ちゃん。 女なんだから、きちんと送ってもら いなさい。夜はイカレタ奴が多いん だからな。」

「ちょっ……。」

どうせなら、タイガ-が送ってよ! !

何で、いきなりバ-ナビ-が??

私の気持ちを知っているくせに!! !

とにかくパニック状態で、口をパク パクさせながら、何も言えなくなっ てしまった。

「では、虎徹さん。今日はありがと うございました。楓ちゃん、またね 。」

虎徹親子に爽やかな笑顔で挨拶をす るバ-ナビ-に、カリ-ナはただ不 信な顔で見ていた。

「おう、気をつけて帰れよ。」

「さようなら-!!!」

にこやかに去って行く虎徹親子を切 なく見つめているカリ-ナに、バ- ナビ-はフッと笑った。

「何か、いいたげですね。送るなら 、虎徹さんの方が良かったですか? !」

「はぁ?!」

彼の一言に、ただただ、ムッとした 。

意味が分からない!!!

「アンタ、何を考えているの?」

「別に何も。ただ、カリ-ナさんに 一言伝えたくて、帰り道、送る事に したんです。」

「伝える?だから、何なの?!」

目がすわり、すっかり不機嫌になっ たカリ-ナに、バ-ナビ-は微笑ん だ。

「カリ-ナさん。虎徹さんに何か想 いを伝える事をしてみてはどうです か?虎徹さんは、あの通り、かなり の鈍感ですからね。」

「それを言う為にわざわざ…??」

キョトンとしたまま、立ち止まった 。

「えぇ。虎徹さんを見ている、あな たの目が凄く切なそうだったので、 応援したくなりました。」

カリ-ナの顔が一気に、ボゥゥッッ と赤くなった。

クスクス笑う余裕のバ-ナビ-に、 やっぱりムッとしてしまう。

「あなたが1番得意とする事で、想 いを伝えたらイイと思いますよ。直 接、好きだと言うのは、まだ無理で しょうから。」

「……。心配してくれてるんだ…… 。」

今まで人との接触を避けて来たバ- ナビ-なのに、一体どうしたのだろ う??と不思議で仕方がない。

「そうですね。虎徹さんのお節介が 移ったのかもしれませんね。」

今まで見た事がないくらいの爽やか な彼の微笑みに、カリ-ナは一瞬、 ドキッとした。

でも、バ-ナビ-のお節介が可笑し くて、プッと吹き出し、クスクスと 笑う。

「……やっと、笑いましたね。」

「だって、バ-ナビ-ったら、可笑 しいんだもの。笑っちゃうわ。」

二人とも顔を見合わせ、また、笑い 出した。

暫く、二人の笑い声が辺りに響き、 カリ-ナの蟠りが少しずつ小さくな っていく。

「そうだね。バ-ナビ-の言う通り に、頑張ってみるよ。」

何か吹っ切れたように、とびきり明 るい笑顔でそう言うと、バ-ナビ- も釣られて笑顔で返した。 [その4へ〕


-その2-

レストランの中に入ると、ピンクの 可愛い内装が女の子なら誰もが喜び そうだった。

窓際の席に通され、テ-ブルには、 綺麗な赤い薔薇の花束が置いてある 。

「はい。これは、オレから楓にプレ ゼントだ。いつも、おまえの母さん にな、こうやって花束をプレゼント していたんだぜ。」

得意げに虎徹が言うと、楓は両手を 挙げて大喜び。

「うわぁ-。お父さん、ありがとう 。お母さんとロマンチックに過ごし ていたんだねぇ-。」

「ヘヘっ。こう見えてもオレはロマ ンチストなんだ。」

カリ-ナは虎徹の意外な一面を知っ て、嬉しい半面、寂しくもあった。

「虎徹さんは、奥さんを大切にして いたんですね。どんな、馴れ初めだ ったんですか?」

バ-ナビ-が口を開いた途端に、カ リ-ナはビクッと肩を震わせた。

聞きたいような、聞きたくないよう な、複雑な心境だったが、静かに目 を閉じると深呼吸をして、決心を固 める。

きちんと、虎徹の話しを受け止めよ うと思った。

「話してよ。タイガ-。私も聞きた い。楓ちゃんも聞きたいでしょ?」

にっこりと笑ったカリ-ナの顔は、 どことなく寂しそうだった。

「うん。聞きたい。」

楓の凄く嬉しそうな満面な笑みに、 虎徹は優しく微笑み、話しを始めた 。

「オレと嫁さんの友恵が出会ったの は、高校生の頃で、一目アイツを見 た途端に好きになったんだ。長い黒 髪の美人でな、オレにとって、初恋 でよ……。」

目を細めて、遠い昔を愛おしそうに 語る。

楓は、ずっと父の顔を見ながら、真 剣に聞き入っていた。

バ-ナビ-は、優しい眼差しで、黙 ったまま、聞いている。

楓が産まれた時の事。 友恵が亡くなった時の事。

虎徹は時間を忘れ、夢中で話した。

タイガ-と奥さんは、凄く素敵な夫 婦だったのね……。

カリ-ナは、虎徹の言葉を一言も聞 き漏らさないように、ずっと夢中に なっていた。

……タイガ-は、奥さんが初恋で、 それから一途で、今も奥さんを想い 続けているんだ……。

……タイガ-の奥さんへの、想いは 凄く深い。

……ダメかも。

私の想いは、タイガ-へ届かない。

泣きそうな思いを必死に堪え、虎徹 の顔をじっと見ては、深い溜め息を 付いた。

「なんだ?カリ-ナ……ちゃん。や けに今日は元気ないなぁ。どうした ?」

「別に、何も……。」

誰のせいだと思っているのよ?!

本当、一々、腹が立つ!

何で、アイツの為に私がこんなに悩 まなくちゃいけないのよ!!

本人は、凄く鈍感でぶっきらぼうで 、いいとこなんて1つもないのに。

……でも、 ……でも、 ……それでも、 やっぱり……好き。

好きな気持ちは、 どうしようもないんだ。

タイガ-を好きなら、奥さんの事や 楓ちゃんの事を受け止めなくちゃ。

今にも折れそうな心を必死に耐えて いた。

「あ……、これは。」

店内を流れる曲に虎徹は耳を傾けた 。

「何です?虎徹さん。」

バ-ナビ-が不思議がり聞くと、「 うん。この曲な、友恵が好きだった んだ。曲名がいつも思い出せなくて 、友恵に何度も教えられたんだが、 結局、覚えてないんだよ。」

優しい眼差しでそう答えた。

「お母さんの好きな曲だったんだ。 」

楓は、自分の両親の話に涙目になっ ていた。

「何だよ、何だよ、辛気臭いな、オ イ。俺の話を聞いて、おまえは泣い てるのか?楓。」

「泣いてないよ、お父さん。」

楓の頭を撫でながら、思いきり温か い笑顔を見せた虎徹の顔を、眩しそ うにカリ-ナは見つめていた。

[その3へ続く〕