続きです
1888(明治21)年
東京芸術大学 重要文化財
(問題文の「嚆矢」(こうし)とは
物事のはじまり・最初 という意味)
この《悲母観音》(ひぼかんのん)は
近代日本画の出発点となる作品といわれます
描いたのは
狩野芳崖(かのう ほうがい/1828~88)
下関の狩野派の絵師の家生まれ
狩野派の最後を飾り
「近代日本画の父」とよばれます
フェノロサや岡倉天心らとともに
日本画の近代化を推し進めた1人です
西洋画法を積極的に研究し
その色彩美をとりいれて
和洋折衷の新しい日本画を創出しました
この《悲母観音》は
芳崖が亡くなる4日前まで描いた絶筆
生まれたての子供に
甘露の水を灌ぐ観音様です
狩野派の厳格な筆法に
西洋画の色彩美を採り入れた作品です
母の慈しみ的存在=女性 と思っていたのですが
よく見ると…
お髭が
観音様って女性ではないんですね
かといって男性でもなく 中性でもなく
そもそも性はなく 超越した存在なのだそう
他
《仁王捉鬼図》(におうそうきず)
東京国立近代美術館 1886年
近代日本画の始まりが 狩野芳崖
近代洋画の始まりは高橋由一でしたね
2人は同じ1828年の生まれです
出題:美術検定2級問題集ー応用編:アートの知見を広げる 美術出版社 2019
参考図書
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術出版社 2018
増補新装 カラー版日本美術史 辻惟雄監修 美術出版社 2020