#61 BABIES IN THEIR NIGHTMARE 不安 | 塗櫛のブログ

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そしてYJ連載中の「テラフォーマーズ」に夢中。
テラフォーマーズ感想についてはほぼ初見の勢いで書いてますので、
文章が荒ぶっています点をご了承の上お読みください。

3週間て早くないですか…?と思ったけど多分5年待ってたからの気がする。
嫌な慣れ方をしてしまったw




 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
※以下本誌ネタばれですのでご注意願います
 
 
 
 
 
 
 
 
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・去来する過去…。
「サムライソード」は双子の姉の存在があってこそなったもの、ならざるを得なかったものであるという過去と、今に至る未来。
この辺りは#38、#57(現時点では単行本未収録分)で描かれているけれど、彼女の姉はある意味ミニマリストに近いサムライソードに比べて自由奔放ともいえる存在、人生の余白を楽しむタイプの人間だったと言えるだろう。
可愛いから、面白いから。そういう理由で手元に置きたいと思えるならばそれは手元に置くべきだし、その余白を楽しむことが出来ないのであればそれに生きる意味などないのではという疑問を抱くような人間だった。
生きることを楽しむことが上手かったのだろう。
上手かった、という過去形で語る存在となってしまった姉が恐らく最後に言ったのが生きる機械でもいい、生きていられるならそれでいいのだという言葉。
生きてさえいればいいのだと。
2人が誘拐されたのは本来どちらのせいでも無いのだけれど、旅行先に刺激を、ある種の余白を楽しむ挑戦を含めた提案をしてしまったがゆえにこの事態を引き起こしたという後悔があればこその言葉だろう。
もし自分がこの旅行を提案しなければ、きっと無事だったというその後悔。
だから生きて欲しい。
機械でもいいから、人生の余白など無視していいから、まず生きて欲しい。
きっとそう願ったのだろう。
もしかしたら姉のその自由さに憧れを抱いていたかもしれない妹の前で、その命が尽きる間際にその言葉を。
生きることが、生き抜くことが過酷なことであったとしても。

・愛が故に 愛の為に 我らは闘う!
見開きの格好良い事よ!
燈の専用武器については若干その存在を忘れてかけていたことは否めない…というか基本彼は徒手空拳でも十分に強いのでストーリーの展開の都合以外にあえて武器を使う必然性が薄いというのもあると思うという言い訳。
この面子でジェットが背中を向けているのもまた最高なわけですよ。
彼がどういうキャラクターなのかということを文字通り立ち位置で表現しているというか、同列の存在ではあるけれど、仲間と言うには何かが違うというか。
恐らくジェットにとっては劉さんの存在が未だ大きいのではないかという気持ちが個人的にはある。
というよりもその存在が未だ大きいものであって欲しいというか。
彼への忠義にも似た感情があるからこそ横並びではあるけれど仲間にはなれない、それはある種のうしろめたさのようなものも内包しているのではないかという願望を含めた上での話というかこのブログのすべての記事は私の妄想と願望で構成されています。

・BABIES IN THEIR NIGHTMARE
タイトルにもなってるこの言葉、本来は「BABIES IN THEIR DREAMS」という聖飢魔Ⅱの歌であり、「夢の中の赤ん坊」という直訳は決して悪夢を意味するものではないのだけれどあえてそれをアレンジしてこのタイトルにしたのだろう。
もっとも歌詞の内容としてはそこまで平和なものではないが、そこはまあ聖飢魔Ⅱの曲であることを考えればむしろ正しい。
安易に悪夢という言葉を使うのではなく、あくまでも不安という感情の表記に留めているのはサムライソードの今の心境だからこそだろうか。

