近代美術（印象主義1）

資料を読んで答えよ。

【資料】

1863年のサロンは、アカデミーの基準が厳しく適用され、多数の落選者が出たため、画家たちから審査に関する不満の声が上がりました。その声を反映したナポレオン3世は同年、「落選展」(a)を開催します。この展覧会は、サロン以外に初めて画家に発表の機会が設けられた点で、美術制度の上から重要な意味を持ちました。この頃から、新しい表現を目指すマネの周囲に若い画家たちが集まり始めます。彼らがのちに「印象派展」(b)を開催します。

Q.89

下線部(a)の「落選展」は資料の内容以外に、主にどんな理由で美術史上、注目された？

①同年に発令された官立美術学校の改革の原因となったため

②この展覧会によりバティニョール派が形成されたため

③エミール・ゾラが小説のエピソードに取り込んだため

④マネが《草上の昼食》を出品したため

《草上の昼食》　

1863年　オルセー美術館

答え ④

マネが《草上の昼食》を出品したため

この作品は先週Q.83の時に出てきましたね

1863年の「落選展」は

サロンの審査によって

落選となった作品を集めた展覧会です

この年はサロンへ5000点の応募があり

3000点が落選という厳しいものでした

この非情なサロンに対しての

反発や不満がきっかけとなって

ナポレオン3世が開催したもの

サロンとは違う趣旨の公的な展覧会が

同時に開催されたことでも注目されました

マネはサロンで落選した《草上の昼食》を

この落選展に出品

神話や聖書以外の女性の裸を描いたとして

スキャンダルを巻き起こします

しかし決して

古典を軽んじていたわけではなく

自然を背景に

着衣の男性と裸体の女性を描いた点は

ジョルジョーネとティッツァーノによる

《田園の合奏》から

1511年頃　ルーブル美術館　PD

3人の構図は

ラファエロの原画に基づいて描かれた

マルカントニオ・ライモンディの

《パリスの審判》（１４８２～１５３４年頃）

この右下の3人をベースにしたと言われています

神話の主題を用いながら

当時のパリの中産階級の余暇の過ごし方だった

セーヌ湖畔での水浴の風景を描いた作品でした

『《草上の昼食》／ エドゥアール・マネ』

Q.90

下線部「印象派展」(b)について、初回から最後まで出品し続けた唯一の画家は？

①アルフレッド・シスレー

②クロード・モネ

③カミーユ・ピサロ

④エドガー・ドガ

《白い霧》　1873年　PD

第1回 印象派展出品作品

答え ③

カミーユ・ピサロ（1830-1903）

自画像　

1873年　オルセー美術館　PD

フランス印象派の画家

印象派展でも中心的な画家の1人です

晩年まで光や大気の変化を追い求めました

印象派展のカタログ

第3回 印象派展出品

《マチュランの庭、ポントワーズ》　

1876　オルセー美術館　PD

第7回 印象派展出品

《カフェ・オ・レを飲む若い農婦》

1881年　シカゴ美術館

仲間が分裂していく中 ピサロは

8回開催された

印象派展のすべてに出品しています

出題：美術検定2級問題集ー応用編:アートの知見を広げる 美術出版社 2019

参考図書

改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト （株）美術出版社 2019

続 西洋・日本美術史の基本 美術出版社 2018

増補新装 カラー版 西洋美術史　美術出版社 2021

　水野千依編 幻冬舎 2013

　瀧澤秀保監修 （株）三才ブックス 2019

上野・国立科学博物館   

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