昨日の続きです音譜

 

【資料】
鎌倉時代は歴史上の変革を反映し、新しい多様な美術が花開きます。平安時代から普及した神仏習合思想や浄土信仰に加え、中国の宗から禅宗が入ってきました。美術では、初期の南都復興に際し、建築では大仏様が、仏像では慶派が新しい造形をつくりだしました。新しく入ってきた禅宗でも独自の建築や絵画様式が展開していきます。

 

 

Q.207
禅僧の肖像画をなんと呼ぶ?

①像画

②頂相

③似絵

④大首絵

 

蘭渓道隆像

《蘭渓道隆像》

1271年 建長寺

 

 

 

答え ② 頂相

 

禅宗の肖像画

頂相(ちんぞう・ちんそう)と呼ばれ

 

もともとは中国で

弟子に渡された師の肖像

確かに悟りを得たという

伝法の証明書でしたビックリマーク

 

 

中国へ留学した

栄西(えいさい/のちの臨済宗開祖)や

道元(どうげん/のちの曹洞宗開祖)が

 

禅宗を持ち帰ったことで

建築では禅宗様 

絵画では頂相が定着していきましたキラキラ

 

 

上の絵の蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)は

南宋からやってきた禅僧

 

1253年 北条時頼の帰依を受け

鎌倉に建長寺を開いています音譜

 

建長寺 禅宗様

 

 

 

日本では

平安時代以前の人の顔は

絵巻物をみてのとおり

 

「引目鉤鼻」(ひきめかぎはな/細長いひとすじの目とくの字型の鼻)で

皆同じように描かれていました目

 

 

平安時代末から個性ある人物が

描かれ始めますが

 

細く短い線の引き重ねで

顔の特徴を端的にとらえたもので

陰影はありません

 

こうした肖像画鎌倉時代

「似絵」(にせえ)と呼ばれていましたキラキラ

 

 

一方から伝えられた「頂相」

人となりが伝わる克明な写実的描写キラキラ

 

その後の日本の肖像画に

大きな影響を与えていきましたビックリマーク

 

 

 

 

 

 

Q.208
《春日宮曼荼羅図》のような絵画は、次のどのジャンルに識別される?

①垂迹画

②来迎図

③縁起絵

④楼閣山水図

 

観寂 《春日宮曼荼羅図》

1300 湯木美術館(大阪)

 

 

 

答え ① 垂迹画

 

垂迹画(すいじゃくが)とは

 

本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)に

基づいた絵画のことビックリマーク

 

本地(ほんじ/本来の姿

垂迹(すいじゃく/仮の姿)として

 

日本古来の神々

仏教の仏が姿を変えて現れたと考える

神仏習合思想を背景としています目

 

 

鎌倉時代 本地仏

密教の曼荼羅のように配した本地曼荼羅

 

この日宮曼荼羅図》

(かすがみやまんだらず)のような

 

俯瞰した風景の中に 神社の社殿を配し

本地仏も描く宮曼荼羅などが制作されましたキラキラ

 

 

詳細はこちらをキラキラ

 

 

 

 

 

 

出題:美術検定2級問題集ー応用編:アートの知見を広げる 美術出版社 2019

参考図書

改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト (株)美術出版社 2019

続 西洋・日本美術史の基本 美術出版社 2018

増補新装 カラー版日本美術史 辻惟雄監修 美術出版社 2020