作者・ぱらりん・銀子
皆様お待たせ致しました♪「その執事 黒薔薇」です。話が思いの他長くなってしまい、やむなく中、後編に分けました。楽しみにして下さった方々ほんとスミマセン! では、本文へどうぞ♪
※前のあらすじは、その執事・黒薔薇・前編1と2をお読み下さいませ…。
― 一方、シエルの書斎を辞したセバスチャンは、
『どうも先程の坊ちゃんは、いつもと雰囲気が違いますね。今夜の事も何か楽しんでおられるようでしたし…。まぁ、せっかく坊ちゃんがその気になっていらっしゃるんですから、私も楽しみにしていますか』
セバスチャンは、シエルが今朝からずっと機嫌が悪かった事、その原因が昨夜の自分の発言によるものだという事を充分承知していた。
だが、あえてそれは口にしなかった。
これ以上、主人の機嫌を損ねるような真似は執事の美学に反するし、何より今夜の事が中止になる可能性もあったからである。(結局セバスチャンの本音はそこだった)
セバスチャンは執事として、主人の傍に居るのが誰よりも一番長い。故に、どういう時を一番好むか熟知していた。
それで、届いたばかりの紅茶を主人に飲ますべく持って行ったという訳である。
シエルは、紅茶の香りに包まれいる時が一番穏やかな表情をする。
セバスチャンは、こういう時の主人が一番好きだ。
いつもの小生意気な所は微塵も無い子供らしい表情。そして、夜はその小さな身体で必死に自分にしがみついて来る昼間とは違うもう一つの表情。
そのどちらもセバスチャンは誰より大事にし、愛しく想っていた。
まさか悪魔である自分に、このような感情が芽生えるとは思いもしなかった。
だが所詮は人間と悪魔。決して叶う事のない、まして口外など赦されない秘めたる想い。
この想いは日に日に強くなり、夜、主人をこの手に抱いている時も自分の気持ちを押し殺すのに必死だった。
これが毎晩ともなれば、さすがに「あくまで執事」と言えど、感情のブレーキが効かなくなるのも無理ならぬ事。
よって、昨夜のあの一言を口にしてしまった訳である。
別に、誘う誘わないはセバスチャンにとって大した意味はない。
ただ、いつまでも自分の気持ちに気付かない、この鈍感な主人に少々腹が立った。というのが一番の理由だろう。
だが、理由はどうあれ一度口にしてしまったらもう歯止めは効かない。
どんなに主人を怒らそうと、この時だけは自分の事だけを考えてくれる。 セバスチャンにはそれだけで充分だった。
―続く―