・一日一善
なんだそのカレンダー。
職場支給のものなの。取引先の企業に年末にこれ配ってるの。
多分卓上型もあるでしょ?
欲しいけどいらないやつだ。

・ノルアドレナリン
テラフォ王道のナレーション芸というか、こういう知識を不意打ちで増やしてくれるのを含めて好きなのだなと。
もちろん生物の豆知識も好きなのだけれど、こういう「現象」に近いものを説明されるとつい読みふけってしまう。
実際人間の認識や感情は突き詰めてしまえば脳からの電気信号であると言う乱暴な括り方をしてしまいたくなる時も多いのだけれど、それを研究して物理的に存在するものが不安感を司るという事を突き止めた人がいるのだなという事実に感心してしまう。
じゃあこの物質を取り除けば人類は不安から解放されて常にハッピーな状態で暮らせるのでは?とも思ってしまうけれど、身体の中に常にあるものを完全に消滅させるとなると絶対に歪みが生じるものだろうし、多分ロボトミー手術と呼ばれるものではないのかという気付き。
不安ではないから幸せかと言われればそういうものでもないだろうし。
それに日常生活において人間の持つ機能として寝るという行為を挟み、色々なものをリセットすることでその不安を記憶と分離させることが出来るというのもよくできたシステムだなと。
というよりもそのシステムがあるからこそ生活していけると言えるし、そのシステムが無いと生きていけないからこそ構築されたものかもしれない。
感情という曖昧なものにも何らかの法則性があることを見出すというのは単純にすごい事だなと思うし、人がそういうシステムによって感情を抑制している、もしくは抑制することが出来なくなるというのは個人的には便利であり不便な話だなとも思う。
あと睡眠時間は大事。

・頼る
男であろうと女であろうと、一人では成しえぬことを誰かに頼れるのであれば、それは頼るべきではないのかと個人的には思っているタイプの人間です。
しかしここで彼女の過去を知っている、というか彼女の過去を「そうした」男が『男に頼るのか』と聞いてくるのはあまりにも人の心が無い。
が、同時にハンニバルならそう言うだろうなという気持ちもある。
ハンニバルの中では復讐の為に命を賭けた手術を受け、そして会社とは全く違うルートで単身この船に乗り込むまでの情報を集め、ようやく自分の人生に区切りを付けられるだろうこの瞬間、誰かに、ましてや恐らく彼女が最も嫌悪してるだろう男という生物に頼ることなどおかしい事だと思っているのではないかと。
もちろん精神的な揺さぶりの意味も含めての事だろうが、自分が彼女をどうしたのかをわかっているからこそ、そしておそらくここまで辿り着く為に彼女がどういう「努力」をしたのかを察したからこその言葉ではないか。

・一人で出来ること
このサムライソードの顔よ。
諦めではなくも優しさを感じるこの顔よ。
もちろん根幹にある復讐心、男という生物に対する嫌悪が消えてなくなったわけではない、消えてなくなるようなものでもないのは当然として、それでも彼女にとって一警護にいたことは抱き続けてきた不安を遠ざけるだけのものがあったのではないだろうか。
男という存在を利用するだけだと割り切ることが出来ないぐらいには、そして人間が一人で出来る事なんて、手の届く範囲なんてそんなに広いものでもないということを教えられたというか理解できたのが一警護という存在であれば良いと思う。

・値する
何に値するのか。
命を奪うことに値するのか、サムライソードが男に頼るに値するのか。
ハンニバルは前者の意味で捉え、慶次は後者の意味で捉えたのではないかと。
だからこそハンニバルは否定し、慶次は肯定した。
もっとも否定したところで自分の命が奪われるなどとは微塵も思っていないような気もするが。

・するだろ
するよなあ。
こういう時にスッと入ってくるジェットの一歩引いた感じがたまらなく好きです。
あとジェットは多分前者の意味での肯定をしている気がする。
サムライソードの過去を知らずとも、今聞いた話だけでジェットにとってのハンニバルは命を奪われても仕方のないものとして扱われているというか、命を奪うことと奪われることに関しての温度差があるというか。
彼はちょっと環境がまた違うからなあ……。

・不安
すごくこのシーン好きなんですよね。
もちろん復讐という大前提があるし、彼女はハンニバルを亡き者とするつもりなのはわかっているけれどそこから先を見据えた言葉が『不安にならない様にしたい』というのが。
サムライソードが前に進むためにはどうしたって目の前のこの男を亡き者にする必要がある。
それについては他人が口を挟むようなことでもないだろう。
そもそもハンニバルの存在については大っぴらに言うことではないがニュートン一族の人間としてジョセフの情報を引き出す為に「ある程度までは許される」という大義名分がある。
もちろんそれは一警護側、さらに言うなら物語を読んでいる側に提示された「正義」に起因するものだけれど、それに至るまでのサムライソードへの仕打ちも含め、「亡き者にしても許される背景」を持たされているキャラでもある。
ハンニバルの存在を屠ることで溜飲を下げる、姉の仇をとる、自分の人生に区切りを付ける、そういう言葉であってもいいのに、サムライソードは『不安にならないようにしたい』という言葉で彼女の今と未来を表している。
男という嫌悪し、唾棄すべき存在だと思ってしまう、そう思うべき存在であるはずなのに周りの人々が、周りの男たちが自分に対して寄せてくれる信頼を、優しさを裏切りたくない、その想いに裏があると思いたくない。
彼女の『不安にならない様にしたい』という言葉は「信じたい」という言葉。
だからこそ慶次は値すると判断したのだろう。
過去の清算だけでなく、確実に未来へ歩むためのものだとわかっているからこそ彼女が手を汚すことへの覚悟を、そしてそれに間接的にとはいえ己が手を貸すことへの責任も含めて値するのだと。
悲痛な覚悟ではなく、前へ進むための覚悟を抱いた彼女の顔を見ればそれは『値する』ものなのだ。

