東芝ハイブリッド機関車の特許を紹介します。

私は新鶴見機関区を時々見に行くのですが、入換用機関車がDE11からHD300に代わりつつあります。このHD300型ハイブリッド機関車の特許第6661416号を紹介します。分かり易く言うと、低温時(始動時)に内燃機関と発電機の発電量を制限して、コンバータを小型にしたハイブリッド機関車。(リチウムイオンバッテリーは低温で内部抵抗が大きくなります。)


【請求項1】

 内燃機関と、前記内燃機関に接続され、前記内燃機関の動力を交流電力に変換可能な発電機と、前記発電機に接続され、前記発電機の交流電力を直流電力に変換可能なコンバータと、直流電力を交流電力に変換可能なインバータと、前記コンバータと前記インバータとを接続する直流リンクと、前記直流リンクに電気的に接続されるバッテリと、前記コンバータが出力可能な電流の最大値と前記バッテリの出力特性とに基づいて算出される前記バッテリの出力電力の上限値と、前記バッテリの温度およびSOC(充電率)と、の対応関係を記憶する第1のマップと、前記バッテリの出力電力が前記第1のマップにおける前記上限値以下になるように、前記バッテリの温度およびSOC(充電率)に応じて前記内燃機関および前記発電機を制御するコントローラと、を備える、ハイブリッド電気機関車。

【請求項2】  前記バッテリのSOC (充電率)の下限値と、前記バッテリの温度と、の対応関係を記憶する第2のマップをさらに備え、前記コントローラは、前記バッテリのSOC (充電率)が前記第2のマップにおける前記下限値以上になるように、前記バッテリのSOC (充電率)に応じて前記内燃機関および前記発電機を制御する、請求項1に記載のハイブリッド電気機関車。





東芝のホームページに載っている説明図です。

力行時


回生時

カタログ


拒絶理由通知書が発行されて、手続補正書が提出されています。

意見書

 本願の出願当初の明細書の段落[0015]~[0027]および[0072]などに記載の通り、一般的なハイブリッド電気機関車では、低温によりバッテリの出力が限られるハイブリッド電気機関車の始動時などに対応するために、コンバータを大電流に耐え得るように大型化する必要がある、という不都合があります。しかしながら、ハイブリッド電気機関車の始動からある程度の時間が経過すれば、バッテリがある程度温まることでバッテリの出力が確保できますので、低温によりバッテリの出力が限られるハイブリッド電気機関車の始動時だけのために、コンバータのサイズを大型化するのは、効率的ではありません。

 そこで、本願の補正後の新請求項1にかかる発明は、コンバータが出力可能な電流の最大値とバッテリの出力特性(たとえば内部抵抗特性)とを考慮して決定されるバッテリの出力の上限値を第1マップに設定し、当該上限値以下の範囲でバッテリを最大限使用することで、ハイブリッド電気機関車の始動時だけのために、大電流に耐え得る大型のコンバータを設けることを不要にすることができる、という顕著な効果を奏します。