中世美術の続きです ニコニコ

 

【資料】

ロマネスク(a)美術は、11~12世紀にかけての西ヨーロッパの建築に、後のゴシック建築(b)と異なる特質を、後世の考古学者が見出したことから呼ばれ始めました。同時期のヨーロッパでは十字軍の派遣や聖地巡礼ブームによって、各地の修道院が発展しロマネスク様式を形成していきます。12世紀半ばから15世紀の都市部では、都市の発展と教会権力を象徴する豪華な大聖堂建築が盛んになりました。中世末期には、南仏や北イタリアの都市で同時多発的に国際ゴシック(c)様式が現れます。

 

 

Q.15

下線部 ゴシック建築(b) は3つの時代に区分されます。この彫刻が付属している聖堂の名称と時代区分の正しい組み合わせは?

①サン=ドニ修道院聖堂-初期ゴシック

②シャルトル大聖堂-盛期ゴシック

③ランスのノートル=ダム大聖堂-盛期ゴシック

④グロスター大聖堂-晩期ゴシック

 

『ご訪問』  西正面中央扉口右側壁 1230/1245-55年

DIMSFIKAS at Greek Wikipedia, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/1f/Reims_Cathedral_-_Central_doorway.JPG

 

 

 

 

答え ③

ランスのノートル=ダム大聖堂-盛期ゴシック

 

 

ランスのノートル=ダム大聖堂

bodoklecksel, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/e1/Reims_Kathedrale.jpg

 

 

黄色い〇のところ右下矢印

Leon petrosyan, CC BY-SA 3.0  via Wikimedia Commons

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c0/Reims_Cathedral-1.jpg

 

 

この人像柱の彫刻

盛期ゴシックの代表的な造形ですビックリマーク

 

古代末期から途絶えていた

丸彫り彫刻が蘇りますキラキラ

 

 

12世紀の半ばになると

経済的に繁栄してきたフランスの都市

大聖堂がたくさん建てられるようになります音譜

 

ロマネスク時代

文化の担い手が修道士聖職者

修道院田舎の方にありました

 

ゴシックの時代になると

都市に住む裕福な町人知識人

普通の信徒などが加わり目

 

聖堂も都市の中心部に建てられましたビックリマーク

 

 

建築技術の向上

厚みという制限がなくなった壁は

開口部大きくなり

ステンドグラスが多用されますキラキラ

 

 

ランスのノートル=ダム大聖堂の内部

Mbzt, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c9/F3407_Reims_cathedrale_nef_centrale_rwk.jpg

 

 

 

戸外の光を採り入れて

聖堂内をできるだけ明るく豪華にし

神の栄光を称えようとしますキラキラ

 

高さもより高く

先の尖った尖塔アーチ

天上のイメージを生み出しています照れ

 


 

 

他の答えの大聖堂もチェックすると目

 

 

初期ゴシック 

サン=ドニ大聖堂 1144年

この大聖堂がゴシック大聖堂の始まりといわれていますキラキラ

Thomas Clouet, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/48/Saint-Denis_-_Fa%C3%A7ade.jpg

 

 

 

 

盛期ゴシック  

シャルトル大聖堂(フランス)

1194-1260年頃

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chartres_1.jpg

 

 

Photo:Nina Aldin Thune User:Nina-no, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/bb/Chartres.jpg

 

 

バラ窓 12世紀

Harmonia Amanda, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/74/Cathedrale_nd_chartres_vitraux015.jpg

 

 

 

 

 

晩期ゴシック

グロスター大聖堂(イギリス)

Geni, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/26/Gloucester_Cathedral_exterior_2019.JPG

 

 

Diliff, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/47/Gloucester_Cathedral_High_Altar%2C_Gloucestershire%2C_UK_-_Diliff.jpg

 

 

Diliff, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/01/Gloucester_Cathedral_Cloister%2C_Gloucestershire%2C_UK_-_Diliff.jpg

 

 

上差し映画『ハリー・ポッター』

ロケに使用された大聖堂ですびっくり

 

 

 

尖塔アーチ

高い天井

大型窓のステンドグラス

人像円柱 自立した彫刻

自然で人間的な表現

 

というのがゴシック様式の特徴ですビックリマーク

 

 

さまざまな建築装飾は

字の読めない人も多かった時代に

目で読む聖書として

大きな役割をもっていましたキラキラ

 

 

 

 

 

 

 

Q.16

下線部 国際ゴシック(c) の様式の特徴として正しいものは?

①視覚効果を狙った大胆な装飾や天井画が配された聖堂が建てられた

②ルネサンスへの移行期に現れ、洗練された宮廷風の優美さを特徴とした

③古典古代の時代の再生を求め、西欧各地で同時多発的に展開された様式

④ロマネスク美術の影響が色濃く、地域ごとの特色を持つことが知られる

 

ランブール兄弟

『ペリー公のいとも豪華なる時祷書』 4月 1413-16年 PD

 

 

 

答え ②

ルネサンスへの移行期に現れ、洗練された宮廷風の優美さが特徴

 

14世紀には

百年戦争に続き

黒死病の蔓延で

西ヨーロッパは混乱期となります汗

 

大聖堂の建築は減り

ゴシック様式

宮殿邸宅などに引き継がれていきます 目

 

 

美術家たちの交流は各国で盛んとなり

イタリアフランス都市では

国際ゴシック様式とよばれる絵画や彫刻が現れますキラキラ

 

その特徴は

写実的な細密描写

宮廷風の優雅で装飾的な表現

 

複数の地域で共通して現れた様式ですビックリマーク

 

 

 

国際ゴシックを代表する芸術家音譜

 

シモーネ・マルティーニ(イタリア)

『受胎告知』 1333年 ウフィツィ美術館(フィレンツェ) PD

 

 

 

ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ(イタリア)

『東方三博士の礼拝(マギの礼拝)』 1423年 PD

 

 

 

ピサネッロ(イタリア)

『エステ家の姫君の肖像』 1435-40年頃 PD

 

 

 

 

 

 

出題:美術検定2級問題集ー応用編:アートの知見を広げる 美術出版社 2019

参考図書

改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト (株)美術出版社 2019

続 西洋・日本美術史の基本 美術出版社 2018

増補新装 カラー版 西洋美術史 美術出版社 2021

芸術教養シリーズ5 古代から初期ルネサンスまで 西洋の芸術史 造形篇I 水野千依編 幻冬舎 2013