資料を読んで答えよ
リージョナリズムは
地域主義・地方主義のこと
地域ごとの特殊性や主体を
重視しようとする考え方です
1913年の大規模な国際美術展
「アーモリー・ショウ」が
ニューヨークで開催されます
ヨーロッパからの影響を受けて
前衛美術を手掛ける作家や
それを扱う画廊
コレクター層が広まります
ニューヨーク近代美術館や
ホイットニー美術館も開館し
アメリカン・モダン(アメリカの前衛美術)の
動きが活発になります
こうした流れに対して
アメリカのアイデンティティを求めたのが
リージョナリズムです
ヨーロッパとは違う
アメリカの大自然や都市の情景などを
具象絵画で
「アメリカ」的に表現しようとしました
作品はこちらで確認を
エドワード・ホッパー
《アーリー・サンデー・モーニング》
1930年 ホイットニー美術館(NY)
エドワード・ホッパー(1882-1967)
ホッパーは米国内の旅を通して
あまり採り上げられなかった
荒廃した都市や田舎の情景を描きました
人気のないガソリンスタンドや
深夜のレストランの人々など
メランコリックな独特の雰囲気で描いています
《ナイト・ホークス》 1942
Edward Hopper, Public domain, via Wikimedia Commons
他 ホッパーの作品はこちらで
他に活躍したのが
スチュアート・ディヴィス(1894-1964)
アーモリー・ショウへの出品者ですが
他の出品作品に大きな影響をうけます
キュビスムの要素を採り入れながら
ポスターやジャスといった主題を記号化
リズミカルに描いています
ディヴィスの作品はこちらを
WIKIART
ベン・シャーン(1898-1969)
ユダヤ系でリトアニア生まれ
社会的弱者への共感を制作動機に
30年代の外国人排斥運動など
社会派的な主題を描いています
《サッコとヴァンゼッティの受難》
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sacco%26Vanzetti1.jpg
他の作品はこちらを
彼らのように
厳しい労働環境や退廃的な都市生活など
社会の一面を克明に描く傾向は
「アメリカン・シーン」とよばれました
《アーティストと母親》
1926-36年頃 ホイットニー美術館(NY)
抽象絵画の先駆者
アルメニア出身のアメリカの画家
幼少期に母親を飢えで亡くします
アルメニア大虐殺の犠牲者の1人でした
生き延びたゴーキーはアメリカへ…
上の作品は
10年かけて制作された作品です
アメリカ経済を破綻させた
1929年の大恐慌のあと
ニューディール政策の一環として
芸術家援助政策が施行されます
美術家救済のため
1934年から約10年間
公共建築物を装飾する芸術家救済事業に
多くの芸術家たちが参加
ゴーキーもその一人でした
各地の公共建築に壁画や彫刻をつくり
美術教育を行ったりと
芸術家たちは美術の普及に努めました
《無題》 1941年
《風景》 1945年
反抽象的な姿勢がみられた事業でしたが
ゴーキーは抽象表現へと向かいました
出題:美術検定2級問題集ー応用編:アートの知見を広げる 美術出版社 2019
参考図書
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト (株)美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術出版社 2018
増補新装 カラー版 西洋美術史 美術出版社 2021
芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I 林洋子編 幻冬舎 2013