・服を着ろ
男女問わず全裸の相手に遭遇しがちランキング1位、鬼塚慶次。

・衝撃波
ジェットの衝撃波を受けた際に踏ん張った足の踏み込みで同じように衝撃波を出せるのか、それとも受け流し的なイメージなのか。
いや受け流すにしても空気の流れを変えることが容易にできるわけでもないので、恐らく前者なのかなと。
もしかしたらこの時点でジェットに何らかの形で触れていたとしたら、ハンニバルが衝撃波を出せたとしても何の不思議も無い事ではあるんだよな……。


・ジャスティス・ブレイカー
サムソさんの武器、カラーで見たいけどまさか茹ってる状態ではないことを信じたい。
ナイフではなく刃物、と彼女が言っている以上それはむしろ刀というべきなのだろう。
その切れ味については「足の指を切断したうえで」恐らく金属製であろうベルトのバックルを綺麗に切断できるほどのもの。
もしこのベルトが無ければハンニバルの21本目の指(指?)は無事に切り落とすことが出来たのだろうか?
実際に尾を使っての狩りというのは自分の中に知見としてなかったのだけれど、蝦蛄や海老の尾の鋭さというか薄さについてはなんとなく実感はある。
フライとか。
絶対口の中が切れそうな気配があるというかいやでも言うほど海老の尻尾を食べるかと言われれば食べない方ではあるのだけれど、今調べていたら外側の尾扇部分が自分の想像している部分で、真ん中の部分はどちらかといえば肛門節とも言われているらしく字面から色々察してしまい、今後食べる頻度は減りそうだなと思うなどしている。

・天異変態
風邪村くんの場合は特殊なパターンなのでさておくとして、今までだと描写的には複数の特性を取り込むということはあまりなかったような気がする。
うろ覚えなだけかもしれないけれど。
特性同士の相性というか、アレルギー反応的なものが発生することはないのだろうかとよくわからない心配をしてしまう。
あとは他人の特性であったとしても「それの使い方」というのは直感というか体感というか、本能的な部分で理解するものなのだろうかとか。
これについては火星編の時にも疑問に思ったような気もするが、遺伝子を体に取り込むというのはそういうことなのかもしれない。
あとは端的に「細けえことはいいんだよ」で納めるのが正解な気もする。

・3対1
オノマトペが無くても音が聞こえる、もしくは音すら聞こえないというこの表現。
しかし咄嗟にその場にあるものを武器として使いこなすジェットの器用さというか、臨機応変さというか。
火星編の時もそうだったけれど、その場にあるものを利用しての戦闘に慣れているというか
ゲリラ戦を常としているというか。
生存を最優先とした闘いに長けているというか。
その辺がジェットの育ってきた環境というか、燈との対比というか、アンチヒーローとして最高のキャラだなあと毎回思ってしまう。
そしてサムライソードは彼女の専用武器を、というよりも太刀をこそが彼女が得た闘う力であり、最も確実に相手を仕留めるための手段を持ち、慶次も人生を賭けて得たボクシングというその徒手空拳こそが最大の武器であり。
だが、勝てない。
火星でも地球でもランキング上位である彼らが3人がかりであっても、勝てない。
多勢に無勢という言葉など恐らく存在しないのだろう。
ましてや、ハンニバルの持つ特性を考えれば、きっと。
多勢でない方が良かったのだ。
本来の肉体だけのポテンシャル以上に、彼のその特性を考えれば、せめて1対1であるべきだったのだ。

