資料を読んで答えよ
《オルナンの埋葬》
315x668㎝ 1849-50年
オルセー美術館 PD
ギュスターブ・クールベ(1819-1877)
撮影 ナダール PD
フランス写実主義を代表する画家
身近な現実をありのままに描きました
見過ごされる現実をテーマにすることで
社会的抗議の意図も込めています
この《オルナンの埋葬》は
1850年のサロンに出品したもの
名もなき農民の埋葬を
幅6m以上の大作に仕上げています
参列しているのは50人ものオルナンの村人
リアルな等身大の人々です
何度も繰り返していますが
歴史画を頂点に位置づけていたサロンです
当然ながら画壇への挑発と受け取られ
クールベは批判の的となります
こちらは 《画家のアトリエ》
1854-55年 361x598㎝ オルセー美術館 PD
パリ万博博覧会への出品作品として
《オルナンの埋葬》と《画家のアトリエ》が
拒否されてしまい…
怒ったクールベは
その審査に対する抗議として
博覧会会場のすぐ向いにパビリオンを作ります
作品を公開してレアリスムを宣言
自らの芸術を世に問いました
1855年 展示したカタログの表紙 PD
この博覧会では「美術宮」が建てられ
当時の画壇の巨匠アングルやドラクロワを中心に
2000点もの作品が展示されました
他国からの参加作品を加えると
絵画は総数5000点にも及んだようです
1855年のパリの万国博覧会の様子 PD
クールベは 11点の出品
先ほどの問いのとおり
《オルナンの埋葬》 《画家のアトリエ》
が拒否され個展を開催
入場料(1フラン)も設定しての開催です
当時 画家が自分の作品だけを
並べて見せる習慣はなかったので
これが世界初の「個展」といわれています
巨大な権力に対抗しての個展開催…
実際は大きな反響はなかったようですが
クールベの意志と行動力
すごいですね
出題:美術検定2級問題集ー応用編:アートの知見を広げる 美術出版社 2019
参考図書
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト (株)美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術出版社 2018
増補新装 カラー版 西洋美術史 美術出版社 2021
芸術教養シリーズ6 盛期ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 幻冬舎 2013