東洋美術のまとめです
◇ガンダーラ美術
クシャン朝統治下のガンダーラ地方(現パキスタン北西部)
初めて釈迦の姿を表現
中央アジア王侯像風の正面像
彫りの深い顔(ギリシャ・ローマ文化の影響)
前期は石 後期は塑像
壁やストゥーパに浮彫
仏伝図(釈迦の生涯の物語)が主要モチーフ
6世紀に日本へ
《仏陀立像》 1-3世紀
《カニシュカ舎利容器》 2-3世紀
Personal photograph, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:KanishkaCasket.JPG
◇グプタ朝の仏教美術
サンスクリット文学の最盛期
『ラーマーヤナ』『マハーバーラタ』
仏像(グプタ様式)
インド彫刻の規範 均整のとれた体躯
半眼 厳かな顔立ち 流麗な衣文
唐を経由して白鳳時代の日本へ
アジャンター石窟寺院(第2期窟)6世紀
◇中国南北朝時代の仏教美術
5~6世紀末
北魏 仏教が国家的信仰
雲崗石窟(うんこうせっくつ)
豊かな肉身→均整のとれた痩身へ
《如来坐像》 460-67
Felix Andrews (Floybix), CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Buddhas_in_collapsed_cave_Yungang.jpg
龍門石窟(りゅうもんせっくつ)
中国式の衣服 神秘的な笑み 左右対称
裳懸座(もかげざ/波打つ裳襞の裾に覆われた台座)
火炎型の光背
《如来坐像》 505-23
三国時代の朝鮮を経由して日本へ
《釈迦三尊像》 法隆寺金堂 止利様式
◇朝鮮三国時代の仏教美術
4~7世紀
高句麗・新羅・百済
538年 日本へ仏教が公伝
金剛仏
高い鋳造・鍍金技術が渡来人によって日本へ
中宮寺 広隆寺の弥勒菩薩像
《半跏思惟菩薩像》 7世紀初頭
◇ササン朝ペルシアの文物
226年~6世紀半ば
正倉院(シルクロードの終着点)
東大寺大仏開眼供養の儀式の品々や
聖武天皇ゆかりの品々を収蔵
中国 朝鮮 中央アジア ペルシアからの文物
《白瑠璃碗》
《鹿草木夾纈屏風》(しかくさききょうけちのびょうぶ)
《羊木臈纈屏風》(ひつじぎろうけちのびょうぶ)
◇唐の文物
618~907年
国際性豊か
インド・グプタ朝様式を採り入れた造像
《唐三彩 駱駝楽人俑》723以前(ペルシャ風)
《十一面観音立像虤龕》 8世紀
《螺鈿紫檀五弦琵琶》(らでんしたんのごげんびわ)
《漆胡瓶》(しっこへい)
日本の仏教美術
遣唐使を通じ唐と交流
朝鮮にかわり唐を模範とする
白鳳・天平期
鑑真(唐の高僧) 唐招提寺建立
平安初期
空海 最澄 により密教が伝わる
曼荼羅 密教図像を手本に仏画が仏像を制作
◇宋元の文物
〈北宋時代〉
水墨山水画の完成
華北地方/巨大な山を大観的に
范寛(はんかん)
李唐(りとう)
郭煕(かくき)《早春図》 1072
江南地方/湿潤な景観を柔和に
董源(とうげん)
巨然(きょねん)
北宋末期の皇帝・徽宗(きそう)
画院の制度をととのえる
〈南宋時代〉
構図の一方に片寄せた辺角構図の自然景
単純明快な構図と細緻な再現性
馬遠(ばえん)
夏珪(かけい)
《渓山清遠図巻》12世紀後~13世紀前
〈南宋~元〉
画僧の活躍
自由でおおらかな水墨画
牧谿(もっけい)
玉澗(きょくかん)
日本では明快でわかりやすい南宋画が人気
「唐物」として尊ばれる
◇宋のやきもの
陶磁器制作の全盛期
日本では唐物として珍重され座敷飾りに
〈北宋時代〉
白磁と青磁
河北省の定窯(ていよう) 乳白色の白磁
河北省の磁州窯(じしゅうよう) 自由な文様の白磁
江西省の景徳鎮窯(けいとくちんよう) 淡い水色の青白磁
陜西省の燿州窯(ようしゅうよう) エメラルド色の青磁
皇帝・徽宗が開いた宮廷の御用窯(官窯)汝窯(じょよう)
透明な空色の青磁 「雨通天青」
〈南宋時代〉
官窯 透明な青緑色の青磁
浙江省の龍泉窯(りゅうせんよう) 青磁が量産
《青磁筍形花生》 12世紀
《油滴天目茶碗》
《曜変天目茶碗》
◇明の絵画
宮廷画院の再興
浙派(せっぱ)
南宋時代の画風に浙江地方の荒々しいタッチ
前期/戴進(たいしん)
後期/呉偉(ごい) 張路(ちょうろ)
より粗放な筆致(狂態妖学派)
呉派(ごは)
蘇州(呉)の知識人が中心の明代文人画
自らの理想や精神性 詩の世界を投影
沈周(しんしゅう) 文徴明(ぶんちょうめい) 唐寅(とういん)
末期/董其昌(とうきしょう)「南北二宗論」を提唱
文人画の系譜を 南宋(なんしゅう)
職業画家の系譜を 北宋(ほくしゅう)
体系化し文人画の優位性を説く
山水画も残す 《葑涇訪古図》1602
日本では浙派が人気
雪舟 明で浙派を直接学ぶ
◇清の絵画
花鳥画
沈南蘋(しんなんぴん)長崎へ(1731-33)
南蘋派が形成される
熊斐(ゆうひ) 宋紫石(そうしせき) 鶴亭(かくてい)
円山応挙や伊藤若冲らへも幅広く影響
文人画
池大雅 与謝蕪村 《十便十宜図帖》
これら東洋の流れも
年表にまとめられるとよかったのですが…
参考図書
美術検定2級問題集ー応用編:アートの知見を広げる 美術出版社
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術出版社
続 西洋・日本美術史の基本 美術出版社
西洋・日本美術史の年表―一目瞭然!美術の流れ 美術検定副読本 美術出版社
展覧会情報です
三菱一号館美術館 「ヴァロットン-黒と白」
19世紀末のパリで活躍したヴァロットンとても好きな作家です
木版画による独特のモノクロの世界は 作品構図もタイトルも抜群のデザインセンス
ロートレックとの特別関連展示も!
すぐとなりは最近移転したばかりの静嘉堂文庫美術館で 記念展「響きあう名宝」展が開催中です
奈良国立博物館 「正倉院展」
およそ9000件ある作品から毎年60件前後を公開!今年で74回目となります 今年は 黒漆地に金銀で繊細な文様が施された《漆背金銀平脱八角鏡(しっぱいきんぎんへいだつのはっかくきょう)》や、西方起源の狩猟の様子が表現された銀製のつぼ《銀壺(ぎんこ)》他 装いに関連する宝物など 貴重な品々が多数公開されています
愛知県美術館「ジブリパークとジブリ展」
いよいよ11/1にジブリパークがオープンしますね その開園を記念して ジブリパーク誕生に至るまでの背景や 施設にまつわる秘密 「ジブリパーク」の楽しみ方などをたっぷりと紹介
ネコバスがお出迎えしてくれますよ