・テルムス・アクウァーティクス(Thermus aquaticus)
ベースが細菌というよりバクテリアに近いし「環境中からタンパク質を吸収できる」というなら確かに『特性が天異変態』になるのは当然か……。
#8のキマイラ・ブラッド技術の際に出てきた名前だけれど、さすがに5年以上前に出てきた細菌の名前まではさすがに脳内に留めておけなかったというかすみませんシンプルに忘れていました。
でもまあ自分のブログを読み返すと「新薬の中にテルムス・アクウァーティクスが含まれており、その酵素によって相手の持つベース生物のDNAの断片を増幅させて己の新たなベースとする」という記載がきちんと残っていたのでさすが5年半前の自分ちゃんとしていたえらい。
ハンニバルの特性としては細菌型、ということになるが今までの「正規の手順ではない天異変態」の場合、血液を媒介してのパターンだったことを考えれば、この闘いの最中にほんのわずかであれ相手の血液を取り込むことさえできればその特性を自分のものと出来る。
言い換えれば能力のコピーということになるだろう。
血液経由の場合効果時間が非常に短いとされていたが、それはあくまでも己の特性があった上で他人の特性を取り込むが故、という条件のもと。
では自分の特性そのものが取り込んだDNAを増幅、そしてそれを固定できるものであったとしたら。
一度取り込んだ特性を恒久的に己のものとする、という事は無いだろうとは思うが、そうなると勝敗のカギはハンニバルが取り込んだその特性をどれだけの時間維持できるのかという所にかかって来そうな気がする。
既に相手が自分たちの特性を得ている以上、下手に引いたところで意味はないだろう。
短期の攻撃をしのぎ切り、その上で反撃の機を伺うか、連携で叩き潰すか。
ただランカー上位3人分の特性を、ニュートン一族の肉体が得ているという条件を前提とした上での選択である以上容易いことではない。
容易いことではないが、それを遂げなければ情報を得るどころか己の命が奪われる。
『人間』であることを自負するその相手に。

・人間
ジョセフもそうだけれど例えM.O.手術を受けた存在であったとしても自分のことを誰よりも人間であると、自分こそが『人類の』到達点であると自負する彼ら。
ハンニバルの言い方だとむしろ自分こそが人間であり、手術を受けたサムライソード達を人間とは認めていない言い方でもある。
だからこそ傲慢、という煽りを付けたのだろうとも思う。
言い方は悪いがより強い個体を作り上げるために自分たちの身を使って交配を繰り返し、人間が持つ遺伝子の強さとその可能性を信じて何百年と進化し続けてきた彼らは人類の指針になるべき生命だという誇りがある。
人間離れをしているのではなく、ただ周りが自分たちに追いつけていない、自分たちの様になるには外的要因が無ければ対等になれないと思っている。
思っているというよりそれが彼らにとって当然の認識であり、世界とは彼らという人間と、人間に進化する過程の「なにか」で出来ているのかもしれない。
ただ、個人的にその価値観が自分にそぐわない、理解できないものであっても責めるものではないなと思ってしまう。
彼らが文字通りその身をもって続けてきた事を考えると自分の中で決しておかしなものではないなと。
それを受け入れる事は無いけれど、「まあ彼らはそういうものだろう」という納得があるというか、今まで描かれてきたニュートン一族を踏まえるとむしろ彼らはそうであるべきと思ってしまうというか。
それはこの作品の中でキャラクターたちの描写が丁寧に積み重ねられたからこその説得力なのでは、と。
ニュートン一族が目指した先の到達点たるジョセフを、そしてその兄を見ているとそのブレない価値観は説得力がある。
例えそれが人類の味方ではない存在であったとしても。

 

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3週間て速いですね!!!!

いやなんでそんな時間かかってるんだ更新がギリギリじゃねーかと己にツッコミをしつつ、全力で脳内の自分が「だってプロレスが一番好きな大会やってたんだから仕方ないじゃん!途中でサッカー見てるしルチャも週に4回見てるじゃん!」て反論してくる。

見すぎだよでもルチャについては本当週に4回配信があるから仕方ないじゃないですか。

週に4回……?

 

しかし今回早めにハンニバルのベースが判明したなという気持ちとまさかのそういう細菌型かという気持ちと反則じゃないですかそのベースはという気持ちと。

本文でも書いたけれど、あとはどれぐらいの効果時間なのかが勝負のカギだろうということぐらいかな……もしかしたらハンニバルだし、彼らも知らない特性の使い方とか披露する可能性も無きにしもラハブ。

そうなると期せずして師匠ポジション的なものになってしまいそうでそれはちょっと……でもジョセフとの戦いで「お前の兄が使っていたぞ」的な展開があったらそれはそれでいいな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本気でテルムス・アクウァーティクスの存在を忘れていた自分にびっくりしました