昨日の続きです
アンリ・ファンタン=ラトゥール
《バティニョールのアトリエ》 1870年 PD
撮影 ナダール PD
「近代絵画の父」
描くマネを囲んでいるのは
ルノワール バジール ゾラ モネら
19世紀のフランス美術は
サロンのヒエラルキー(序列)や
古典的な技法に陰りがみえつつも
まだその規範は保たれていました
そんな中マネは
現代生活を題材とした作品を
サロンで発表します
下の2点は1861年の
サロン初入選の作品です
《スペインの歌手》
1860年 メトロポリタン美術館 PD
(フランス・ハルスを思い浮かべながら描いたそう)
《オーギュスト・マネ夫妻の肖像》
1860年 オルセー美術館 PD
しかし2年後の
1863年に出品したこの作品は落選
《草上の昼食》
1863年 オルセー美術館 PD
その後「落選展」に出品して
物議を醸した作品です
斬新な主題に
粗い筆致や色彩の対比など
従来のアカデミズムの常識からかけ離れて
サロンへ挑戦し続けます
その姿勢は
若い作家たちへ強い影響を与えました
マネはパリの北西部バティニョールに
アトリエと住居を構えます
そこへマネに影響をうけた若い作家たちが
集うようになります
モネ ドガ ルノワール シスレー ゾラなど
彼らがやがて
サロンから独立したグループ展を立ち上げ
「印象派」と呼ばれれるようになった作家たちです
よってマネは「印象派の父」とも呼ばれます
ちなみにマネは
印象派の展覧会には一度も出品せず
サロン出品にこだわりました
《草上の昼食》についてはこちらを
エドゥアール・マネ 《オランピア》
1863年 207x265㎝
オルセー美術館 PD
1865年のサロンに出品
こちらも議論を巻き起こします
マネの《オリンピア》は
ジョルジョーネの
《眠れるヴィーナス》や
1510年
ティッツァーノが描いた
《ウルビーノのヴィーナス》などの
1538年
古典的な
横たわるヴィーナス像の形式をふまえて
まったく新しい視点で
現実の女性の裸婦像を描写したものでした
こちらが
《草上の昼食》や《オランピア》の
モデルとなった女性
ヴィクトリーヌ・ムーラン
美しい~
1880年 サロンの様子 PD
こんな感じだったんですねー
出題:美術検定2級問題集ー応用編:アートの知見を広げる 美術出版社 2019
参考図書
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト (株)美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術出版社 2018
増補新装 カラー版 西洋美術史 美術出版社 2021
芸術教養シリーズ6 盛期ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 幻冬舎 2013