資料を読んで答えよ
『聖愛と俗愛』 ティツィアーノ
油彩・カンヴァス 1515年 ボルゲーゼ美術館 PD
16世紀に入ると 絵画の中心が
フィレンツェからヴェネツィアへ移ります
水の都ヴェネツィアは
海洋国家として発展
地中海貿易で莫大な富を蓄えました
早くからフランドルより
油彩技法がもたらされ
多湿の気候にも合って
油彩画が発展します
港町で
帆布が簡単に手に入ったということもあり
板ではなくキャンヴァスが普及しました
15世紀の「フィレンツェ派」は
構図やデッサンを仕上げた上で
着色に入りました
フレスコやテンペラ画が主流で
下描きをベースに
計画的に描く必要があったので
バランスよい構成のため素描が重視されました
一方「ヴェネツィア派」は
構成よりも
感覚的魅力の追求を優先しました
直接絵具で描き始め
途中で自由に変更しながら完成させています
個人の依頼による
作品制作が多かったこともあり
より自然に近い情景を
豊かな色彩でうっとりとした描き方で
描いています
『ヴェネツィア総督ロレダーノ》
1501年頃 油彩・板
ナショナル・ギャラリー(ロンドン) PD
自画像
ヴェネツィア派の基礎を築いた画家
上の作品はベッリーニの代表作
『レオナルド・ロレダン』ですが
金粉を使わず
綿糸の1本1本を描いています
ジョヴァンニは
一族で大きな工房を営んでおり
油彩画をいち早く導入
精緻な質感を表現しました
工房からはヴェネツィア派の代表画家
ジョルジョーネやティツィアーノを輩出しています
ジョルジョーネ
(1477/1478頃-1510)
自画像 1510年 油彩
詩的で豊かな自然を描いています
《嵐》 油彩 1505-07頃 アカデミア美術館(ヴェネツィア) PD
しかし代表作であるこの作品は
テーマが解読されないままの謎の絵
はっきりとした主題を持たない絵を描いた
最初の画家と言われています
《眠れるヴィーナス(ドレスデンのヴィーナス)》
1510年 油彩 国立絵画館(ドレスデン/ドイツ) PD
ティツィアーノ(1488/1490頃-1576)
自画像 1562年頃 油彩
鮮やかな色遣いや
自由な空間構図
官能的な女性描写で
国際的な名声を得ています
《田園の奏楽(詩的な世界)》 1509年頃 ルーブル美術館 PD
《ウルビーノのヴィーナス》 1538年頃 ウフィツィ美術館(フィレンツェ) PD
ジョルジョーネの《眠れるヴィーナス》の
影響を受けて描かれたヴィーナス
出題:美術検定2級問題集ー応用編:アートの知見を広げる 美術出版社 2019
参考図書
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト (株)美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術出版社 2018
増補新装 カラー版 西洋美術史 美術出版社 2021
芸術教養シリーズ6 盛期ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 幻冬舎 2013
コロナの心配があり
お気軽に!とはいえませんが
気になる展覧会情報です
東京国立博物館 1/14~4/3
特別展「ポンペイ」が始まっています
紀元後79年にナポリのヴェスヴィオ山噴火によって埋もれたポンペイの都市。
発掘された壁画や彫像 工芸品の傑作や 様々な日用品が紹介されており 2000年前の都市にタイムスリップできるようですよ
4/21~7/3 京セラ美術館
10/12~12/4 九州国立博物館
東京ミッドタウン・ガーデンの21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3にて
「メンズ リング イヴ・ガストゥ コレクション」
男性用のリングに特化した展覧会です
古代エジプトのリングから、現代アーティストが手がけたものまで、象徴的な400点ものリングが一堂に会しています
3/13まで